AWS re:Invent 2021 で新しく発表された EC2 のインスタンスタイプまとめ

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営業部 佐竹です。
本ブログは「AWS re:Invent 2021 で新しく発表された EC2 のインスタンスタイプまとめ」と題しまして、インスタンスタイプのリリースを1つの記事にまとめようという試みです。

はじめに

reinvent.awsevents.com

AWS re:Invent 2021 では数多くのアップデートが発表されます。そして、それは EC2 インスタンスのインスタンスタイプも多種発表されることとなります。

それを1つずつ記事にしていると記事数が増えてしまうため、今回は本ブログ記事にインスタンスタイプ関係の発表をまとめてご紹介しようと考えました。

それでは早速ご紹介します。

AWS re:Invent 2021 で新しく発表された EC2 のインスタンスタイプ

2021年11月29日 G5g(GA)

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2021年11月12日発表された G5 インスタンスに加えて、NVIDIA T4G Tensor Core GPU を搭載し、 Graviton2 プロセッサで実装された G5g が発表されました。Graviton2 プロセッサは Arm ベースの CPU であり、これにより価格がより廉価で提供されています。

用途としては、グラフィックワークロードに特化しており、また機械学習の推論を行う用途でも活躍が期待されます。

選択可能なインスタンスタイプは以下の通りです。

Instance Name vCPUs Memory (GB) NVIDIA T4G Tensor Core GPU GPU Memory (GB) EBS Bandwidth (Gbps) Network Bandwidth (Gbps)
g5g.xlarge 4 8 1 16 Up to 3.5 Up to 10
g5g.2xlarge 8 16 1 16 Up to 3.5 Up to 10
g5g.4xlarge 16 32 1 16 Up to 3.5 Up to 10
g5g.8xlarge 32 64 1 16 9 12
g5g.16xlarge 64 128 2 32 19 25
g5g.metal 64 128 2 32 19 25

本インスタンスは既に東京リージョンでも全 AZ で利用が可能です。

2021年11月29日 M6a(GA)

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第3世代の AMD EPYC プロセッサを搭載した汎用インスタンスです。最後の小文字の a は AMD を示しており、これも Graviton2(g) と同様に安価で利用が可能です。

前世代の M5a インスタンスと比べ、最大35%優れた価格パフォーマンスを実現しており、同等のx86ベースのEC2よりも10%低コストとなっています。

選択可能なインスタンスタイプは以下の通りです。

Instance Size vCPU Memory (GiB) Instance Storage (GiB) Network Bandwidth (Gbps) EBS Bandwidth (Gbps)
m6a.large 2 8 EBS-Only Up to 12.5 Up to 6.6
m6a.xlarge 4 16 EBS-Only Up to 12.5 Up to 6.6
m6a.2xlarge 8 32 EBS-Only Up to 12.5 Up to 6.6
m6a.4xlarge 16 64 EBS-Only Up to 12.5 Up to 6.6
m6a.8xlarge 32 128 EBS-Only 12.5 6.6
m6a.12xlarge 48 192 EBS-Only 18.75 10
m6a.16xlarge 64 256 EBS-Only 25 13.3
m6a.24xlarge 96 384 EBS-Only 37.5 20
m6a.32xlarge 128 512 EBS-Only 50 26.6
m6a.48xlarge 192 768 EBS-Only 50 40

本インスタンスは2021年12月1日現在、まだ東京リージョンではご利用いただけません。

2021年11月30日 C7g(Preview)

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Graviton2 の次の世代となる、Graviton3 プロセッサが搭載された C7g インスタンスのプレビューが開始されました。本インスタンスも Arm ベースとなっています。

EC2 は世代が進むごとに費用対効果が向上し続けており、初登場となった「7」の数字を冠する本インスタンスは最も高い費用対効果を持つインスタンスとなっております。

また C6g インスタンスと比較して20%高い拡張ネットワーク帯域幅であり、かつ DDR5 メモリを初搭載しています。加えて、HPC と機械学習の高速化を実現するため Elastic Fabric Adapter もサポートしています。さらに、Graviton3 プロセッサは、CPUベースの機械学習ワークロードで Graviton2 プロセッサと比較し最大3倍優れたパフォーマンスを提供するとありますため、機械学習用途でも活用されそうです。

本インスタンスはプレビューとなっており、まだ一般提供が開始されていない点にご留意ください。利用には申請が必要となります。

2021年11月30日 Im4gn and Is4gen(GA)

