配属1年目の石田です!
Amazon Route 53でドメイン(.jp)をリクエストする際、「連絡先情報」の入力部分でミスしたので、自らを戒めるために残しておきます。
途中Route 53のポリシーや初心者向けの名前解決の仕組みについても触れているので、お時間と興味のある方はチラ見していってください。
新規ドメイン登録の概要やリクエスト手順については、以下の記事をご参照ください。
※「解説」の添付画像に一部技術的な誤りがあったため、2025/08/04に修正・更新いたしました。
内容のまとめ
- ドメイン(.jp)のリクエスト時に、電話番号の入力形式を間違った(本当は国際番号で記載する必要がある)ため、ドメイン登録とホストゾーンの自動作成が失敗しました。
- 連絡先情報の入力形式はTLDの種類によって異なっており、入力が間違っていても、Route 53コンソール上でエラー表示が出ない場合もあります。
- エラーによる事象は、AWSサポートの指示に従い手動でホストゾーンを作成し、ドメインにネームサーバー情報を再設定することで、解決しました。
事態の説明
本来の手順
ドメイン登録の際の本来の手順・挙動は以下になります。
具体的な内容は上記で添付しているブログをご参照ください。
- 登録したいドメインを選択する
- ドメインの登録者、管理者、料金の請求者等の情報を入力する
- AWSへドメインをリクエストする
- AWS側が2で入力された情報の確認をする
- 2で入力した連絡先に認証メールが届く
- 認証が完了すると、ドメインが登録される
- ドメインのホストゾーンが自動で作成される(DNSホスティングが自動で行われる)
ミスの影響
今回、2の入力にミスがあり、4の処理が失敗したため、以降の段階で以下の事象が発生しました。
- AWS側が情報の確認に失敗した
- ドメインのホストゾーンが作成されなかった(DNSホスティングが行われなかった)
- 通常、数分~数十分程度でドメインが使用可能になるところ、エラー発生とその対応で2~3日かかった
結果として、正しい情報をAWSに共有することで、ドメインの登録は完了しました。
以下では、2でのミスと発生した事象の対応方法について述べています。
連絡先情報の入力ミス
市外局番を抜いた誤った形で電話番号を入力してしまいました。
Route 53では、基本的に国際電話番号で入力する必要があります。
次のような誤った形式で入力すると、エラー表示が出ます。
- 電話番号の頭に0が付いている場合
- 全角日本語表記で入力している場合(ASCIIのみ対応)

弊社情報を入力しています
しかし、電話番号が誤った形式で入力されていても、エラー表示が出ない・エラーが起きない場合があるようです。
なぜなのか少し気になったので、調べたことを以下に記載してみました。
Route 53のポリシーとTLD固有事象
エラーの理由には、TLD固有の入力形式が関係していると考えられます。
例えば、検証用途で使用することの多い安価な「.click」では、以下の入力情報でも登録・検証が問題無く完了しました。
- 電話番号が+81 03xxxxxxxxの形式
- 連絡先氏名・住所が全角日本語

