営業部 佐竹です。
本日は AWS Compute Optimizer のちょっとしたアップデートをご紹介します。
はじめに
2022年1月10日頃、上記のアップデートが発表されました。この新機能がどのような機能なのか解説します。
アーキテクチャの推奨を同時に確認可能に
2021年8月末頃、Graviton2 インスタンス(Arm アーキテクチャ)のインスタンスタイプが推奨されるようにアップデートされました。
この時、既存の推奨は「Current (x86)」となり、「AWS Arm64」という表示オプションが追加され、これらどちらかの推奨を閲覧することができるようになりました。
しかし、x86 の推奨と Arm の推奨を同時に閲覧することはできませんでした。今回のアップデートで、これらが同時に閲覧できるようになりました。
アップデート後のマネジメントコンソールの画面キャプチャがこちらです。
これまではラジオボタンになっており二者択一でしたが、これがアップデートによりチェックボックスとなっています。そしてこのアップデートにより、x86 アーキテクチャと Arm アーキテクチャを並べて Option が最大3つまで比較できるようになりました。これまでは x86 アーキテクチャと Arm アーキテクチャを切り替えてそれぞれ比較する必要がありましたが、複数選択が可能となったことで少し便利になりました。
また、デフォルトでどちらのアーキテクチャもが選択され表示されるようになりました。これはつまり、Graviton2 をもっと使ってほしいという AWS からのメッセージなのだと思われます。
Migration effort の追加
加えて、Option の一覧に「Migration effort」という項目が追加されました。
値が Medium
となっているものはアーキテクチャの変更を伴うもので、Very low
となっているものはアーキテクチャの変更を伴わないものとなります。
インスタンスタイプの表示に慣れている方は、インスタンスタイプのファミリー部分末尾の g
が Arm アーキテクチャである Graviton2 を示していることから、推奨されている Option がアーキテクチャ変更を伴うかどうかすぐに気付けると思いますが、全員がそうではありません。この項目はユーザーフレンドリーな機能追加と感じます。
懸念点
ただし、RDS と異なり EC2 インスタンスでは x86 アーキテクチャから Arm アーキテクチャ(Graviton2)へと容易には変更できません。アーキテクチャの切り替えには、Arm 対応の AMI から EC2 インスタンスを Launch をし直す必要があり、セットアップも再度必要となります。この煩雑さがネックです。
これらのハードルについては、以下のブログでも記載致しました。
もしかすると、今後アーキテクチャの差分を何らかの形で吸収するような機能や、移行を行う機能が出てくるかもしれませんが、そのような便利機能が出ない限りはなかなか Graviton2 への切り替えは進まないのではと感じます。
まとめ
本日は AWS Compute Optimizer のちょっとしたアップデートをご紹介しました。
二者択一であった「x86 アーキテクチャと Arm アーキテクチャ」を並べて表示し、比較できるようになりました。加えて、デフォルトでどちらもが選択された表示となりました。
加えて「Migration effort」項目も追加され、よりユーザーフレンドリーな UI となりました。
re:Invent にて、AWS から「コスト最適化は持続的な社会継続のために必要」というようなメッセージもあり、それらの背景からますます今後も Graviton2 のプッシュがされてくると思います。
まだまだ日本国内では実績が乏しい状況となっている Graviton2 ですが、新規構築時に是非一度検討してみて頂ければ幸いです。
では、またお会いしましょう。
佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ
マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。