サーバーワークスの代表電話はAmazon Connectへ移行しました。
[導入紹介記事] わたしたち、こうやって Amazon Connect を本格導入しました
その際に電話の着信情報はSlackに通知するようにしています。
Amazon Connect と Slack を知っている人にとっては技術的には非常に簡単であることをすぐに理解してもらえると思います。
やることは
- 問い合わせフローの中でLambdaをコール
- LambdaでSlackに投稿
だけです。
サーバーワークスの場合はこれにSalesforceのAPIも連携して情報を取得しています。
技術的にはとてもシンプルですが導入してみて得られた効果、そして想定していなかった効果を紹介したいと思います。
実装内容の簡単な紹介
Amazon Connect の問い合わせフローの中で、問い合わせ情報をSlackの電話情報通知用channelに投稿しています。
かかってきた電話番号の他に、Salesforceの各種オブジェクトをいい感じで検索して登録があれば会社名やお名前をリンクつきで表示しています。
リンクをクリックすれば関連情報にアクセスすることが可能です。
Salesforceの該当情報をポップアップすることも可能なのですが、電話対応メンバーは電話業務専任担当ではなく通常業務の合間に電話をとっています。
今行っている業務を中断させることが適切であるかは微妙なため、ポップアップなし・クリックで遷移可能という仕様にしています。
かかってきた電話番号によってIVRを分岐させていますが、どのIVR処理をしたかも通知内容からわかるようにしました。
Amazon Connectの問い合わせ追跡レコードへのリンクもおまけでつけてみました。
想定内の導入効果
まずは想定内の導入効果です。
想定内ではありますが、運用を目の当たりにすると感慨深いです。
■電話がより把握できるように
Slackの投稿があるのでだれから電話がかかってきたのかがオープンな情報として記録されます。
応対していない人でも気になる人からの電話に気がつけます。
どのメンバーが対応をしてくれたのかもわかります。
Slackの検索機能を使えば、以前いつ電話をくれたかもさっと調べられるようになります。
■ちょっとした伝言が気軽に、スピーディーに
電話番号、取引先名がすでに記載されているのでメンション付きで伝言をすぐに伝えられます。
今までは…
電話番号は通話中にメモをしたり、電話の後に着信履歴から探していたりしていました。
取引先名や担当者名は聞き取りにくかったり、漢字がわからないこともありましたが表示されていればあっているかの確認だけになります。
■コール状況がだいたいわかる
Amazon Connectで問い合わせ検索をしたり、履歴メトリクスをみればどの時間帯にどのくらい電話があったかを確認することができます。
しかし、あえて見に行かなくてもSlackの通知channelでコール状況がみえます。
サーバーワークスの傾向は下記のような感じです。
- サーバーワークスの場合夕方に電話が多い
- 午前中の電話は比較的取引先(案件のお客様)は少ない
そしてあれ?そういえば今日、電話がなってなくない?ちゃんとつながってる?
ということにも気がつくきっかけのひとつにもなります。
Amazon Connectは耐障害性の高いサービスなので上記のケースはさほど心配していません。
しかし例えば社内のインターネット接続環境にトラブルがあれば電話にでれなくなってしまいます。
電話がきてるのに気がつかない…なんていうことにもなりかねません。
Slackに投稿されていれば、このあたりも安心です。
余談ですがサーバーワークスではかなり昔にIP電話を利用していたときに、電話がつながらない状況に陥った経験があります。
しかも2回も。
あのときは気がつかず、オフィスが静かだな〜、などとのんきに思っていたものです。
■営業時間外の電話状況を気軽に把握
営業時間時間外の電話があったのかないのかが毎日すぐわかります。
もしあった場合はいつ、だれから電話があったかをSlackをみることで把握できます。
営業時間外の電話の数は決して多くはありませんが、どのような電話が来てどのような対応をしなければいけないのかがわかればオペレーションや仕組みで連絡がこないように解決する方法を検討することもできます。
■対応不要電話の見える化
FAX広告など有人で対応する必要がない電話については自動応答で対応をしています。
今まで電話対応をする人が、作業をわざわざ中断して対応していた電話です。
対応不要とはいえ誤りがあれば修正をしたいので、Slackに告知をしてみえるようにしています。
まだ運用をはじめたばかりで対応不要電話番号の登録数は少ないのですが、今後徐々に効果を発揮すると期待しています。
対応しなくてよい電話がみえれば「Connectを導入してよかったな」と少しでも思ってもらえる、と導入担当としては信じています。
■コンタクト情報に気軽にアクセス
Slack投稿にはConnectのコンタクトデータ(問い合わせ追跡レコード)へのリンクも設けました。
クリックをすれば電話がかかってきた時間、切断した時間、対応したメンバー、通話録音データを確認できます。
ちょっとした調査や確認に思いの外役立っています。
思わぬ導入効果
そして次に思わぬ導入効果をご紹介します。
■電話対応の心がより平穏に
電話がなるよりも前にSlackへの投稿が完了します。
電話に出る人は応答前にどの電話番号からかかってきているのか確認し、心の準備ができます。
ちいさな違いですがストレスが軽減されます。
また、どうしてもこの人の電話は出たくない…という事情があれば対応を別の人にパスすることもできます。
実際はそんな場面はありませんが、パスできるとしっていることもストレス軽減につながっているようです。
■電話対応チームのより積極的なフォロー体制
Slackの通知設定をコントロールして、チャンネルの新規ポストに対して通知するように設定するようにする猛者も現れました。
いやいやそんなことしてどうするの、と思ったら「着信に対してすぐフォローできる」とのこと。
その心構え、わたしにはみじんも思い浮かびませんでした。
■Salesforce取引先責任者の適切なメンテナンス
なんらかの事情があって2重に登録されてしまっているSalesforceの取引先情報…整理はしていてもどうしてもでてきてしまいます。
そして整理するきっかけもなかなかとれないんですよね。
「いい感じに」取引先と取引先責任者の情報を表示していますが、重複があったときは 同一電話番号の取引先が複数(N件)あります
とアラートが表示されます。
これにより意図せず登録が重複しているアクティブなお客様の情報を統合するきっかけができるようになりました。
また、取引先責任者登録がされているのに取引先が登録されていない
といったイレギュラーな情報もわかるようになり、正しくメンテナンスできるようになりました。 Amazon Connectを導入してSalesforceの登録情報整理ができるとは導入前は全く想像していませんでした。
■取引先以外からの電話の多さを再確認
「いい感じに」Salesforceの情報を表示していますが、Salesforceに登録されていない電話番号は名前を表示する手段がありません。
Amazon Connectを導入してみたところ、取引先からのお電話が想像以上に少ないことに驚きました。
半分くらいは取引先のお客様かと想像していたのですが、蓋を開けたら2割もない…。
今までどんな電話があるのか、雰囲気でしかわかっていませんでした。
実際のデータが手に入ったので、電話対応するメンバーの時間を確保する次なる施策が具体的に考えられるようになりました。
まとめ
Slack投稿内容は当初の設計予定よりかなりシンプルな内容でスタートしました。
まずはスピード優先でミニマム導入したのですが、それでもこれだけの効果が実感できました。
この先の追加実装でさらなる効果、そして想定外の副次効果がでてくるのではないかと期待しています。
Amazon Connectはオペレータ間、そしてSVとオペレータのコミュニケーションに関する機能がウィークポイントのひとつです。
Slackと組み合わせた運用でコミュニケーション機能をカバー…いや、むしろ大改革できるのではないかと思っています。
サーバーワークスではAmazon Connectの導入支援はもちろん、Slackと連携したご提案、支援も行っています。
お気軽にご相談ください。
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