こんにちは。
DevOpsが好きなアプリケーションサービス部の兼安です。
今日は2024年7月に発表されたAWS App Studioを触ってみたので、そのお話をさせていただきます。
- 前提条件と注意点
- AWS App Studioとは
- AWS App Studioの利用に必要な事前準備
- AWS App Studioを作成
- AWS App Studioでアプリケーションの作成
- AWS App Studioでできるアプリケーションについて
- まとめ
- 補足
前提条件と注意点
本記事で述べているAWS App Studioは、記事執筆時点(2024-07-18)では Preview 扱いです。
今後の開発状況によっては変更がある可能性があります。
AWS App Studioとは
AWS App Studioは先日のAWS Summit New York 2024で発表された新サービスです。
2024年7月現在、パブリックプレビューで、リージョンはオレゴンでのみ使用可能です。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/build-custom-business-applications-without-cloud-expertise-using-aws-app-studio-preview/aws.amazon.com
料金は、開発は無料で、開発したアプリを公開すると料金が発生します。
AWS App Studioは、利用するのに事前準備が必要です。
今回は事前準備を含めて、AWS App Studioでアプリを作るのにどれぐらいかかるかをレポートしていきます。
AWS App Studioの利用に必要な事前準備
AWS App Studioには以下のものを用意しておく必要があります。
- Amazon CodeCatalyst
- AWS IAM Identity Center
AWS IAM Identity Centerについては、公式ブログで必要なことが明記されています。
AWS App Studio を使用して、自然言語でエンタープライズグレードのアプリケーションを構築 (プレビュー) | Amazon Web Services ブログ
App StudioはIAM Identity Centerと統合されており、IAM Identity Centerに既存の組織インスタンスがあるかどうかを自動的に検出します。
Amazon CodeCatalystに関しては、必須であるエビデンスが見つけられなかったのですが、App Studio作成画面でCodeCatalystのスペースの入力が求められるので必須だと思っています。
ここまでの調査で30分ぐらいです。
AWSビルダーIDとAmazon CodeCatalystを作成
では事前準備を始めます。
まずはAmazon CodeCatalystを用意するのですが、CodeCatalystはAWSアカウントやIAMユーザーとはまた別にAWSビルダーIDというものが必要です。
ですので、AWSビルダーIDの作成から始めましょう。
Amazon CodeCatalystのページで、CodeCatalystの使用を開始する
をクリックします。
ログインページの下部に、Create an AWS Builder ID
があるのでこれをクリックします。
サインアップページに遷移するので登録をしていきます。
AWSビルダーIDの作成が完了したら、Amazon CodeCatalystのスペースを作成します。
もう一度、Amazon CodeCatalystのページで、CodeCatalystの使用を開始する
をクリック。
作成したAWSビルダーIDでログインします。
CodeCatalystの作成ウィザードが始まるので、スペースの名称・リージョン・AWSアカウント番号を入力します。
リージョンはオレゴンを指定します。
AWSアカウントIDは自身のものを入力します。
CodeCatalystの料金はここで入力したAWSアカウントから引き落とされる形になります。
個人ならともかく、組織の場合はこの部分は注意が必要です。
CodeCatalystは本来、スペースの中にプロジェクトを作って使用しますが、今回の目的においてはスペースの作成で留めて問題ありません。
CodeCatalystの作成は結構早いので、ここまででトータル45分です。
AWS IAM Identity Centerの準備
AWS IAM Identity Centerの準備を始めます。
こちらはAWSマネジメントコンソールで操作します。
全体的にリージョンはオレゴンにして操作しています。
AWS IAM Identity Centerは、一般的にAWS Organizationsが前提です。
個人だとあまり馴染みがないこれらのサービスですが、個人アカウントでも作れるので問題ありません。
ちょっと端折ってしまいますが、AWS Organizationsを作った状態で、AWS IAM Identity Centerを開くと「有効化」というボタンが出るのでこれをクリックすればIdentity Centerは準備OKです。
IAM Identity Centerは、グループとユーザーを追加すればOKです。
