本稿は、Serverless Framework v4 の有償化(有料化)に伴う、価格体系についてお調べした内容を共有致します。
海外出張の体調回復には1週間必要。
内村でございます。
(寄る年波にはなんとやら)
Serverless Framework の v4 から、一定の条件では有料であることが分かって久しくなります。
この記事では、Serverless Framework の価格形態について、アップデートも含め、お調べしました内容を共有致します。
- 内容についての諸注意
- Serverless Framework (おさらい)
- Serverless Framework v4 で何ができるの?
- ライセンスの購入
- 購入できるオプション
- まとめ
- Appendix
内容についての諸注意
当記事は 2024年12月時点でお調べした製品、サービス内容を記載しています。
最新の情報に関しては各種公式サイト、マニュアル等をご確認下さい。
当記事作成の際には十分注意しておりますが、内容に公式と相違がある場合は公式を優先とさせていただきます。
当記事内の試算およびそれに準ずる内容は、本資料の説明のために用いるものであり、不利益が生じた場合、一切の責任は負いかねますので予めご了承ください。
Serverless Framework (おさらい)
Serverless Framework とは、サーバーレスアーキテクチャーの構成に必要な資源(AWS Lambda, Amazon DynamoDB, Amazon API Gateway など)の開発やデプロイを容易にしてくれるオープンソースツールです。
AWS Lambda のデプロイだけではなく、モジュールを追加することで boto3 や AWS Glue ジョブのデプロイなど、様々な開発を支援してくれるツールとして重宝いたしております。
その Serverless Framework ですが、2024年から提供が開始された v4 から、年間売上が200万ドルを超える *1 組織(企業)での利用が有償化されることが発表されました。*2
Serverless Framework v4 で何ができるの?
Serverless Framework v4 では、下位バージョンからの変更として、以下を利用できることが確認できております。
- 管理ダッシュボード
- Monitoring
- CI/CD
ここでは価格体系の説明に絞るため「管理ダッシュボード」について言及致します。
それ以外の機能は分かり次第、後続記事とさせていただきます。
管理ダッシュボード
Serverless Framework v4 では、ライセンスの管理、デプロイ時に必要な Credit(クレジット)の確認など、Web ブラウザーベースの管理ページが用意されています。
これを当記事では「管理ダッシュボード」と呼称します。
「管理ダッシュボード」は正式な名称ではなく、この記事で説明のために用いる用語となることをご容赦ください。
管理ダッシュボードでは、以下の内容を確認と操作ができることを確認しています。
- デプロイ済みアプリケーション一覧
- デプロイ済みアプリケーションのパフォーマンス情報 (Metrics)
- デプロイ済みアプリケーションの所在確認 (Explorer)
- CI/CD の状態確認 (CI/CD Deploys)
- 設定情報 (Settings)
上記の 設定情報 (Settings) は、更に下層があり、以下の設定や状態確認が行えます。
- 組織 (Organization)
- 利用ユーザー (Team)
- Providers
- Alerts
- Integrations
- Serverless Framework のアクセスキー (Access Keys)
- Serverless Framework のライセンスキー (License Keys)
- 利用クレジット数と契約サブスクリプション管理 (Billing)
ここでは価格体系の説明に絞るため Billing について言及致します。
それ以外の機能は分かり次第、後続記事とさせていただきます。
ライセンスの購入と管理は Billing
Serverless Framework v4 の有償化に伴うライセンス管理は、前項の Settings → Billing のページで行います。
とりあえずユーザーだけ作った、組織だけ作った場合*3、以下の画面キャプチャーのようなページが表示されます。ご参照ください。
ライセンスの購入
無料枠
前項の画面キャプチャーで示した通り、Usage の Credtis Used が「0/2」となっています。
Serverless Framework が定める、2 Credits までが利用できる状態であると推測されます。
Credit のカウントは?
Serverless Framework によるデプロイで、以下の状態を満たした場合(論理積)、それは 1 Credit を消化した、とカウントされることを確認しました。
- 1つの AWS アカウント
- 1つの AWS リージョン
- 1つの アプリケーションのステージ
上記は管理ダッシュボード内で「サービスインスタンス」として管理されます。
おそらく Serverless Framework で開発とデプロイを行われる方は、1つの serveless.yml でステージを特定、もしくはデプロイ時の変数で複数のデプロイ先を変更されるかと存じます。
そのステージ数毎に Credits が必要になる事をご留意ください。
(著者の二の舞いにならないために……)
ただしこのクレジット数カウントには特例があります。
デプロイ後、10日以内に削除(deploy remove)されたアプリケーションは利用可能クレジット数が復活します。
これはすなわち、デプロイ後に deploy remove された場合は、1/2 になったクレジットが 0/2 に戻ります。
商用利用上では稀かと思われますが、ご留意ください。
(開発検証用とかにご利用を想定?)
