Amazon WorkSpaces の削除時に月額コストを削減する方法

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SRE2課 佐竹です。
本日はちょっとした WorkSpaces に関する運用Tips的なコスト削減ネタです。

はじめに

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Amazon WorkSpaces は料金体系が基本的には月額の課金制となっています。時間課金オプションもありますが、月額の固定料金がかかります。加えて、以下の通りの課金制になっています。

WorkSpace の使用を開始した最初の月は、有効にした初日から月末までの日割り計算で WorkSpace の月額料金が調整されます。WorkSpace を月末になる前に終了する場合、月額料金はそのまま適用されます。

https://aws.amazon.com/jp/workspaces/pricing/

「WorkSpace を月末になる前に終了する場合、月額料金はそのまま適用されます。」 の箇所が今回の重要なポイントです。つまり、2020年8月2日に WorkSpace を削除しても、8月31日に削除しても月額料金は同額ということです。

ブログ記事のご紹介

過去 WorkSpaces の利用料については以下のブログで掘り下げております。

blog.serverworks.co.jp

少々古いですが、時間課金については以下のブログをご参考ください。

blog.serverworks.co.jp

FAQでさらに仕様を確認する

aws.amazon.com

上記FAQには以下の通りの記載があります。

Q: 1 か月以内にストレージサイズまたはハードウェアバンドルを変更した場合、どのように請求されますか?

いずれの変更の場合も、日単位で按分計算された AlwaysOn の月額料金あるいは AutoStop WorkSpaces の月額料金が請求されます。

例えば、ある月の 10 日に AlwaysOn のパワー WorkSpaces (ルートボリューム 175 GB) のルートボリュームを 100 GB、ユーザーボリュームを 100 GB 増やした場合、パワー WorkSpaces の月額料金 78 USD と、追加分 175 GB の 20 日分の料金 11.6 USD が請求されます。追加分の料金は 1 か月あたり 0.1 USD/GB (US-East-1 の場合) です。同様に、ある月の 15 日にバンドルをバリューからスタンダードに切り替える場合、バリュー WorkSpaces の請求が 15 日分 (US-East-1 では 12.5 USD)、スタンダード WorkSpaces の請求が 15 日分 (US-East-1 では 17.5 USD) となります。

これはつまり、利用している月の途中でバンドルを変更した場合は、その変更した日から月末までが日割りになる、ということです。これを見て気づきました。となれば反対に

「ある月の 15 日にバンドルをスタンダードからバリューに切り替える場合、スタンダード WorkSpaces の請求が 15 日分 (US-East-1 では 17.5 USD)、バリュー WorkSpaces の請求が 15 日分 (US-East-1 では 12.5 USD) となります。」

ということができるのではと考えました。
これは実際その通りで、スタンダード⇒バリューという「コストが下がる」変更を行った場合、変更した日から月末までが安い額で日割りになるためその月のコストが下がります。

削除時に月額コストを削減する方法

前提の説明が終わりましたのでコスト削減方法を記載します。スタンダード以上のバンドルサイズの WorkSpace を削除する場合は、バンドルをバリューに変更してから削除することでコストが削減できるがその方法となります。

本来的には、「WorkSpace を月末になる前に終了する場合、月額料金はそのまま適用されます」というのが仕様です。しかし、利用している月の途中でバンドルの変更を実施した場合は、その変更した日から月末までが変更後のバンドルの料金で日割りになる という仕様もあります。つまり「バンドルを一番小さいサイズのバリューに変更」した後に「WorkSpace を 削除」とすることでコストが削減できることになります。

実際にそうなるのか、検証してみました。

検証

WorkSpaces が1台構築されているとします。この WorkSpaces は月初から利用されているため月額の利用料が満額で請求されています。請求明細を見ると、以下の表示があります。

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$45/month-Monthly-Windows licensed-Standard-2vCPU,4GB Memory,80GB Root,10GB User

利用料(CostBeforeTax)は $45 です。

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なおこれは、画像にある通り WorkSpaces の基本月額と同額です。この WorkSpace を月の途中でバリューにしてから削除してみました。そうしますと、以下の通り請求明細が変更されていました。

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どのくらいコストが下がったのか、計算してみましょう。

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画像の通り、月の 34.59%程度はバリューのコストになりました。これにより

$45 - $41.195349 = $3.804651

のコストが削減できました。

どのくらいコスト削減に有効かの考察

例えば、利用している月の「ちょうど半分(50%過ぎたところ)」で利用中の WorkSpace をバリューに変更した場合の効果を考えてみます。計算した結果、以下の表の通りになりました。

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※利用率50% = 月の半分を記載のバンドルで利用した、という意味です

また、利用率を20% = 月の2割を記載のバンドルで利用した後にバリューに変更して削除すると以下の通りになります。

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バンドルサイズが大きいほど、またバリューへの変更は月初に近いほどコスト削減効果が高く、より有効なことがわかります。

注意点

以下の点にご注意ください。

より小さなバンドルは 30 日ごとに 1 回リクエストできます。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/workspaces/latest/adminguide/modify-workspaces.html

WorkSpace を構築後、30日経過していない WorkSpace はバンドルをより小さい「バリュー」に変更できません。

まとめ

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今回は Amazon WorkSpaces において、利用が完了した WorkSpace を削除するにあたりコストを削減する方法をご説明するとともに実際に検証も行ってみました。スタンダード以上のバンドルサイズをご利用されている場合は、バリューに変更してから削除を行うことでコストを削減できる点、有効活用頂けますと幸いです。

ではまたブログでお会いしましょう。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。