AWS Lambda SnapStartとプロビジョニング済み同時実行の比較

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はじめに

こんにちは、山本です。

今回はAWS Lambdaに関するSnapStartとプロビジョニング済み同時実行の違いについて、どちらも実行時のコールドスタートに対処するものではありますがそれぞれ違った性質を持っていることを最近知ったので紹介します。

私と同じように資格試験奮闘中の方やプロビジョニング済みという概念に悩んでいる方に刺さる内容になれば幸いです!

AWS Lambdaのコールドスタート問題と起動プロセス

AWS Lambdaのコールドスタート問題

AWS Lambdaはサーバーレスで便利ですが、初回呼び出し時に環境を初期化する処理(後述で説明)が走るため、処理が遅延する「コールドスタート」が発生します。

この問題は特に大量のクラスや依存関係を定義しがちな Java や .NETなどのコードサイズや依存関係が大きい関数ランタイムで顕著になります。

例えば、 Java や .NET のようにクラスのロードや依存ライブラリの読み込みが多いランタイムでは、初期ロードする量によっては数百ミリ秒〜数秒の遅延が出るケースもあります。

AWS Lambdaの起動プロセス

Lambda関数の実行は大きく2段階に分かれています。

1. Init フェーズ  … コード読み込み・依存関係の初期化
2. Invoke フェーズ … 実際の関数実行

前述したコールドスタートは「1. init フェーズ」で発生します。
つまり、このフェーズで初期化にかかる時間をどのように短縮するかがSnapStartとプロビジョニング済み同時実行の狙いとなっています。

以下ではそれぞれの仕組みについて解説していきます。

SnapStart とは何か

SnapStart は、AWS Lambda 関数の初期化を高速化する仕組みです。
関数をデプロイまたは公開する際に、Initフェーズを一度実行しその状態をスナップショットとして保存します。 したがって、次回以降の呼び出しでは、そのスナップショットを復元するだけで起動できます( init フェーズのロードを大幅に削減)。

また、初期化フェーズをスキップし速度が大幅に向上するだけでなく、追加料金なしで利用できるという点も魅力的です。

注意点としては、 init フェーズで乱数の生成や時刻依存データ、資格情報などを定義していた場合はその情報がスナップショットに含まれてしまい、値が固定化されるリスクがある点です。
SnapStart を使用する際には揮発的な値や資格情報を init フェーズで定義しないようにすることが重要です。

プロビジョニング済み同時実行とは何か

プロビジョニング済み同時実行(Provisioned Concurrency)は、 関数の初期化を高速化するのではなく、あらかじめ初期化済みの環境を常駐させておく仕組みです。

動作の流れ

通常: [待機中]→[実行環境初期化( Init )]→[実行]
プロビジョニング済み同時実行: [常時起動済み実行環境]→即実行

上記のように、プロビジョニング済み同時実行では常に Init フェーズを終えた状態を維持しています。

リクエストが来た瞬間にInvokeできるため、SnapStartではコールドスタートを「軽減する」のに対してプロビジョニング済み同時実行では指定した同時実行数まではコールドスタートが「完全に発生しない」という特性を持っています。

両サービスの比較表

上述したそれぞれのサービスに関する説明を元にした比較表を以下に用意しました。

観点 SnapStart プロビジョニング済み同時実行
コールドスタート対策方法 初期化をスナップショット化して再利用 常時起動状態で維持
初期化速度 最大10倍高速化(スナップショット復元) 常にウォーム状態で即応答
コスト 追加課金なし(追記: Javaランタイムの場合) 常駐時間分の課金が発生
用途 コード初期化の最適化・断続的な呼び出し 低レイテンシAPI・高トラフィック処理
注意点 乱数・時刻・資格情報の固定化 要コスト制御・スケーリング設計

どちらもコールドスタート対策ですが、コスト最適化を狙うなら SnapStart、安定した即応性を求めるなら Provisioned Concurrency というように、要件に応じて使い分けるのが重要です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回紹介した SnapStart とプロビジョニング済み同時実行は、どちらも「コールドスタートを制する」という共通のゴールを持ちながら アプローチと思想がまったく異なる仕組みとなっています。

  • SnapStart は 「初期化を効率化する」 ソフトウェア的最適化
  • プロビジョニング済み同時実行 は 「常に起動しておく」 インフラ的最適化

つまり、「速さ」か「安定性」か、どちらに重きを置くかで選び方が変わります。

実際に使う場合は、まずは SnapStart でコールドスタートを最小化し、それでも応答遅延が許容できない場面では Provisioned Concurrency を組み合わせるハイブリッド戦略が最適解だと思います。

調査を重ねつつ記事を執筆しながら「コールドスタートは宿命ではなく設計でコントロールできる時代になったんだなぁ」とひしひしと感じました。

今回紹介した知見が実務や資格勉強に少しでも役立てば幸いです!

山本 竜也 (記事一覧)

2025年度新入社員です!AWSについてはほぼ未経験なのでたくさんアウトプットできるよう頑張ります✨