Amazon Q DeveloperとAmazon Q Businessの違いと活用方法

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Amazon Web Services(AWS)の生成AIサービス「Amazon Q」

みなさんこんにちは!マネージドサービス部MSS課の塩野(正)です。

最近生成AI関連のアップデートが増えているものの、個人的に色々とキャッチアップできてないな~というのがありまして、「Amazon Q」について興味はあったもののサービスについて理解できてない面が多かったので調べるついでに記事にまとめました。

では、さっそく Amazon Q って何?それって美味しいの!?というのをみていきましょう!

Amazon Q って何?

Amazon Q は、Amazon Web Services(AWS)が提供する注目の生成AIサービスです。大きく分けて、開発者向けの「Amazon Q Developer」とビジネス向けの「Amazon Q Business」の2つのバージョンがあります。どちらも自然言語での対話が可能で、ユーザーの質問に応じて情報を提供したり、タスクを支援したりしてくれます。

Amazon Q Developerとは

Amazon Q Developer は、その名の通り、開発者向けのサービスです。

docs.aws.amazon.com

簡単に例えるならアプリケーション構築をサポートしてくれる強い味方というところでしょうか。大きく分けるとAWS マネジメントコンソールなどでの使用するパターンと統合開発環境 (IDE) に組み込んで使用するパターンとの2つに分かれます。

それぞれについて主な機能を見ていきましょう:

AWS マネジメントコンソールなどでの使用するパターン

AWS CLI の使い方 ベストプラクティス AWS リソース AWS サービスの選択 ドキュメント

IDEに組み込んで使用するパターン

JetBrains、Visual Studio CodeなどのIDEに組み込んで使用する場合、ざっくりと下記のようなことができます。IDEの種類によってできることが異なったり、一部の項目については有償版のAmazon Q Developer Proの機能もありますのでご注意ください。

  • インラインでのコード補完
  • コードの生成と更新
  • コードのセキュリティ脆弱性スキャン
  • コードのアップグレード (例: 言語アップデート、デバッグ、最適化)
  • コードの最適化とリファクタリングに関する質問への回答

詳細はこちらをご参照ください

docs.aws.amazon.com

Amazon Q Businessとは

一方、Amazon Q Business は企業向けに設計されたサービスです。

docs.aws.amazon.com

企業内のデータを基に質問に答えたり、要約を作ったり、コンテンツを生成したり、タスクを完了させるような目的で使用します。

大きく分けると下記のような機能があります:

  1. 正確で包括的な回答: あらかじめ用意しておいたコンテンツの情報をもとにユーザーの質問に対して包括的で正確な回答を生成できる

  2. 機械学習インフラとモデルの自動管理: 機械学習基盤やモデルの構築・管理を Amazon Q Business が自動的にやってくれるため、ユーザーはこれらの専門知識がなくてもチャットボットソリューションの構築に集中できる

  3. 様々なデータソースコネクタ: Amazon S3やMicrosoft SharePoint、Salesforceなど、様々なデータソースに接続するためのコネクタが組み込まれているため、こういったコネクタに対する複雑な接続設定や接続のためのコーディングなしにそれぞれのデータソースに接続できる

  4. データとアプリケーションのセキュリティ: データへのアクセス制御をサポートしているため、ユーザーはアクセス権限のあるコンテンツのみから回答を受け取ることができる。また、IAM Identity Center と連携し、Amazon Q Business へのアクセスを管理することもできる

こうした点から、Amazon Q Business を使うことで IT部門や人事部門、その他社内で利用できるQ&A チャットボットとして使えたり、タスクを自動化するアプリケーションとして使えたりと、さまざまな場面で活躍できそうですね。

Amazon Q Developer と Amazon Q Business の違いは?

