こんにちは。
アプリケーションサービス部、DevOps担当の兼安です。
先日、AWS Summit Japan 2025のGitLab様のブースで「Vibe CodingとCI/CDツールの役割」というテーマでLTさせていただきました。
本記事はその内容をブログにまとめたものです。

私たちのDevOpsの進め方
まず、私たちのDevOpsの進め方について簡単に紹介します。
私たちはお客様とDevOpsについて話をする時に、よく以下のような質問を行います。
- 不具合の収束率が悪く、次工程への不具合流出が多くはないですか?
- サービスの利用率が低下していませんか?
- システムのアップデート作業に時間がかかりすぎていませんか?
なお、システムのアップデートについては、単純なデプロイだけではなく、運用者への周知を行い、アップデートした上でシステムが運用されるまでを視野に入れているため、原因の部分に開発者と運用者の連携という観点が含まれています。

3つの質問に対して、それぞれ課題があった場合、以下のような解決策を提案します。
不具合の収束率に対しては、いつでもテスト実施が可能な開発環境を構築することを提案します。
IaC、テストコード、CI/CDを導入して、開発者がいつでもテストを実施できる環境を整えます。
IaCを一番最初に持ってきているのは私たちなりの思いがあります。
テストコードの有効性は誰もが認めるところですが、テストコードの浸透は長い時間がかかります。
それを考えると、IaCを駆使してきれいなテスト環境を手早く構築できるようにする方が、即効性があると考えています。
サービスの利用率向上には、迅速な改善サイクルが有効です。
ただし、迅速な改善サイクルの実現は容易なことではありません。
したがって、私たちは開発/運用プロセスそのものの改善も含めた継続的な改善サイクルを目指せるようスクラム開発を提案するようにしています。
そして、開発者と運用者を一つにし、ステークホルダーとしっかり連携することを提案します。
いわゆるCI/CDを導入したり、要件やインシデントの管理方法を整理したり、開発サイクルにおける意思決定の場にステークホルダーを参加してもらうことを提案します。
システムに対するメトリクス、ログなどのトレーサビリティを確保することもやるでしょう。
これら一連の取り組みが、結果的にシステムのアップデート作業の効率化や、システム安定化につながります。

先ほど述べた3つの質問のうち、実際のところ一番多いのは「システムのアップデート作業に時間がかかりすぎている」というものです。
DevOpsといえばCI/CDというイメージを持たれる方も多いので、これは自然な流れかなと思います。

実際にアップデート作業に対する課題を相談された場合は、以下のような3ステップを提案させていただいています。
最初にボトルネックを解消し、次に標準的な改善を適用し、最後に継続的な改善を行うという流れです。
アップデートなら、まずは手順の整理や自動化を行います。
この段階ではボトルネックの解消が最優先なので、この段階ではCI/CDの導入は必須ではないと考えています。
(もちろんCI/CDを最初から導入することもあります。)
その次に、CI/CD・IaC・メトリクスを標準的な内容で導入します。
IaCなら更新の多いコンピューティングリソースあたりに適用すると、コスト効率が良いです。
メトリクスなら最初は取り急ぎ80%を目安にアラートを設定するでしょう。
これだけでも効果はありますが、あくまで標準的な内容です。
より効果をあげるためには、どうしてもチューニングが必要なので、スクラム開発を通じて継続的な改善を行うことを提案します。

DevOpsとCI/CDツールの選択
CI/CDというキーワードが出たので、今度はCI/CDツールの選択についてお話しします。
CI/CDツールの選択においては、以下のような観点があると思います。
- 導入のしやすさ
- 機能の豊富さ
- データ保管場所の自由度
- 学習コスト
- 適用コスト

例えば、以下の図のようにツールA/ツールBというCI/CDパイプラインツールがあるとします。
ツールAのパターンは、AWS CodePipelineが挙げられます。
AWS CodePipelineは、ソース管理やセキュリティの部分は他のツールとの連携が必要になります。
ツールBのパターンは、GitLabが挙げられます。
導入のしやすさはツールAが優位です。
やりたいことが多い場合は、ツールBの方が運用・学習コストが優位になり、トータルで見るとコスト的に優位になることもあります。
ツールの組み合わせの豊富さでいうと、ツールAが優位です。
組み合わせの豊富さを柔軟性が高くて良いと評価する人・組織もあれば、組み合わせの豊富さをコストとして評価する人もいるでしょう。