ユーザーは作成したグループに所属させておきます。
IAM Identity Centerには許可セットなどがありますが、今回の目的ではグループとユーザーの設定だけで問題ありません。
ユーザーを追加すると、確認メールが届くのでメール内のリンクをクリックして有効化しておきます。
IAM Identity Centerは普段触らないので時間がかかってしまいました。
ここまででトータル90分です。
AWS App Studioを作成
準備ができたのでいよいよAWS App Studioを作成します。
AWSマネジメントコンソールのリージョンをオレゴンにして、App Studioを開きます。
画面上部の検索窓でApp Studio
と入力すると普通に出てきます。
App Studioの画面の開始
をクリックします。
App Studioの作成画面でIAM Identity Centerのグループを求められるので入力します。
そのまま下にスクロールすると、CodeCatalystのスペースを求められるので入力します。
ボタンをクリックすると、App Studioの作成が始まります。
30分ほど待つように指示されるので、待ちます。
しばらくして開き直すとApp Studioの画面に辿り着けます。
IAM Identity Centerで追加したユーザーでサインインします。
30分ほど待つ必要があったので、ここまででトータル120分です。
AWS App Studioでアプリケーションの作成
App Studioでアプリケーションを作成します。
サインイン後、App StudioのトップにあるConnectors・・・ではなく、下の方にあるAll applicationsのCreate app
をクリックします。
ウィザードが起動するので、質問に答えていきます。
Create an app with AI
を選びます。
データソースを選択するよう言われますが、選択しなくても簡単なアプリは作れます。
スキップしましょう。
ローディング画面が表示されます。
一定時間後、AIチャット画面が表示されます。
左側のチャットに作りたいアプリの概要を入力します。
日本語も入力可能です。
ただし、現在は一応日本語入力可能というレベルでEnterを押すと即座にSubmitされるので注意してください。
アプリの概要を入力すると、右側にアプリの仕様をざっくり表示してくれるのでそれを見てボタンをクリックします。
ボタンクリック後、またローディングが始まりアプリが完成します。
アプリ作成が完了です。
トータル180分かかりました。
AWS App Studioでできるアプリケーションについて
AWS App Studioで作ったアプリケーションは編集ができます。
UIは一般的なローコードに近いですね。
人によってはこの画面にはかつてあったAmazon Honeycodeの雰囲気を感じると聞きます。
作った後で見るとAWS App StudioはローコードツールにAIチャットを付けてハードルを下げたようなサービスに思えますね。
自動でアプリケーションを作るということは、勝手に作られるリソースはあるか?というのが気になったので少し確認しました。
アプリケーション作成後、Amazon CodeCatalystとAWSマネジメントコンソールを見たところ、パッと見た感じでは何もできていないように見えます。
アプリケーションはAWS App Studioの中にできているようです。
AWSリソースはS3バケットだけできていました。
バケット名から察するに内部でCDKが動いているのかもしれません。
なお、今回の例だとバケットだけ出来ていて中身は空でした。
今回は使いませんでしたが、トップの上の方にConnectorsというものがあり、これでDBリソースと繋げられます。
これらを使うともっと面白いものが作れそうです。
まとめ
調べながらでも180分でアプリができました(個人の体験ですが・・・)。
AWS IAM Identity CenterとCodeCatalystが必要ということで構えていましたが、個人環境でも用意できるしそこまで手間ではありませんでした。
ただし、これが組織となるとIAM Identity CenterとCodeCatalystを自由に作れないことが予想されるのでそこをどうフォローするかが導入への課題になるかもしれません。
サービスとしては大変可能性を感じます。
DBリソースと繋げられて面白いことができそうなので引き続き試行錯誤していきたいと思います。
補足
AWS IAM Identity CenterはOrganizationsなしでも構築できるケースがあります。
このケースはIAM Identity Center のアカウントインスタンスと呼ばれます。
IAM Identity Center のアカウントインスタンスでAWS App Studioが使えるかどうかは、まだ記述が見つけられていないのでわかっていません。
分かり次第調査してみたいと思います。
兼安 聡(執筆記事の一覧)
アプリケーションサービス部 DS3課所属
2024 Japan AWS Top Engineers (Database)
2024 Japan AWS All Certifications Engineers
認定スクラムマスター
広島在住です。今日も明日も修行中です。