KiroとAmazon Q Developerの違いをまとめてみた

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みなさんこんにちは。配属され早くも丸1年経ちました、エンタープライズクラウド本部ソリューションアーキテクト課の熊谷です。

本日はAIネイティブIDEのKiroと、Amazon Q Developerと何が違うの?という疑問について、分かりやすく比較、紹介してみようと思います。

KiroとAmazon Q Developer - どちらもAWSが提供するAI開発ツール

AWSが提供する2つのAI開発ツール

KiroAmazon Q Developerは、どちらもAmazon Web Services(AWS)が開発・提供しているAI支援開発ツールです。同じAWSから生まれたツールですが、それぞれ異なるアプローチで開発者をサポートします。

開発ツールの進化の年表

2023年11月 - AWS re:Inventで「Amazon Q」ファミリーを発表

2024年4月30日 - CodeWhispererを「Amazon Q Developer」にリブランド・機能拡張し一般提供開始

2025年7月 - 「Kiro」をパブリックプレビューとして発表

2025年11月 - Kiroが一般提供(GA)開始、CLI(コマンドライン)サポート追加

なぜAWSが2つのツールを提供するのか

Amazon Q Developerは既存の開発フローを強化する「アシスタント型」、Kiroは開発プロセス自体を変革する「エージェント型」として、異なる開発スタイルに対応しています。どちらもAWSサービスとの深い統合が特徴で、クラウドネイティブな開発を強力にサポートしてくれるのが強みになっています。

形態の違い:IDE(本体)か、CLI(ターミナル)か、プラグイン(追加機能)か

現在、AWSが展開するAI開発システムは、開発者の好みのスタイルに合わせて「Kiro IDE」「Kiro CLI」「Amazon Q Developer(プラグイン)」の3つの形態で提供されています。

まずは、それぞれの言葉が何を指しているのか、整理しておきましょう。

用語の定義

  • IDE(統合開発環境): コード作成、実行、デバッグを一つの画面で行える「アプリケーション本体」(例:VS Code)
  • CLI(コマンドラインインターフェース): ターミナル(黒い画面)上でコマンドを入力して操作するツール。
  • プラグイン(拡張機能): 既存のIDEに、特定の機能を後から追加するための「補助ソフト」

Kiro:AIネイティブな「IDE & CLI」

KiroにはIDE版とCLI版があります。

  • Kiro IDE(アプリ本体)
    オープンソースのVS Codeをベースにした独立したIDEです。
    最大の特徴は、エディタだけでなくターミナル環境までAIが深く統合されている点。仕様書をベースにAIが自律的にプロジェクトを構築する「仕様駆動開発」を最も得意とします。

Kiro IDEの画面。VS Codeベースなので全体のレイアウトは近い

  • Kiro CLI(ターミナルツール)
    ターミナル上で kiro-cli コマンドを叩くだけで、AIエージェントにコード修正やデバッグ、AWSリソースの操作を依頼できます。
    対応OSがmacOS / Linuxのため、Windows環境で利用したい場合は、WSL上での動作が前提となります。
    以前は「Amazon Q Developer CLI」として提供されていたターミナル補完やチャット機能は、現在このKiro CLIへと引き継がれました。

Kiro CLIの画面。ターミナル上でコマンドにより操作できる

Amazon Q Developer:既存環境の「プラグイン」

対するAmazon Q Developerは、VS Codeなどの既存IDEにインストールして使うプラグインです。

  • プラグイン形式: ユーザーが使い込んでいるVS Codeをはじめとするエディタの設定、ショートカット、他のプラグイン資産をそのまま維持できます。

Amazon Q Developerの画面。VS Code上に拡張機能としてチャット画面が表示される

開発スタイルの違い

Kiroを語る上で欠かせないのが、「Vibe(バイブ)モード」「Spec(スペック)モード」の使い分けです。ここがAmazon Q Developerとの最大の差別化ポイントになります。

Kiro:状況に応じてモードを使い分ける

Kiroには、開発のフェーズに合わせて選べる2つのモードが搭載されています。

チャットウインドウを開くと「Vibe」と「Spec」からモード選択できる

  • Vibeモード
    「とりあえず動くものを作りたい」「この関数をサクッと修正してほしい」という時に使います。
    チャットでラフに指示を出すだけで、AIが即座にコードを書き換える、直感的なスタイルです。

    Vibeモードではざっくりとした指示を出すだけでアプリを作成できる

  • Specモード
    Kiroの真骨頂です。「大規模な新機能を追加したい」という時に使います。AIと対話しながら「要件定義(requirements.md)」「設計(design.md)」「タスクリスト(tasks.md)」という3つのドキュメントを自動生成し、ステップバイステップで実装を進めます。

    • ① 要件定義(requirements.md)
      まず、作りたい機能の概要を伝えると、AIがユーザーの要求を整理してこのファイルを作成します。

      要件定義書(requirements.md)が作成される

      • 役割: 「何を作るか」を明確にする。
      • メリット: 箇条書きで機能要件がまとまるため、実装漏れや認識のズレを未然に防げます。
    • ② 設計(design.md)
      要件に基づき、技術的な実装方針をまとめた設計図が作成されます。

