【続報】Clineの利用規約が修正されました!VSCode拡張版で自身のAPIキーを使えば安全に利用可能に

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こんにちは!サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当している針生と申します。

今日は、先日お伝えしたClineのデータ収集に関する懸念事項について、重要なアップデートをお知らせしたいと思います。

前回の記事の振り返り

2025年5月13日に公開した「Cline利用におけるデータの取り扱いについて」という記事で、Clineの利用規約におけるデータ収集の懸念についてお伝えしました。

その中で、利用規約に含まれる「永続的かつ譲渡可能な権利」の条項や、意図しないデータ収集のリスクについて懸念点を本ブログで公開させていただきました。

blog.serverworks.co.jp

利用規約が修正されました

嬉しいことに、コミュニティからのフィードバックを受けて、Cline開発チームが利用規約を修正してくれました。

※GitHubのIssues#3510で議論が行われておりました。

主な変更点

1. VSCode拡張版での利用方法による明確な区別

新しい利用規約では、以下の点が明確になりました。

VSCode拡張版で自身のAPIキーを使用する場合

  • Clineはユーザーのコード、入力、出力を一切受信・保存しません
  • データは完全にユーザーのコントロール下に置かれます
  • Apache 2.0ライセンスのもとで自由に使用できます

「API プロバイダー」ドロップダウンで「Cline」を選択した場合

  • サービス提供のために必要な範囲でのみデータを使用します
  • 主な用途は以下の3点に限定されます

    1. サービスの提供、保守、トラブルシューティング
    2. サービスと製品の改善・開発
    3. 法令遵守と利用規約の執行

2. データの所有権を明確に否定

新しい利用規約では、「WE CLAIM NO OWNERSHIP RIGHTS OVER YOUR USER CONTENT(私たちはユーザーコンテンツに対する所有権を一切主張しません)」と明記されています。

これは、前回懸念されていた「永続的かつ譲渡可能な権利」に関する不安を払拭する重要な変更です。

3. テレメトリーの無効化オプション

テレメトリー(使用状況データの収集)についても、以下の点が明確になりました。

  • デフォルトでは有効ですが、いつでも無効化可能です
  • ユーザーアカウントを持たない場合、個人情報は一切収集されません
  • 収集されるのは匿名の使用統計のみです

安全にClineを使用するための推奨設定

VSCode拡張版のClineで自身のAPIキーを使用して安全に利用するために、以下の設定をお勧めします。

1. 「API プロバイダー」で「Cline」以外を選択し、自身のAPIキーを使用する

「API プロバイダー」ドロップダウンでOpenAIやAnthropicなどを選択し、ご自身のAPIキーを直接設定することで、データがClineのサーバーを経由することを防げます。

2. テレメトリーを無効化する

プライバシーを最大限に保護したい場合は、設定からテレメトリーを無効化できます。

3. 定期的に利用規約を確認する

今回のように利用規約は変更される可能性があるため、定期的に最新の内容を確認することをお勧めします。

サーバーワークスとしての見解

今回の利用規約の修正により、VSCode拡張版で自身のAPIキーを使用する場合については、データプライバシーの懸念が大幅に解消されたと考えています。

自前のAPIキーを使用し、適切な設定を行うことで、安全にClineを活用できる環境が整いました。

ただし、以下の点には引き続き注意が必要です。

  • 「API プロバイダー」で「Cline」を選択する場合は、利用規約をよく理解した上で使用してください
  • センシティブなコードや機密情報を扱う際は、十分な注意を払ってください
  • 企業での利用の場合は、セキュリティポリシーとの整合性を確認してください

まとめ

Clineの開発チームがコミュニティの声に耳を傾け、迅速に利用規約を修正したことは非常に嬉しく思います。

これにより、私たちも安心してClineを使用できるようになりました。

今後について

サーバーワークスでは、今回の利用規約の改善を受けて、以下のような取り組みを進めていく予定です。

  1. 社内での利用ガイドラインの更新

    • 新しい利用規約に基づいた安全な利用方法を社内に周知します
    • APIキーの管理方法やテレメトリー設定について明確なガイドラインを策定します
  2. 継続的な動向の監視

    • Clineの今後のアップデートや利用規約の変更を引き続き注視します
    • 新たな懸念事項が生じた場合は、速やかに情報を共有します
  3. 生成AIツールの安全な活用推進

    • Clineに限らず、様々な生成AIツールのセキュリティ面での評価を継続します
    • 開発者の生産性向上と情報セキュリティの両立を目指します

AI開発支援ツールは今後ますます重要になっていきます。適切な設定と理解のもとで、これらのツールを安全に活用していきましょう!

針生 泰有(執筆記事の一覧)

サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当