はじめに
エンタープライズクラウド本部所属の折口です。 本記事は一部、趣味全開の記事になっていることをご了承ください。
アイスブレイク
この年末にかけて、6年ほど倉庫に眠らせていたバイク「HONDAのCBR1000RR(SC57)」を復活させるために絶賛リストアプロジェクトを実行しています。

事象
時間の流れは早いもので生産してから20年経の時間が経ち、経年劣化も出てしまったことでエンジン警告灯が点灯、このままでは車検が通せない状態に陥ってしまいました。
やりたいこと
HONDAに精通した整備士であればエンジン警告灯のエラーコードから原因と対策を導き出せるが・・・趣味の延長、この問題を自力で解決したい
解決方法
どうしたものかと路頭に迷いかけたところ、試しにAIへ事象と解決策をチャット形式で尋ねてみました。 すると・・・AIから考えられる事象と原因・それに対する修理方法、更に昔のバイクであるため、部品が廃盤で手に入らなかった場合の代替え方法までの提示を頂く。
いや、まさか、詳しい情報を伝えたというのもありますが、これは・・・凄い! 特に代替え手段まで提示されるとは思ってませんでしたが、無事、AIから頂いた案を元に復旧目処が付いたため、早ければ新年早々には車検が通せそうです。
AI活用のアイデア紹介
ご紹介させて頂くアイデアはアイスブレイクの内容に非常に近しい内容になりますが、ITの日々の運用業務においてもAI活用を取り入れるといったご紹介になります。
- 「普段AIはあまり活用できていない」
- 「活用するとしてもAWSの機能で実現したい」
といった方向けに、おすすめしたい紹介になります。
よくある活用ケース
今回アイスブレイクの内容を整理すると、以下オペレーションを行い、解決に至りましたが、「ひと手間」が必要にある状況にあります。
- バイクの診断機からエラーコードを取得
- AIのチャットから「車種」「事象」「エラーコードの原因と対策は何か?」を尋ねる
つまり、情報をAIにインプットをさせるといった行為が一手間必要であると言えます。 しかし、re:Invent 2025のアップデートも踏まえ、この数年でこのプロセスが劇的に変わり、より良い活用方法が出てきました。
今回の主役:「AWS MCP Server」と「Kiro」
AWS MCP Server
MCPといった、AIモデルが外部のデータ(ここではAWS環境)と直接会話するための共通規格があります。 今回、AWSが公式に提供した「AWS MCP Server」を使うことで、AWSアカウント内のリソース状況やログを直接読み取りに行くことができます。
- Before: エラーログや状況をAIに渡す
- After: AIに「今のEC2のエラー原因を調べて」と言うだけで、AIがLogsを見に行って診断する
まさに、頼れる整備士が直接ガレージに来てくれた状態と言えます。 こちらのMCPの詳細は以下に記事がありますので是非ご参照ください。
Kiro(AIエージェント型の統合開発環境)
MCPですごいことができるのはわかったけれど、どうやって使うの? 難しい開発が必要? そこで登場するのが Kiro になります。 Kiroは、上記のような高度なAIエージェントを、エンジニアだけでなく運用担当者が直感的に使える「アプリケーション」として提供してくれるサービスになります。 複雑なコードを書かなくても、Kiro上で「AWSの不具合を調査するエージェント」を立ち上げれば、日々の運用業務のアシスタントが即座に手に入ります。
運用はどう変わるか
これらを組み合わせることで、先ほどのトラブルシューティングはこう変わります。
- 実行前の情報取得
- (旧) ドキュメントやログをあちこち検索
- (新) Kiro上のエージェントに「このアラートの詳細を調べて」と投げるだけ(AIがMCP経由で調査)
- 実行計画の策定
- (旧) 情報を整理して判断
- (新) AIが「過去の事例から、このパッチ適用が有効です」と提案
- 実行
- (旧) 計画に基づきコマンドを実行
- (新) AIの提案を「承認」するだけ
アイスブレイクにおいては間接的に感じた「AIに助けられた感動」が、これからのAWS運用では、よりダイレクトに、より強力な形で実現できるようになります。
まとめ
世の中をみると、AIをどう活用していくかは、まさにここからがスタートダッシュと言えます。一方で、AIに全てを任せてしまった場合、意図しない変更が起きるリスクもあり得ます。 最小権限の付与やログの設定は必須であり、まずは「参照(Read-only)」などの限定利用からどういったものかを使い始めるのをお勧めいたしますのと、この機会にAI活用を始めてみませんか。
Photographer & Cloud Engineer