
こんにちは、サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当している針生です。
2025年11月18日、Kiroが一般公開され、Kiro CLIもAmazon Q Developer CLIをアップデートする形で提供を開始しました。
本記事ではKiro CLIとAmazon Q Developer CLIの違い、そして移行方法について解説します。
Kiro CLIとAmazon Q Developer CLIとの比較
以下の表で主な違いを整理します。
| 項目 | Kiro CLI | Q Developer CLI |
|---|---|---|
| インストール方法 | ネイティブインストール | dmg/zip ベース |
| 認証方式 | GitHub、Gmail、BuilderId、IAM Identity Center | BuilderId、IAM Identity Center |
| エントリーポイント | kiro-cli | q / q chat |
| ルール / ステアリング | Kiro Steering | Amazon Q Rules |
| サブスクリプション | Q Developer および Kiro | Q Developer および Kiro |
| 機能 | MCP、カスタムエージェント、フック | MCP、カスタムエージェント、フック |
| ライセンス | AWS Intellectual Property License | Apache 2.0 |
移行方法
既存のQ Developer CLIユーザーは、以下のコマンドでアップグレードできます。
q update
自動更新を有効にしていた場合、2025年11月24日にQ Developer CLIはKiro CLIに自動的に更新されます。
移行時の動作
初回インストール時に以下の処理が自動的に実行されます。
設定ファイルのコピー
~/.aws/amazonqフォルダの内容を~/.kiroフォルダにコピー~/.aws/amazonq/mcp.jsonを~/.kiro/settings/mcp.jsonにコピー(競合時はスキップ)rulesフォルダの内容を~/.kiro/steeringフォルダにコピーcli.jsonファイルを既存の設定から作成
後方互換性の維持
qおよびq chatコマンドは引き続き使用可能- プロジェクト内の
.amazonqフォルダの設定もそのまま動作 - ただし、新しい設定は
.kiroフォルダに保存される
ツール権限名の変更
Kiro CLIでは、ツール権限の名称が以下のように変更されています。
fs_read→readfs_write→writeuse_aws→awsexecute_bash→shellreport_issue→report
設定パスの変更
Kiro CLIでは設定ファイルのパスが変更されていますが、後方互換性は維持されています。
| 設定項目 | スコープ | Kiro CLI | Q Developer CLI |
|---|---|---|---|
| MCPサーバー | User | ~/.kiro/settings/mcp.json |
~/.aws/amazonq/mcp.json |
| Workspace | .kiro/settings/mcp.json |
.amazonq/mcp.json |
|
| プロンプト | User | ~/.kiro/prompts |
~/.aws/amazonq/prompts |
| Workspace | .kiro/prompts |
.amazonq/prompts |
|
| カスタムエージェント | User | ~/.kiro/agents |
~/.aws/amazonq/cli-agents |
| Workspace | .kiro/agents |
.amazonq/cli-agents |
|
| ルール/ステアリング | User | ~/.kiro/steering |
~/.aws/amazonq/rules |
| Workspace | .kiro/steering |
.amazonq/rules |
|
| 設定 | Global | ~/.kiro/settings/cli.json |
- |
サブスクリプションと価格体系
Q Developer Proとの互換性
Kiro CLIは既存のQ Developer Proサブスクリプションで利用可能です。加えて、Kiro独自のサブスクリプションプランもサポートしています。これまで個別に利用料金を支払うしか方法がなかったKiroですが、アップデートされたことで他のAWSの利用料金と合わせて支払いすることが可能となりました。
Kiro独自の価格体系の利点
- 開発者のニーズに合わせた3つの価格ティア
- 各ティアで Overage(超過使用)をサポート
アップグレードの柔軟性
管理者は以下の単位でKiroサブスクリプションにアップグレード可能です。
- グループ単位
- 個別ユーザー単位
実際の画面を確認してみましょう。

左メニューには「Kiro」の項目が新しく追加されています。 アップグレードする場合は、「Amazon Q Developer」>「サブスクリプション」から「Upgrade to Kiro」をクリックします。

ユーザー名またはグループ名の「Kiro plan」という列からアップグレードしたいプランを選択することができます。
セキュリティとプライバシー
アウトプット保障(Output Indemnity)
有料のKiroサブスクリプションユーザーには、Q Developer Proユーザーと同様にアウトプット保障が提供されます。
- アウトプット保障(Output Indemnity)とは: AIが生成したコンテンツが第三者の知的財産権(特に著作権)を侵害したとして訴えられた場合に、AIサービス提供者が顧客を保護する契約上の保証制度です。(Service Termsのセクション50.10参照)。
データ利用ポリシー
- Kiro Pro、Pro+、Powerユーザー: AWS IAM Identity Center経由でアクセスする場合、コンテンツはモデルのトレーニングに使用されません
- Q Developer Proサブスクリプション経由: サービス改善のためのコンテンツ利用はありません
- Kiro Free Tierおよび個人サブスクリプション: サービス改善のために一部コンテンツが使用される可能性があります
テレメトリー管理
- AWS IAM Identity Center経由のKiro Pro、Pro+、Powerユーザーからはテレメトリーを収集しません
- エンタープライズ管理者は、組織内のユーザーアクティビティレポートの収集を設定可能
Kiroのデータプライバシーとセキュリティについては、別のブログで解説をしているメンバーがいるので合わせてご覧いただければと思います。
よくある質問
Q1: Q Developer CLIを使い続けることはできますか?
はい、引き続きAmazon Q Developer CLIを使用できます。ただし、新機能や修正はKiro CLIでのみ提供されます。
Q2: 既存の自動化や設定ファイルへの影響は?
Kiro CLIはAmazon Q Developer CLIと後方互換性があります。qおよびq chatコマンドは引き続き使用でき、すべての機能が利用可能です。既存のAmazon Qルールと設定もKiro CLIで使用できます。
Q3: ライセンスの変更について教えてください
Q Developer CLIソフトウェアはApache 2.0ライセンスでしたが、Kiro CLIソフトウェアはAWS Intellectual Property Licenseでライセンスされています。ただし、基盤となるエージェント機能の使用は、引き続きAWS Customer AgreementおよびService Termsの対象です。
まとめ
Kiroが一般公開されたことでAWS請求とまとめて支払えるようになった点は大きな利点だと感じています。
これまで個別課金がネックになっていたケースでも、企業単位で一括請求できるようになったことで、導入・運用のハードルが下がり、より多くのユーザーにとって利用が進むのではないでしょうか。
サーバーワークスとしても今後さらにKiroの活用を進め、得られた知見についてはブログでも紹介していく予定です。
参考リンク
針生 泰有(執筆記事の一覧)
サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当