本稿では、macOS 環境で AWS Knowledge MCP Server を設定する手順を詳しく解説します。
生成AIはともだち!こわくないよ!
内村でございます。
Amazon Q CLI では、MCP(Model Context Protocol)サーバーを利用してAWSドキュメントにアクセスできます。
従来のローカル MCP サーバー(aws-doc-mcp)に加えて、AWSが提供するリモート MCP サーバー「AWS Knowledge MCP Server」が利用可能になりました。
Amazon Q CLI を使っていて、「もうすこしベストプラクティスに沿ってやってほしいな」そんな思いを抱き、導入してみました。
内容についての諸注意
当記事は 2025年8月時点で調査した製品、サービス内容を記載しています。 最新の情報に関しては各種公式サイト、マニュアル等をご確認下さい。
当記事作成の際には十分注意しておりますが、内容に公式と相違がある場合は公式を優先とさせていただきます。
当記事内の試算およびそれに準ずる内容は、本資料の説明のために用いるものであり、不利益が生じた場合、一切の責任は負いかねますので予めご了承ください。
また、2025年8月18日月曜現在、AWS Knowledge MCP Server はプレビューになります。
リリースされた場合は内容が変更になる場合がございます。 ご了承ください。
AWS Knowledge MCP Serverとは
AWS Knowledge MCP Server は、AWSが提供するリモート MCP サーバーです。
従来の aws-doc-mcp とは以下の点で異なります。
従来の aws-doc-mcp(ローカル)
- ローカルにインストールして動作
- 主にAWSドキュメントのみを対象
- 定期的な更新が必要
AWS Knowledge MCP Server(リモート)
- AWS が管理するリモートサーバー
- 豊富な情報源を統合
- AWSドキュメント
- API リファレンス
- What's New 投稿
- Getting Started 情報
- Builder Center
- ブログ投稿
- アーキテクチャリファレンス
- Well-Architected ガイダンス
- 常に最新情報にアクセス可能
- AWSアカウント不要
前提条件
本稿では私が検証した以下の環境を前提としています。
ご了承ください。
- macOS 環境
- asdf で Node.js を管理
- Amazon Q CLI 既存設定
- 本稿では既に aws-doc-mcp を使用中
- インターネット接続
実施前の環境確認
まず現在、すなわち AWS Knowledge MCP Server を導入する前の状況を確認します。
Amazon Q CLI 設定を確認します。
cat ~/.aws/amazonq/mcp.json
私の開発環境では以下のようになっていました。
{ "mcpServers": { "aws-doc-mcp": { "command": "uvx", "args": [ "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest" ], "env": {}, "timeout": 120000, "disabled": false } } }
すなわち、この PC(macOS)にログインしているこのユーザーの環境、すべてで、MCP サーバーは aws-doc-mcp の1つが利用可能であることが分かります。
インストール方法の検討
AWS Knowledge MCP Server を利用するには、プロキシツール(mcp-remote)のインストールが必要です。
インストール方法には以下の選択肢(オプション)があります。
- グローバルインストール(npm install -g)
- ローカルプロジェクトでのインストール
オプション1: グローバルインストール(npm install -g)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| - どのディレクトリからでもアクセス可能 - 設定が簡単 - パスの指定が不要 |
- システム全体に影響を与える - 権限の問題が発生する可能性 - 他のプロジェクトとの依存関係の競合リスク - アンインストール時の影響範囲が広い |
オプション2: ローカルプロジェクトでのインストール
| メリット | デメリット |
|---|---|
| - 環境への影響を最小限に抑制 - プロジェクト単位での管理が可能 - 簡単に削除・やり直しが可能(環境の可逆性) - 他のシステム設定に影響しない |
- 専用ディレクトリの作成が必要 - 設定時にパス指定が必要 |
本稿での選択
本稿では、環境の可逆性を重視して オプション2(ローカルプロジェクトでのインストール) を採用します。
この選択により以下のメリットが期待できます。
- 設定に問題が発生した場合、専用ディレクトリを削除するだけで完全に元の状態に戻せます
- システム全体への影響を避けられます
- 他の Node.js プロジェクトとの依存関係の競合を防げます
特に macOS 環境をできるだけ変更したくない場合には、この方法が最適です。
設定手順
以下の手順で設定を行います。
- 専用ディレクトリの作成
- Node.js 環境のセットアップ
- npm プロジェクトの初期化
- mcp-remote のインストール
- Amazon Q CLI 設定ファイルの更新
以下はそのコマンドと結果の例です。
1. 専用ディレクトリの作成
環境への影響を最小限にするため、専用ディレクトリ(AWS Knowledge MCP Server)を作成します。
