読書部兼マイコン部のくればやしです。
本記事は「サーバーワークス Advent Calendar 2025」の12月3日分になります。
本記事では最近読んだ本で面白かった『ザイログZ80伝説』を紹介します。
突然ですが、世界最初のマイクロプロセッサの開発に日本人が強く関わっていることをご存知でしょうか。 世界最初のマイクロプロセッサはIntel 4004でギネスに登録されています。ここに名を連ねているのが、嶋正利氏です。
最初の市販マイクロプロセッサはIntel 4004で、2,300個のトランジスタを搭載し、クロック速度740kHzの4ビットCPUでした。フレデリコ・ファギン、スタンレー・メイザー、テッド・ホフ(インテル)、そして嶋正利(ビジコム)によって、ビジコム141-PF計算機向けに設計されました。このチップは1971年11月15日に発売されました。
First microprocessor | ギネス世界記録
本書のテーマはザイログ社の開発したマイクロプロセッサのZ80ですが、その開発が始まる大きなきっかけとなる最初のマイクロプロセッサの開発から本書の物語はスタートします。
当時電卓メーカのビジコムに勤務していた嶋氏が汎用的な電卓用ICを開発するため、当時新興企業のインテル社と一緒に開発を進めます。これがIntel 4004として世に出ることになります。続けて、データポイントの端末用ICの8008、割り込みやDMAに対応したIntel 8080が開発・発売されていきます。
その後、これらの開発部長だったフェデリコ・ファジン氏がインテル社を退社し、ザイログ社を設立、嶋氏等とともにZ80を開発・発売します。これが1976年のことです。
本書が刺激的なのは、このようなZ80の開発の経緯だけでなく、技術的な特徴や解説が豊富なところです。なんと第2章では著者自ら技術的な裏付けを確認するため、Z80を用いたシングルボードコンピュータを自作しています。(設計されたプリント基板は発売されているそうです)

本書は、同僚に紹介してもらって面白そうなので読みました。最近私は趣味でZ80を使った回路を組んでコンピュータもどきを作ることに凝っており、その話を会社でしている中で本書の話があがりました。
そもそも私がZ80を触ることになったきっかけは『コンピュータはなぜ動くのか』という本です。この本はコンピュータの動作原理の学習に最適だと思っているのですが、この本の中で例として取り上げられているCPUがZ80だったのです。こちらの本ではZ80を使って実際に回路を組み、マイコンを読者が自分で作ってみる章があり、大変勉強になります。*1
実際にモノを触りながら疑問に思っていたことが、本書『ザイログZ80伝説』の中でなぜそのような設計になっているか等言及されていることもあり、点と点がつながった感じがして大変得心がいった部分もありました。本書で紹介されているシングルボードコンピュータも触ってみたいところです。
というわけで、本書をきっかけにつらつらと感想を述べてきました。どなたかの刺激になれば幸いです。
紅林輝(くればやしあきら)(サービス開発部) 記事一覧
サービス開発部所属。2015年にサーバーワークスにJOIN。クラウドインテグレーション部を経て、現在はCloud Automatorの開発に従事。ドラクエ部。推しナンバーはⅤ、推しモンスターはクックルー。

