2024年7月末頃より新規顧客の受け入れを停止した AWS サービスに関して

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マネージドサービス部 佐竹です。
本日は、最近話題となっている一部の AWS サービスが新規顧客の受け入れを停止した件に関してです。今後も本情報に関する内容は都度更新がされると思われますため、2024年8月2日 12時現在の情報としてご覧ください。

はじめに

このブログの目的は以下の通りです。

  • 「AWS 公式サイトや公式のドキュメントとして新規顧客の受け入れ停止を知らせる情報の掲載がどこにされているのか?」というエンドユーザ様からの問い合わせに回答する
  • 現在判明している影響範囲を知っていただく
  • 参考までに、ざっくりと経緯をまとめる

の3点です。

新規の停止を知らせる情報掲載箇所まとめ

以下、AWS の公式サイト及びそれに準ずる媒体でのアナウンス箇所を画面キャプチャーと共にご紹介します。

日本語サイトでは反映が遅れておりますため、全て英語(English)表示に切り替えてご覧ください。

AWS CodeCommit

AWS CodeCommit is no longer available to new customers. Existing customers of AWS CodeCommit can continue to use the service as normal.

---以下日本語訳---

AWS CodeCommit は新規のお客様にはご利用いただけなくなりました。AWS CodeCommit の既存のお客様は、引き続き通常どおりサービスをご利用いただけます。

なお、Amazon Web Services ブログにも以下の記載がされております。本ブログは日本語に翻訳されておりますそのまま掲載しております。

慎重に検討を重ねた結果、 2024 年 7 月 25 日をもちまして、 AWS CodeCommit について、新規のお客様向けのアクセスを閉じることを決定いたしました。 AWS CodeCommit を既にお使いのお客様は、これまで通りサービスをご利用いただくことが可能です。 AWS は AWS CodeCommit のセキュリティ、可用性、パフォーマンスの改善に引き続き投資を行ってまいりますが、新機能の導入は予定しておりません。

aws.amazon.com

Amazon CloudSearch

Amazon CloudSearch is no longer available to new customers. Existing customers of Amazon CloudSearch can continue to use the service as normal.

---以下日本語訳---

Amazon CloudSearch は新規のお客様にはご利用いただけなくなりました。Amazon CloudSearch の既存のお客様は、引き続き通常どおりサービスをご利用いただけます。

Amazon Forecast

Amazon Forecast is no longer available to new customers. Existing customers of Amazon Forecast can continue to use the service as normal.

---以下日本語訳---

Amazon Forecast は新規のお客様にはご利用いただけなくなりました。Amazon Forecast の既存のお客様は、引き続き通常どおりサービスをご利用いただけます。

S3 Select

Amazon S3 Select is no longer available to new customers. Existing customers of Amazon S3 Select can continue to use the feature as usual.

---以下日本語訳---

Amazon S3 Select は新規のお客様にはご利用いただけなくなりました。Amazon S3 Select の既存のお客様は、引き続き通常どおり機能をご利用になれます。

S3 Select は Amazon S3 の一部のサービスであるためか、サービスの TOP ページにではなくユーザガイド(ドキュメント)に掲載されていました。

AWS Cloud9

AWS Cloud9 は最近投稿されたばかりの AWS DevOps Blog のポストの最上部に追記がされる形でアナウンスされていました。

aws.amazon.com

After careful consideration, we have made the decision to close new customer access to AWS Cloud9, effective July 25, 2024. AWS Cloud9 existing customers can continue to use the service as normal. AWS continues to invest in security, availability, and performance improvements for AWS Cloud9, but we do not plan to introduce new features.