mkdir -p ~/workspaces/AWS\ Knowledge\ MCP\ Server/ cd ~/workspaces/AWS\ Knowledge\ MCP\ Server/
2. Node.js 環境のセットアップ
asdf を使用して Node.js をセットアップします。
# 利用可能なNode.jsバージョンを確認 asdf list all nodejs | tail -10 # 最新版をインストール asdf install nodejs 24.6.0 # ローカルバージョンを設定 asdf set nodejs 24.6.0 # バージョン確認 node --version npm --version
実行結果は以下です。
v24.6.0 10.9.2
3. npm プロジェクトの初期化
おまじないです。
npm init -y
4. mcp-remote のインストール
AWS Knowledge MCP Server はリモートサーバーのため、中継となるプロキシツールが必要です。
npm install mcp-remote
5. Amazon Q CLI設定ファイルの更新
~/.aws/amazonq/mcp.json に AWS Knowledge MCP Server の設定を追加します。
{ "mcpServers": { "aws-doc-mcp": { "command": "uvx", "args": [ "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest" ], "env": {}, "timeout": 120000, "disabled": false }, "aws-knowledge-mcp-server": { "command": "npx", "args": [ "mcp-remote", "https://knowledge-mcp.global.api.aws" ], "cwd": "/Users/<username>/workspaces/AWS Knowledge MCP Server", "env": {}, "timeout": 120000, "disabled": false } } }
※ cwdパスは実際のユーザー名に置き換えてください
設定内容の解説
前項「設定手順」で実施した内容の補足説明をします。
プロキシツール(mcp-remote)の役割
AWS Knowledge MCP Server はリモートサーバーとして動作します。
Amazon Q CLI、すなわちお使いの環境との通信にはプロキシツールが必要です。
mcp-remoteがこの役割を担います。
自動起動の仕組み
Amazon Q CLI が起動すると、以下の流れで自動的に AWS Knowledge MCP Server に接続されます。
- Amazon Q CLIが起動
mcp.jsonの設定を読み込み- 指定されたディレクトリで
npx mcp-remote https://knowledge-mcp.global.api.awsを実行 - リモートサーバーに接続
- ツールが利用可能になる
設定パラメータ
"mcpServers"."aws-knowledge-mcp-server" に設定するパラメーターを解説します。
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
| command | 実行するコマンド(npx) |
| args | コマンド引数(mcp-remoteとサーバーURL) |
| cwd | 実行ディレクトリ(mcp-remoteをインストールした場所) |
| timeout | タイムアウト時間(ミリ秒) |
利用可能なツール
AWS Knowledge MCP Server では以下のツールが利用可能です。
| ツール | 説明 |
|---|---|
| search_documentation | AWS全体のドキュメント検索 |
| read_documentation | AWSドキュメントページの取得・マークダウン変換 |
| recommend | AWSドキュメントページの関連コンテンツ推奨 |
注意点とトラブルシューティング
インターネット接続が必要
AWS Knowledge MCP Server はリモートサーバーのため、インターネット接続が必要です。
手動起動は不要
一度設定すれば、Amazon Q CLI を起動するたびに自動的に AWS Knowledge MCP Server が利用可能になります。
macOS 起動時の手動操作は不要です。
既存設定との共存
既存の aws-doc-mcp と併用可能です。
両方の MCP サーバーのツールを同時に利用できます。
環境への影響を最小化
ローカルプロジェクトとしてインストールすることで、システム全体への影響を最小限に抑えています。
まとめ
AWS Knowledge MCP Server を利用することで、Amazon Q CLI からより豊富なAWS情報にアクセスできるようになります。
リモートサーバーとして動作するため、常に最新の情報を取得でき、ローカル環境への影響も最小限です。
設定は一度行えば、その後は自動的に動作するため、日常的な運用負荷もありません。
既存の aws-doc-mcp と併用することで、より充実したAWS開発体験を得られるでしょう。
さいごに
これで Q さまに、
「それ、今はベストプラクティスじゃないよ ( ˆωˆ)フフッ」
とツッコミ入れることもなくなるかと思うと少しさみしいような、私チェックのメリットも無いような……。
そんな瞬間も訪れるのですが、それはまた、別のお話。