      続いて設計(design.md)が生成される。より技術的なロジック部分について記載されている

      • 役割: 「どう作るか」を定義する。
      • 内容: 使用するディレクトリ構造、APIのインターフェース、データモデルなどが定義されます。実装前に「そのアーキテクチャで大丈夫か」を人間がレビューできるのがポイントです。
    • ③ タスクリスト(tasks.md)
      最後に、実装を細かいステップに分解したToDoリストが生成されます。

      タスクリスト(tasks.md)。ここまで決めた内容に基づきアプリを実装するための細分化されたタスクをまとめている
      「Run all tasks」を実行すると、エージェントがtask.mdに記載のタスクを1つずつこなしていく

      • 役割: 「どの順番で作るか」を管理する。
      • 特徴: Kiroのエージェントはこのリストを上から順に実行します。進捗状況(完了/実行中)がリアルタイムで更新されるため、AIがいま何をしているのかが一目でわかります。

Amazon Q Developer:対話と自律エージェントの融合

Amazon Q Developerは、基本的にはKiroのVibeモードに近い「対話・提案型」であり、「エージェント機能」を備えています。

KiroのVibeモード同様雑な要求からでもアプリを作成できる。ここからチャットでブラッシュアップを行っていく

  • チャット&補完:コードを書きながら、リアルタイムで続きを提案させたり、チャットで改善案を求めたりします。
  • Agent機能/devコマンドなどを使って「この機能を実装して」と丸投げすると、プロジェクト全体をスキャンして自律的に修正案を作ってくれます。ただし、KiroのSpecモードのように「ドキュメントを積み上げてから作る」というプロセスを強制する形ではありません。

比較まとめ

特徴 Kiro Amazon Q Developer
主要モード Vibe(直感) or Spec(構造化) Chat(対話)
ドキュメント管理 要件・設計書を自動生成・同期する 基本はチャット履歴やREADMEがベース
得意なシーン ゼロからの構築、ドキュメント重視の開発 既存コードの改修、AWS操作、単発タスク
アプローチ 「まず計画を立ててから動く」 「対話しながらその場で解決する」

料金体系

サブスクリプション体系は以下のようになっています。

Kiro と Amazon Q Developer の関係 Amazon Q Developer と Kiro は独立したサブスクリプション体系を持つ別製品です。Amazon Q Developer Pro を契約していても自動的に Kiro へ移行されず、手動でのアップグレードが必要です。

ただし、アップグレードをしなくても、現在 Amazon Q Developer Pro のサブスクリプションを保持している場合は、既存の全機能に加えて Kiro の一部機能(Kiro CLI / Kiro IDE を Pro 相当として)を利用できます。

Amazon Q Developer Pro から Kiro Pro プラン以上へのアップグレードでは、サブスクリプションが完全に Kiro へ切り替わり、Amazon Q Developer Pro サブスクリプションは解除されます。 引用:Kiro 導入ガイド:始める前に知っておくべきすべてのこと | Amazon Web Services ブログ

意外と見逃せないのがコストパフォーマンスです。

Amazon Q Developer Pro: $19/月

  • 月額$19で10,000回のエージェントリクエスト(推論呼び出し)が含まれる
  • コード変換機能は4,000行/月まで含まれ、超過分は$0.003/行で従量課金

ソース:

Kiro Pro: $20/月

  • 月額$20で1,000クレジット(短いプロンプトであれば1クレジット未満であったり、作業の複雑さに応じて柔軟にクレジットを消費する)
  • $0.04/クレジットの超過料金で「AIが止まらない」という特徴がある
  • 柔軟な従量課金モデルで予算オーバーを防ぎつつ作業を継続できる

ソース: Kiro公式 Pricing

どちらも月額$20前後で、Amazon Q Developerは回数重視、Kiroは柔軟性重視という違いがあり、使い方次第でコスパが変わってきます。

結論:あなたはどっち派?

比較してみた結果、以下のような基準で選ぶのが正解だと感じました。

Kiroを選ぶべき人

  • 「AIと一緒に作る」より「AIに作らせる」体験を重視したい。
  • 新規プロジェクトの立ち上げが多く、ドキュメントとコードの整合性を保ちたい。
  • 専用IDEで、エージェントの作業進捗を可視化しながら開発したい

Amazon Q Developerを選ぶべき人

  • 今のVS Codeの設定やプラグインを絶対に変えたくない。
  • 「自分が主導」で開発を進め、AIを優秀なアシスタントとして使いたい。
    • 開発のハンドルは自分で握り、詰まった時の相談や、ユニットテスト作成・ボイラープレートの実装といった「煩雑な作業」だけをAIに任せたい

どちらも優秀なツールですので、自分の開発スタイルに合った方を選び、AIとの開発を楽しみましょう!

熊谷 晃希 (記事一覧)

クロスインダストリー第1本部 ソリューションアーキテクト1課

2024年新卒入社

趣味は海外放浪です