---以下日本語訳---

慎重に検討した結果、2024 年 7 月 25 日をもって、AWS Cloud9 への新規顧客アクセスを終了することを決定しました。AWS Cloud9 の既存の顧客は、引き続き通常どおりサービスを利用いただけます。AWS は、AWS Cloud9 のセキュリティ、可用性、パフォーマンスの向上に投資を続けていますが、新しい機能を導入する予定はありません。

CodeCommit のブログでもそうでしたが、AWS Cloud9 においても「2024年7月25日をもって」と具体的な日付が記載されています。

ただし今回の該当サービスが全てこの日付を起点としているのか不明なため、ブログの題名は「2024年7月末頃」とさせていただいております。

AWS Data Pipeline (2024年8月15日 修正)

2024年7月25日に投稿された、AWS Big Data Blog における「Migrate workloads from AWS Data Pipeline」という記事の最上部にアナウンスが掲載されていました。

aws.amazon.com

After careful consideration, we have made the decision to close new customer access to AWS Data Pipeline, effective July 25, 2024. AWS Data Pipeline existing customers can continue to use the service as normal. AWS continues to invest in security, availability, and performance improvements for AWS Data Pipeline, but we do not plan to introduce new features.

---以下日本語訳---

慎重に検討した結果、2024 年 7 月 25 日をもって、AWS Data Pipeline への新規顧客アクセスを終了することを決定しました。AWS Data Pipeline の既存の顧客は、引き続き通常どおりサービスをご利用いただけます。AWS は、AWS Data Pipeline のセキュリティ、可用性、パフォーマンスの向上に投資を続けていますが、新しい機能を導入する予定はありません。

こちらでも「2024年7月25日をもって」と具体的な日付が記載されています。

参考までに、以下は公式サイトのトップページですが、2024年8月15日現在も上記の旨の表示はありませんでした。

aws.amazon.com

ただし、AWS のユーザガイド(ドキュメント)最上部に以下の記載が追加されています。

AWS Data Pipeline is no longer available to new customers. Existing customers of AWS Data Pipeline can continue to use the service as normal.

---以下日本語訳---

AWS Data Pipeline は新規のお客様にはご利用いただけなくなりました。AWS Data Pipeline の既存のお客様は、引き続き通常どおりサービスをご利用いただけます。

docs.aws.amazon.com

また、公式ドキュメントに以下の表記があります。

AWS Data Pipeline service is in maintenance mode and no new features or region expansions are planned. To learn more and to find out how to migrate your existing workloads, see Migrating workloads from AWS Data Pipeline.

---以下日本語訳---

AWS Data Pipeline サービスはメンテナンスモードであり、新機能やリージョンの拡張は予定されていません。詳細および既存のワークロードの移行方法については、「Migrating workloads from AWS Data Pipeline」を参照してください。

ワークロードの移行方法のドキュメントにおいては、「AWS Glue」「AWS Step Functions」「Amazon MWAA」の3つのサービスが移行先として紹介されています。先にご紹介しましたブログ記事「Migrate workloads from AWS Data Pipeline」でもこの3つが移行先として紹介されていますため、合わせてご覧いただければと存じます。

Amazon SimpleDB

Amazon SimpleDB については「新規顧客の受け入れを停止」について特に掲載されている箇所は見つけられませんでした。

補足しますと、Amazon SimpleDB のドキュメントヒストリーは「April 12, 2012」を最後に長らく停止しており、12年間更新がないサービスです。

現在、非リレーショナルデータベースは Amazon DynamoDB がメインに更新されており、DynamoDB をご利用されている方が大半ですため影響はあまりないと想定されます。

これらの具体的な影響について

既存のお客様

AWS Organizations、つまり組織単位で既に上記のサービスをご利用されている場合、これらのアナウンスの影響はございません。

弊社のお客様におかれましては、2024年7月25日よりも前にこれらのサービスを「組織」でご利用されている場合において、かつ払い出された新規 AWS アカウントで該当サービスが利用できない等の事態が発生する場合には、弊社サポート窓口までお問い合わせください。