有償枠
無料枠の 2 Credits、もしくは定められた組織の状態でご利用のなる場合は、有償によるクレジットの購入が必要になります。
このお支払い(サブスクリプション購入)も、Billing ページから実施ができます。
前項の画面キャプチャーで示した、「Subscription with 〜〜」のボタンを押下し、手続きを進行します。
料金のお支払いは画面が示すとおり、以下の2種類です。
- クレジットカード (Credit Card)
- AWS Marketplace
クレジットカード支払いは自明かと思われますため、割愛させていただきます。
AWS Marketplace からもサブスクリプション購入ができます。
AWS アカウントをお持ちでありお支払いが可能な方(お支払いを許諾された組織)は、こちらからでもご購入可能です。
AWS 毎月のお支払いと同様、AWS マネージメントコンソールからもご確認いただけます。
購入できるオプション
長くなりましたが、ここから当記事の本論、お伝えしたかったことです。
2024年11月まではクレジット購入は最低 15 Credits からを確認していました。
しかし2024年12月現在、1 Credit から購入できる Pay As You Go が利用できる事を確認しました。
お調べした限り、AWS Marketplace での購入は、以下2つのオプションとなります。
- 従来の 15, 50, 300 Credits
- 1 Credit から購入できる Pay As You Go
それぞれに対して、AWS Marketplace のページも確認できます。
AWS マネージメントコンソールにログイン後に以下の URL から、もしくは AWS Marketplace にて「Serveless」で検索してごらんください。
Pay-as-you-go の価格が異なる
しかしここで新たな疑問が生じます……。
それは、Serverless Framework の価格ページ、または管理ダッシュボードに記載されている金額と異なる点です。
- Serverless Framework の価格ページ
- $4 /a Credit
- AWS Marketplace: Serverless Framework - Pay-as-you-go
- $3.5 /a Credit
Serverless Framework サポートに確認したところ、AWS Marketplace からの購入は「予約バンドル」の扱いとなり、割引(率)が適用されるとのことです。
やってみた
試しに、管理ダッシュボードの「Subscribe with AWS Marketplace」から実際に購入(サブスクライブ)を行ってみました。
手続きは画面に従って進行になりますので、特に困るシチュエーションはないかと思われます。
1点お気をつけていただきたいのが、ご利用の Web ブラウザーで以下を合わせる必要があることです。
- 購入しようとしている Serverless Framework 管理ダッシュボードを開いている
- 支払いしようとしている AWS Marketplace ページを開いている
購入手続き完了後、管理ダッシュボードに遷移する場面があります。
セッションで管理されている可能性が高いため、必ず同一の Web ブラウザーで実際されることをおすすめします。
購入した結果は以下の画面キャプチャーのようになります。
購入前と以下が変化していることを確認しました。
- 画面左上の組織の横の「free」が消えている
- 画面左の「Credits Used」の母数が消えている
- Subscribe ボタンが消えている
- 購入した Credits 数と、Applied Discount が適用されている
これにより、15, 50, 300 以外のクレジット数も任意に購入ができることを確認しました。
ご注意事項
この結果をうけ、運用上で以下が注意事項かと思われます。
Serverless Framework をご利用になるうえでお支払い観点でご注意ください。
- 一度 AWS Marketplace で購入すると、クレジット数は変更できない
サブスクリプション購入されたクレジット数を変更するオペレーションが見当たりません。
実施としては、一度サブスクリプションをキャンセル、その後改めて購入の手続きを想定します。
必要以上の支払いが生じる可能性がありますので、ご注意ください。
- 超過分はディスカウントが適用されない
画面キャプチャーが示した通り、このシチュエーションでは 1 Credit がディスカウント提供されています。
この状態でクレジット2個目が必要になった場合は、追加のクレジット数をお支払いする必要があります。
そちらはディスカウントが適用されず、$4 になりますので、ご注意ください。
更にディスカウント(率)が欲しい
先の画面キャプチャー(未購入状態)が示した通り、Serverless Framework の購入オプションでは、Pay As You Go だけでなく、Reserved Credits も用意されています。
先々の契約を事前にお約束することにより、高いディスカウント率を適用した状態で、毎月のお支払いが可能となります。
AWS のリザーブドインスンタンスと同じ概念です。
以下の割引率になります。
- 1年の予約で 割引率55%
- 2年の予約で 割引率60%
- 3年の予約で 割引率65%
1年先、3年先までこのアプリケーションを利用されることが確定されている場合は、運用コスト削減にご検討ください。
ただし画面キャプチャーが示す通り、最低 50 Credits からの購入になることはご留意ください。
まとめ
Serverless Framework は v4 よりも前からお世話になっていた有用な開発ツールです。
同ツールをご利用になり開発されていた皆さまも経験値を多く保持されていることから、開発速度、運用効率化に期待ができるかと存じます。
ご利用に際して価格面でご不安であり、内容がイマイチ分からなかった方、という方あてに、当記事がお役に立てれば幸いです。
現場からは以上です。
Appendix
- Serverless Framework - Pricing
- Introduction to the Serverless Framework - Serverless Framework Documentation
*1:2024年12月18日水曜現在(1USD = 153.34円) 約3億6百万円
*2:Serverless Framework V4: A New Model
*3:Serverless Framework v4 では、1ユーザー・1組織の設定が必須
内村 和博 (Kazuhiro Uchimura) エンジニアブログの記事一覧
EC サイトなど提供する企業で18年 Web インフラで従事。
2020年からサーバーワークスにJoin。
アプリケーションサービス部所属。
技術営業、プロジェクトマネージャーなどに従事。
生まれも育ちも福岡。
好きなAWSサービスは、AWS IoT Core, AWS Glue, Amazon Athena。
好きなふくやの明太子は、あえもの明太子「いか」。