さて、ここまで Amazon Q Developer と Amazon Q Business について見てきましたが、「結局、それぞれの違いって何?」って思った方もいるかもしれませんね。そこで、主な違いをまとめてみました。

機能 Amazon Q Developer Amazon Q Business
主な対象ユーザー 開発者 企業ユーザー
主なユースケース AWS アプリケーションの理解、構築、運用、ソフトウェア開発 回答、要約、コンテンツ生成、タスク自動化
認証方法 AWS Builder ID、IAM Identity Center IAM Identity Center
コンテキストに応じた回答の生成
コンソールのエラー診断 ×
ソフトウェア開発 ×
コードについてのチャット ×
インラインコード提案 ×
コード変換 ×
コードのセキュリティ脆弱性スキャン ×
AWS Chatbot での利用
統合開発環境 (IDE) での利用 ×
コマンドラインでの利用 ×

見てみると、Amazon Q Developer はやはり開発者向けの機能が充実しており、コードに関する機能や AWS の細かい部分まで対応しています。 一方、Amazon Q Business は企業全体で使えるように設計されていて、幅広いユースケースに対応できるようになっているようですね。

料金体系はどうなっているの?

Amazon Q の料金体系も、Developer と Business で少し違います。

Amazon Q Developer の料金

Amazon Q Developer には、無料利用枠と有料の Pro サブスクリプションがあります。 詳しい料金については、Amazon Q の料金ページを確認してみてください。

Amazon Q Business の料金

Amazon Q Business は、ユーザーのサブスクリプションとインデックス容量に対して課金されます。 具体的な料金例や詳細は、Amazon Q Business の料金ページで確認できます。

Amazon Q を使う際の注意点

Amazon Q はとても便利なサービスですが、使う際にはいくつか注意点があります。特に業務で使用する場合は、以下の点に気をつけましょう

  1. 会社の情報システム部門に相談する: 業務利用する前に、必ず会社の情報システム部門に相談しましょう。会社のセキュリティポリシーや規定に違反していないか確認することが重要です

  2. 機密情報の扱い: Amazon Q は学習型のAIサービスのため、機密情報を扱う場合は特に注意が必要です ( Amazon Q Developer 無料版はデフォルトでオプトアウトされていません。詳しくはこちらのページをご確認ください)

  3. 情報の鮮度: Amazon Q Developer の場合、使用しているデータが最新ではない可能性があるため、重要な情報については必ず公式ドキュメントなどを確認してください

  4. 回答の確認: AI が生成した回答は、時として間違いを含むことがあるため、必要に応じて人間が内容を確認し、修正や補足をしてください

Amazon Q の活用方法

Amazon Q を効果的に活用するためのヒントをいくつか紹介します。

  1. 具体的な質問をする: 質問が具体的であればあるほど、より正確で有用な回答を得られます。「AWS の RDS サービスの特徴を教えて」のような具体的な質問を心掛けましょう

  2. 対話を重ねる: 1回の質問と回答で終わらせず、さらに詳しく聞いたり、別の角度から質問したりすることで、より深い理解が得られるかもしれません

  3. コード改善に活用する: Amazon Q Developer を使っている場合、自分のコードを見せて改善点を聞いたり、より効率的な書き方を教えてもらうこともできます

  4. ドキュメント作成の助けに: Amazon Q Business を使うことで、社内文書の要約や検索、報告書の下書き作成などに活用できそうです

  5. 学習ツールとして使う: 新しい技術や概念について質問することで、効率的に学習を進められます。

まとめ

Amazon Q について調べたことをまとめてみました。ざっくりと整理するとAmazon Q Developer は、AWS のアプリケーション開発や運用を支援し、コーディングの効率を上げるのに役立ちます。一方、Amazon Q Business は、企業全体でのナレッジ管理や業務効率化をサポートしてくれます。

開発者向けの Amazon Q Developer と、ビジネス向けの Amazon Q Business の2つのバージョンを、それぞれのニーズに合わせて使うことでより生産性向上につながりそうですが、使用する際は機密情報の取り扱いや、生成された情報の確認など、いくつかの注意点があることに留意してください。

こちらの記事がどなたかのお役に立てれば幸いです。

◆ 塩野 正人
◆ マネージドサービス部 所属
◆ X(Twitter):@shioccii
◆ 過去記事はこちら

前職ではオンプレミスで仮想化基盤の構築や運用に従事。現在は運用部隊でNew Relicを使ってサービス改善に奮闘中。New Relic User Group運営。