こんにちは、やまぐちです。
概要
Amazon Q Business で正確性と説明可能性を高める Agentic RAG 機能が発表されました!
Agentic RAG を利用することで、標準 RAG に比べてより高い検索・回答をしてくれます。
ドキュメントによると Agentic RAG を有効化すると以下を実施してくれるようです。
- ユーザーの質問と会話履歴の両方を分析し、どの検索ツールを使用するかを決定します。
- 複雑なクエリをインテリジェントに分解して、よりシンプルなクエリに変換します
- 必要に応じて複数のデータ取得ツールをインテリジェントに起動します
- 企業データに基づいて曖昧さを解消する質問を提供し、ユーザーの意図を明確にします
- さまざまな情報源から情報を統合し、基盤となる大規模言語モデルを使用して応答を生成します。
- 会話を賢く続けるためのフォローアップの質問を提供する
Web experience のチャット画面にあるAdvanced search
をオンにすることで、利用できます。
試してみる
それでは、実際に Agentic RAG を使っていくつか質問をしてみます。
今回は、以下データが記載された Excel ファイルをデータソースとした Web experience で試してみます。
employee_id | full_name | email_address | phone_number | department | status |
---|---|---|---|---|---|
E1001 | 鈴木 一郎 | i.suzuki@example.com | 090-1111-2222 | 営業部 | 在籍 |
E1002 | 田中 花子 | h.tanaka@example.com | 090-3333-4444 | 人事部 | 在籍 |
E1003 | 高橋 次郎 | j.takahashi@example.com | 090-5555-6666 | 開発部 | 在籍 |
E1004 | 佐藤 裕美 | y.sato@example.com | 090-7777-8888 | 営業部 | 休職 |
E1005 | 伊藤 健太 | k.ito@example.com | 090-9999-0000 | 開発部 | 退職 |
回答の違いについて
まずは、標準 RAG と Agentic RAG とで回答を見比べてみます。
標準 RAG の回答です。

次に、Agentic RAG を有効化しての回答です。

2つの回答を見比べると、Agentic RAG の方は回答の最後に「他に田中さんについて知りたい情報はありますか?」という文言があります。
ドキュメントに記載されていた会話を賢く続けるためのフォローアップの質問を提供する
がまさに、この回答だなと感じました。
Event 履歴について
次に、回答の横から確認できる Event 履歴を見てます。
まず、標準 RAG の Event 履歴です。

Agentic RAG の Event 履歴です。


見比べると Agentic RAG の方は、日本語で段階的に検索をかけているのがわかります。
今回は、単純なテーブルをデータソースを用いて検証しましたが、より複雑なデータソースの場合だと正確性の高い回答が返ってくることが期待できるかもしれません。
Agentic RAG を利用する上での注意点
応答時間が標準 RAG よりも長い場合がある
ドキュメントにも明記されていますが、様々な形でデータの取得操作を実施するため、標準 RAG よりも回答が出るまでに時間がかかることがあります。
実際に、今回の検証を実施した際も、標準 RAG よりも応答時間が気持ち少し長く感じました。
docs.aws.amazon.com
ユーザ認証された Web experience 上でしか利用できない
Amazon Q Business は様々な形で利用ができますが、今回の Agentic RAG についてはユーザ認証された Web experience 上でしか利用できませんでした。
※2025年8月15日時点
Apps の場合
「Advanced search」のオン/オフボタンはカードの設定画面を開いても登場せず
Prompt の中で、Advanced search は on の状態で検索・回答してください。
という指定はしてみましたが、「他に気になることはありますか?」といったコメントはなかったです。
そのため、おそらく Apps でも利用はできないものと考えられます。
匿名アクセスの場合
ユーザ認証なしでチャットを開くと「Advanced search」のオン/オフボタンがないことがわかります。
匿名アクセスについては以下ブログで紹介しておりますので、ご参照ください。
ブラウザ拡張機能の場合
ブラウザの拡張機能で、チャットを開いた場合にも「Advanced search」のオン/オフボタンがありませんでした。
ブラウザ拡張機能については以下ブログで紹介しておりますので、ご参照ください。
Web サイトに組み込んだ場合
Web experience を Web サイトに組み込んだ場合、ユーザ認証が有効であれば利用ができました。
Web サイトへの組み込みについては以下ブログで紹介しておりますので、ご参照ください。
まとめ
Amazon Q Business の Agentic RAG 機能を有効化すると検索・回答精度が上がります。
しかしながら、2025年8月15日時点では以下の点については注意が必要です。
- 応答時間が標準 RAG よりも長い場合がある
- ユーザ認証された Web experience 上でしか利用できない
それでは、またどこかで~