データ保管場所の自由度という観点について述べます。
代表的なCI/CDツールについて、簡単に表にまとめさせていただきました。
ご覧の通り、セルフホスティングができるGitLabが最も自由度が高いです。
サーバーワークスのお客様においては、組織の規模が大きくなるにつれてCI/CDツールに対してもデータの保管場所や統制の取りやすさを重視される傾向にあり、GitLabを選択されるお客様が増えてきています。
いろいろなお客様と一緒に仕事をさせていただいた中で理解したのですが、お客様の業種によってはGitにプログラムのソースコード以外も置くことがあります。
そのアップロードするものが、企業の競争力に直結するものだったら?と考えると、データの保管場所や統制の取りやすさを重視される気持ちが想像できるのではないでしょうか。

データの保管場所や統制の取りやすさを重視されるお客様のニーズに応えるため、この度サーバーワークスはGitLab Select Partnerとなりました。
GitLabはAWS MarketplaceにてGitLab Select Partnerであるサーバーワークス経由でご契約いただくと、割引価格でお得に購入することが可能になります。
- 2025年7月中に提供開始予定
- 原則、弊社経由でAWSアカウントをご契約いただいた企業様のみとなります。
- 割引率は製品、数量等により異なります。


AIとCI/CD
さて、ここからはAIとCI/CDについてお話しします。
AIがコードを生成し、開発者はそのコードをレビュー・修正しながらソフトウェアを開発する手法を、Vibe Codingと言います。

Vibe Codingとは、雰囲気でコードを書くことを意味します。
よくわかっていないという意味での「雰囲気で」ではなく、自然言語を用いてAIにコードを書いてもらうスタイルのことを指します。
Vibe Codingによる開発スタイルは今後のソフトウェア開発において重要な役割を果たすと考えており、ソリューションも提供しています。
Vibe CodingではAIによるコードの比率が高くなります。
AIに自身のスキルを補ってもらっているという側面もありますが、私はAIが書いたコードは本質的に他人が書いたコードであることが大きいからだと考えています。
正直なところ、AIが書いたコードに気になるところがあれば、自分で直すよりも修正を指示することが多いです。
しかし、これは怠惰なアプローチとは言いきれないと思っています。
私たちのチームでは、AIが書いたコードを人が直すようなルールにするよりも、AIがより良いコードを書けるようプロンプトを見直すべきでは?という議論をしています。
いずれにしても、Vibe Codingは浸透していくにつれて、今後は開発者がチェックしきれない比率が高くなるでしょう。
そこで品質を担保するために、今後はCI/CDツールの役割はさらに重要になると考えています。

2025年に入ってAIツールは急速に進化し、その選択肢も一気に増えました。
選択肢が多いこと自体は喜ばしいことですが、CI/CDとの組み合わせまで考えると選定に要する工数は無視できません。

GitLabにはDuoというAIによる開発支援機能があります。
CI/CDの機能+AIという、今後の開発に必要な機能を一通り揃えつつデータの保管場所の自由度も高いGitLabは、選定・学習・運用コストの面で非常に有力な選択肢となるでしょう。

まとめ
- AIがコードを生成し、開発者はそのコードをレビュー・修正しながらソフトウェアを開発する手法を、Vibe Codingと言います。
- CI/CDツールの選定は、機能のバランスとデータ保管場所が重要です。
- Vibe Codingにより、今後CI/CDがより重要になると考えています。
- データ保管の自由度が高く、豊富かつ横断した機能を持つGitLabは有力な選択肢であると考えています。
- GitLabはAWS Marketplaceにてサーバーワークス経由でご契約いただくと、割引価格でお得に購入することが可能になります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
GitLabや生成AI、Vibe Codingに関するご質問やご相談がありましたら、ぜひサーバーワークスまでお問い合わせください。
兼安 聡(執筆記事の一覧)
アプリケーションサービス部 DS3課所属
2025 Japan AWS Top Engineers (AI/ML Data Engineer)
2025 Japan AWS All Certifications Engineers
2025 AWS Community Builders
Certified ScrumMaster
PMP
広島在住です。今日も明日も修行中です。