新規、または追加で AWS 組織を新しく構築されるお客様

これらのお客様におかれましては、その組織内のアカウントにおいて上記のサービスが新規に利用できない可能性がございます。

特筆すべきサービスとして、具体的な影響が考えられるのが、AWS CodeCommit です。

AWS CodeCommit は、Customizations for AWS Control Tower (CfCT) において以下の「Step 1. Launch the stack」にも記載されているように、CfCT スタックにて構築が行われます。

docs.aws.amazon.com

CfCT で新規に組織(Organizations)を構築するためのスタックテンプレートを作成、運用している場合に、2024年8月以降の新規組織作成においては、AWS CodeCommit が新規にリポジトリを作成しようとして失敗する可能性があります。

なお、CfCT は コード管理として利用するサービスを AWS CodeCommit のみに限定する仕組みではないため、必要に応じて Amazon S3 や Github をご利用いただけます。

一旦ここまでで本ブログの本題は終了するのですが、今回の話題に関する経緯も少しご紹介します。

経緯等

AWS の副社長兼チーフエバンジェリストである Jeff Barr (ジェフ バー) 氏が X(旧 Twitter)に「2024年7月31日 10:40 AM」に投稿を行いました。

以下はその翻訳です。

---以下日本語訳---

熟考を重ねた結果、AWS CodeCommit を含む少数のサービスへの新規アクセスを中止することにしました。 これらのサービスへの新規顧客のオンボーディングは終了しましたが、安全性と信頼性の維持を含め、現在ご利用いただける機能やエクスペリエンスを変更する予定はありません。 また、お客様の進化するニーズに合わせて、他の AWS またはサードパーティ ソリューションへの移行もサポートしています。引き続きフィードバックをお寄せください。私たちは常に耳を傾けています。

また、上記投稿の返信に対して以下のコメントもあわせて投稿しています。

---以下日本語訳---

お客様のご意見は承知しており、お客様にとってよりわかりやすいように改善を進めています。 ここで言及しているサービスは、S3 Select、CloudSearch、Cloud9、SimpleDB、Forecast、Data Pipeline、CodeCommit です。

この投稿により、(ほぼ)公式アナウンスとしてこれらのサービスの新規受け入れ停止が知れ渡ることになりました。

re:Post への投稿について

Jeff Barr 氏の投稿よりも前に、re:Post において AWS 公式からの返信と捉えられる「ある投稿」がありました。

理由は不明ですが、既に該当の投稿は削除されております。参考までに、以下がその re:Post の URL です。

repost.aws

2024年6月28日頃に投稿された本 re:Post の質問には、CodeCommit において以下のエラーに悩まされているという内容が記載されています。

"CreateRepository request is not allowed because there is no existing repository in this AWS account or AWS Organization"

---以下日本語訳---

この AWS アカウントまたは AWS 組織に既存のリポジトリがないため、CreateRepository リクエストは許可されません。

この質問に対する回答として「AWS CodeCommit は新規顧客のオンボーディングを停止しました。今後は、AWS CodeCommit に既存のリポジトリがあるお客様のみが追加のリポジトリを作成できます」という旨の返信が記載されました。

この情報が発端となり CodeCommit の新規受け入れ停止がワールドワイドで拡散され、先にご紹介しました Jeff Barr の投稿に至ったと思われました。なお、一部のユーザは「re:Post ではじめて知ることとなった」という点に不満を覚えているように感じられました。

最後に

本ブログでは、AWS 公式の媒体で「新規の停止を知らせる情報はあるのか?」というエンドユーザ様からの問い合わせに回答するために情報をまとめさせていただきました。

繰り返しとなりますが、今後も引き続き情報は更新されると思われますため、2024年8月2日の12時現在の情報としてご覧ください。

また、本件に関する経緯についても多少なりとも記載させていただきました。

今後 AWS がサービス終了時のアナウンスについて、どのような媒体で告知をするのか、それを弊社はどうキャッチアップしどのようにお知らせすべきか。これらは今後の課題として考えつつ、まずは本ブログにて一旦のお知らせとさせていただきます。

では、またお会いしましょう。

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マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。