2022年3月21日の夜、政府から電力需給ひっ迫警報 が発令されました。 東京電力・東北電力管轄に於ける電力需給の逼迫で対応に慌てた皆様も多いと思います。
大規模停電が想定される場合、AWSの稼働継続について気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 改めて本エントリーでは、公開情報をまとめてみます。
Availability Zone(AZ)に対しての電力の供給はどうなる?
まず、 AZには無停電電源装置や自家発電設備が設置
されています。
AZとは:アベイラビリティゾーンの略称。1つ以上のデータセンターを指します。
1つのAWSリージョン(地域)内でそれぞれが独立しており、冗長的な電力源、ネットワーク、そして接続機能を備えています。
電源の供給については、以下のドキュメントで情報が公開されています。 aws.amazon.com
以下、抜粋します。
緊急時に備えたバックアップ装置
水道、電気、通信、インターネット接続は、冗長性を持つよう設計されており、緊急時にもオペレーションを継続できます。電気系統は完全な冗長設計になっているため、停電の際は無停電電源装置から特定の機能に電力が供給され、発電機から施設全体に非常用電力が供給されます。チームおよびシステムは、温度と湿度をモニタリングして制御することで、過熱を防止し、サービス停止の発生を抑制します。
重要なのはここです。
電気系統は完全な冗長設計になっているため、停電の際は無停電電源装置から特定の機能に電力が供給され、発電機から施設全体に非常用電力が供給されます。
仮に停電となり、AZに対して電力供給がストップしてしまった場合は、AZが備える自家発電装置から非常用として電力が供給される事が書かれています。
それでは、今回のように、特定の電力会社管轄全土で停電の可能性がある場合はどうなってしまうのでしょうか?
まずはこちらをご参照ください。
こちらも抜粋します。
個別の無停電 電源装置(UPS)やオンサイトのバックアップ生成施設に加え、シングルポイントの障害の可能性を減らすために、別々の電力供給施設から異なる配管網を経由して、個別に電力供給を行っています。
別々の電力供給施設から異なる配管網
各AZに対して、変電設備や配電は異なる整備が利用されていますが、電力供給元が異なるのかどうか、までは読み取れませんでした。
システム設計の観点で見ると・・・?
AWSには様々なベストプラクティスが公開されていますが、以下の記事で本件のヒントになる内容がありました。
抜粋
可用性を実現する構成の方向性としては、同じリージョンの中の異なる AZ でどう構成を組むかがポイントとなります。一方で、例えば関東一帯が影響範囲となるような災害の場合は、複数の AZ 、つまりリージョンが影響範囲になるので、異なるリージョンとの間でどう構成を組むかがポイントなります。
上記を読み解くと、今回のように、関東(東北)一帯で大規模停電が想定される場合は東京リージョン自体が影響を受ける可能性を念頭に入れる必要があり、 継続的にシステムを稼働させる必要がある場合は、他リージョンへのDR構成が有効だ と言えそうです。
もう少し詳細を把握したい方は・・・
AWS Artifact にて、データセンターの電力システムに関してのレポートが公開されています。
レポート名:日本におけるAWSリージョンのレジリエンス
こちらはAWSの機密情報にあたり、本ブログではその内容がお知らせ出来ませんので、お手元のAWSマネジメントコンソールからアクセスしてレポートを入手してご確認ください。
まとめ
- AZは無停電装置や自家発電装置が備わっており、非常用電源の供給が可能
- 別々の電力供給施設から異なる配管網 を用いて各AZには電力が供給されている
- 関東一帯の影響を想定するならば、他リージョンの利用検討が必要
- AWS Artifact にて更に詳細なレポートが入手可能
いかがでしたでしょうか。この状況では、多少でも1人1人の節電意識が大切ですね。もちろん、使わないEC2インスタンスはしっかり停止しましょう。料金の削減にもなりますよ。