営業部 佐竹です。
本日は AWS re:Invent 2021 で発表された「コスト削減に役立つアップデート」をまとめてご紹介します。
はじめに
2021年12月22日に「【AWS re:Invent 2021総括】代表大石と世界3位アンバサダー佐竹がビジネス視点で最新アップデートを振り返る」という題名のウェビナーを開催させて頂きました。
ご参加頂いた方々には改めてお礼を申し上げます。
上記ウェビナーでは、私がコスト削減の視点から伝えたいことをまとめたスライドを作成・活用しました。本ブログでは、そのスライドの内容を紹介しながら、一部に補足を加えさせていただきます。
AWS re:Invent 2021 コスト削減に役立つアップデートまとめ
早速ですが、以下がスライド資料となります。
コンピューティング
EC2に新しいインスタンスタイプが8つ追加
まずはコンピューティングからインスタンスについてです。特に Graviton3 の登場は目をひきました。
新しいインスタンスタイプについては、以下のブログに詳細をまとめました。合わせてご覧ください。
Graviton インスタンスの採用は難しい?
ウェビナーでは、Graviton インスタンスの採用が難しい現状について述べました。
弊社のお客様全体の T2 と T3 インスタンスファミリー(Linux/UNIX)の利用料を比較するといまだに T2 が3倍も利用料が大きいのが現状です。
その先にある T4G の利用は、T2 から見ると Nitro システムへの移行だけではなく Arm アーキテクチャへの対応もしなければならないため、かなりハードルが高いことがわかります。
ただし、AWS としてはこのハードルを意識しているようで Graviton Ready Program が同時にリリースされました。これは、Graviton を正式に対応しているソフトウェアやアプリケーションを探すために活用できます。
日本ではまだまだ対応しているソフトやアプリは少ない状況となりますが、今後数年かけて Graviton の活用機会は増えると考えています。
AWS Compute Optimizer の機能強化
ウェビナーの中で、コスト削減の責任は AWS にあるのではなく「利用者の努力に委ねられている」という話をしました。Compute Optimizer はまさにそれを体現するような機能として存在しており、積極的に機能追加が行われています。
このアップデートもまたブログに詳細を記載しておりますので、合わせてご覧ください。
ストレージ
S3 の一部のストレージクラスで値下げや機能の無料化
Amazon S3 には多くのアップデートがありました。
まずは低頻度アクセス (IA) の値下げです。そして S3 Glacier が改名され全リージョン一律で 10% 値引きとなりました。そして今回の目玉となる「Glacier Instant Retrieval」が追加されました。
S3 Intelligent-Tiering に Archive Instant Access 層追加
Glacier Instant Retrieval はすぐに S3 Intelligent-Tiering に組み込まれました。さらに機能を利用すると「自動」で有効化される層(ティア)となりました。これにより、S3 Intelligent-Tiering は東京リージョンで最大 63.8% のコスト削減が可能となりました。
これらのコスト削減に役立つアップデートは以下のブログに詳細を記載しました。
なお、ウェビナーの中で少し触れた S3 のセキュリティに関連するアップデートは以下のブログに詳細を記載しております。どちらもあわせてご覧頂ければ幸いです。
EBS Snapshots Archive で 75% 利用料を圧縮
EBS Snapshots にも Archive が可能となる機能が追加され、これもコスト削減に有効です。
ただし記載している通り注意点があります。特に AMI のままでは利用できない点にご留意ください。
DynamoDB Standard-Infrequent Access Table Class 発表
ウェビナーの中では時間の都合でカットとなりましたが、DynamoDB では「低頻度アクセス(IA)」が登場しました。これにより最大 60% のコスト削減が可能となりますが注意点があります。
「DynamoDB 標準 – IAテーブルクラス」への Read/Write 料金は標準テーブルよりも高額であるため、事前のユースケース把握が重要です。
サーバーレス
複数サービスで、サーバーレス&オンデマンド機能の発表
データ分析関係のサーバーレスがまとめて発表されました。ウェビナーの中では特に Redshift サーバーレスに注目しました。
サーバーレスアーキテクチャに移行することで、常時リソースを構えておく必要がなくなるためにコストが削減可能です。Redshift ではプレビューが開始されており、初回 $500 のクレジットも提供されるとのことですので、検証環境等で試して頂ければと考えております。
サマリー
本資料のサマリーです。
質疑
ウェビナーの中で頂いたご質問に関して記載いたします。
「Graviton のインスタンスへの切り替えは、例えば t3 から t4g に切り替えた場合等で、Savings Plan や Reserved Instance 適用対象後でも費用対効果が高まるのか?」とのご質問を頂きました。
回答としましては、Graviton に切り替えていただければ、常に費用対効果が高まり、コスト最適化につながります。
具体的に、費用は以下の通りになります。この「SP適用後」の利用料は「3年×全額前払い」の Compute Savings Plan による値引き後の費用となります。
インスタンス | SP適用後 | オンデマンド | OS |
---|---|---|---|
t3.nano | $0.0035 | $0.0068 | Linux |
t4g.nano | $0.0028 | $0.0054 | Linux |
t3.nano | $0.0670 | $0.0736 | RHEL |
t4g.nano | $0.0656 | $0.0708 | RHEL |
※Windows では Graviton インスタンスが提供されていません
まとめ
AWS re:Invent 2021 で発表された「コスト削減に役立つアップデート」をまとめた資料を共有し、補足させて頂きました。
本ブログが皆様のコスト削減・コスト最適化に少しでもお役に立てば幸いです。
最後に改めて SlideShare の資料を掲載します。
では、またお会いしましょう。
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マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。