Route 53のポリシーによれば、TLD固有の規則にそれぞれしたがってドメイン登録を行っています。 aws.amazon.com
そのため、「.jp」ならおそらくJPRS、「.click」ならUni Naming & Registryというプロバイダーの内部処理の仕様にしたがって、Route 53の連絡先情報で求められる入力形式が定まっていると考えられます。
しかしTLD固有のデータ形式に関しては、AWSドキュメント・プロバイダー公式サイトからは発見できませんでした。
どのTLDの際にどんなエラーが発生するかは、実際にコンソールから確認する方がはやそうです。
また、Route 53でリクエストできるドメインは料金にかなり差があるので、検証時には気を付けたいですね。
こちらのドキュメント内にTLD毎の料金一覧ページが添付されています。料金のみ確認したい方はこちらをご覧ください。
ミスによって起きた事象
さてここからは、エラー発生後の対応について記載しています。
AWS側が情報の確認に失敗した
ドメイン登録会社が情報の認証に失敗したという旨の通知がAWSのサポートから届きました。
We've received a notification from our registrar partner Gandi and they notified that the domain registration for [domain name] is stuck in phone number verification. Could you kindly confirm the Phone number, for us to help you complete the domain registration for [domain name].
当社のレジストラパートナーであるGandiより、[ドメイン名] のドメイン登録が電話番号認証で止まっているとの通知を受けました。 お手数ですが、[ドメイン名] のドメイン登録を完了させるため、電話番号をご確認いただけますでしょうか。
※[domain name]には実際にリクエストしたドメインが入ります。
AWSサポートから正しい情報を共有することで、登録会社に情報が共有されました。
ドメインのホストゾーンが作成されなかった
誤った情報でリクエストを送信してしまったことにより、通常のドメイン登録フローが行われなかったものと推測しています。
こちらに関しても、AWSのサポートから通知が来ました。
We successfully registered the domain. However, we either weren't able to create a hosted zone for the domain or we weren't able to update the domain with name servers from the hosted zone. To resolve this issue, perform the following steps:
- If there's no public hosted zone that has the same name as the domain, create one. For more information, see Creating a Public Hosted Zone in the Amazon Route 53 Developer Guide.
- Get the name servers for the new hosted zone. See Getting the Name Servers for a Public Hosted Zone.
- Update the domain to use the name servers that you got in step 2. See Adding or Changing Name Servers and Glue Records for a Domain.
ドメインの登録は完了しましたが、ドメインのホストゾーンを作成できなかったか、ホストゾーンのネームサーバーでドメインを更新できませんでした。
- ドメイン名と同じ名前のパブリックホストゾーンがない場合は、新規に作成してください。詳しくは、Amazon Route 53 開発者ガイドの「パブリックホストゾーンの作成」を参照してください。
- 新しく作成したホストゾーンのネームサーバーを取得します。「パブリックホストゾーンのネームサーバーの取得」を参照してください。
- ステップ2で取得したネームサーバーを使用するように、ドメインを更新します。「ドメインのネームサーバーとグルーレコードの追加または変更」を参照してください。
この問題を解決するには、以下の手順を実行してください。 ※[domain name]には実際にリクエストしたドメインが入ります。
ここからは、通知内容の手順にしたがって手動でホストゾーンの作成・ドメイン更新を行います。
手作業での対応
作業手順
Route 53のコンソールから「ホストゾーン」に移動し、パブリックホストゾーンの作成を行います。
作成されたホストゾーンに登録されているnsレコードを控えます。
次に、左側のナビゲーションペインから、「ドメインの登録>登録済みドメイン」に移動します。
登録したドメインの詳細を開き、「アクション」からドメインの編集を行います。
控えたnsレコードを入力し、保存します。

これで、登録したドメインのDNSホスティング設定が完了しました。
解説
※ 添付画像に一部技術的な誤りがあったため、2025/08/04に修正・更新いたしました。
私自身がAWS初心者であるため、今回の「ホストゾーンの新規作成」と「ドメインの情報更新」がなぜ必要だったのかを解説してみます。
ドメインのリクエスト・登録から見ていきます。
これは、「ishida.click」などのインターネット上の住所を、ユーザーが所有することを公に登録する作業です。
次にホストゾーンとは、クライアントがドメイン名を検索するクエリをネームサーバーに送信した際に、ネームサーバーが参照するレコードのデータベースです。言い換えれば、ネームサーバーが何の値をクエリ元に返せばよいのかが書かれているものです。
Route 53でこれを作成すると、ホストゾーンには新しいネームサーバー情報(nsレコード)が割り当てられます。
本来であれば、Route 53でのドメイン登録の際に、このネームサーバーの情報とドメインの情報が一致した状態をAWS側が用意してくれます。

Route 53のコンソール上では、「ホストゾーン」と「登録済みドメイン」から確認できます。

しかし今回は、ホストゾーンの持つネームサーバーの情報と、ドメインの持つ情報が一致しない状態でドメインの登録フローが完了してしまいました。
このままでは、登録したドメインを意図した目的で使用することができません。

そのため、これらを一致させるために、手動でドメインの情報をホストゾーンの情報と一致させる作業を行いました。
具体的には、ishida.clickのネームサーバーが持つ情報を、作成したホストゾーンに登録されているネームサーバー情報と同一のものに更新しました。
つまり、「このドメインでアクセスしたい人は、この特定のネームサーバーに問い合わせてね」という問い合わせルートを正しく再設定する作業だったのです。
これを行うことで、ドメイン名にアクセスが来た際に、設定されたネームサーバー情報(nsレコード)をホストゾーンから参照できるようになります。そして、ホストゾーンという案内図を使って、正しいサーバーへアクセスし、ウェブサイトが表示できるようになります。
本件での学び
入力情報は何度でも確認しよう!というのが一番の教訓ですが、本ブログを書くにあたりRoute 53のポリシーやTLD毎に制約があること、基礎的な名前解決の仕組みを学びなおすことができました。
入力情報は何度でも確認しよう!