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マネジメントコンソールと異なり、リリース発表におけるインスタンスタイプの一文字目は大文字になっているのでわかりにくいですが、im4gnis4gen がリリースされました。

最後の小文字の g は Graviton プロセッサ(Graviton2 採用)であることを示しており、さらに n が付与されたことで、network についても強化されていることがわかります。また、Is4gen は g + en であり、前世代の i3en からの世代アップを伺わせます。

どちらも AWS Nitro SSD からなる最大30TBのストレージを備えており、I/O に特化したデータベースなどのワークロードに適切です。

以下の一覧の通り Im4gn は CPIU と メモリが 1:4 なのに対して、Is4gen はこれが 1:6 という比率で提供されています。また、後者にのみ medium のインスタンスタイプが存在します。

Instance Size vCPU Memory (GiB) Instance Storage Network Bandwidth (Gbps) EBS Bandwidth (Gbps)
Im4gn.large 2 8 1x937 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Im4gn.xlarge 4 16 1x1,875 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Im4gn.2xlarge 8 32 1x3,750 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Im4gn.4xlarge 16 64 1x7,500 NVMe SSD 25 9.5
Im4gn.8xlarge 32 128 2x7,500 NVMe SSD 50 19
Im4gn.16xlarge 64 256 4x7,500 NVMe SSD 100 38
Instance Size vCPU Memory (GiB) Instance Storage Network Bandwidth (Gbps) EBS Bandwidth (Gbps)
Is4gen.medium 1 6 1x937 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Is4gen.large 2 12 1x1,875 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Is4gen.xlarge 4 24 1x3,750 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Is4gen.2xlarge 8 48 1x7,500 NVMe SSD Up to 25 Up to 9.5
Is4gen.4xlarge 16 96 2x7,500 NVMe SSD 25 9.5
Is4gen.8xlarge 32 192 4x7,500 NVMe SSD 50 19

本インスタンスは2021年12月1日現在、まだ東京リージョンではご利用いただけません。

I4i(Coming Soon)

なお、同様に Nitro SSD を最大 30TB 搭載するとして同時に発表された I4i (i4i) は現時点で「Coming Soon」となっております。

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I4i インスタンスは、前世代の I3 インスタンスと比較し、最大 30% 優れたコストパフォーマンス、60% も低い I/O レイテンシー、そして 75% 低いストレージレイテンシーを提供するとのことで、I4i インスタンスは、MySQL、Oracle DB、Microsoft SQL Serverなどのデータベース、またはアプリケーションサービスレベルの合意を満たすために低レイテンシのローカル NVMe ストレージが必要な MongoDB や Couchbase、Aerospike、Redis などの NoSQL データベースに最適とされています。

2021年11月30日 Trn1(Preview)

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2年前の2019年12月、Inf1 インスタンスが発表されました。これは、AWS が独自に開発した機械学習推論チップ「AWS Inferentia」を搭載しています。AWS には深層学習においても低コストの従量課金モデルで利用できるインフラを整えることをビジョンとしており、この取り組みのために本インスタンスが提供されることとなりました。本インスタンスのターゲットは「推論アプリケーション」となっています。

※推論 = inference から inferentia という名称になっているようです

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そして Trn1 は AWS Trainium と呼ばれる AWS が独自に開発した2つ目の機械学習チップを搭載したインスタンスです。

Trn1 は、深層学習モデルのトレーニングを行うにあたり、最高の費用対効果を提供するとしています。これを実現するため、Trainium チップは、画像分類、セマンティック検索、翻訳、音声認識、自然言語処理、レコメンデーションエンジン等のアプリケーションにおける深層学習トレーニングワークロード向けに特別に最適化されています。

Trn1 で機械学習のトレーニングを行い、完成した推論モデルの実行(アプリケーションの提供)には Inf1 を活用するという使い分けになりそうです。

※トレーニング = Training から Trainium という名称になっているようです

本インスタンスはプレビューとなっており、まだ一般提供が開始されていない点にご留意ください。利用には申請が必要となります。

公式ニュースやブログにありませんが、Trn1 と同時に発表されたネットワーク強化のインスタンスである Trn1n も今後リリースされるとのことです。

まとめ

AWS re:Invent 2021 にて新しく発表された インスタンスタイプまとめは以下の通りです。

インスタンス アーキテクチャ ステータス 東京リージョンでの利用
G5g Arm(Graviton2) GA 利用可能
M6a AMD GA 利用不可
C7g Arm(Graviton3) Preview
Im4gn Arm(Graviton2) GA 利用不可
Is4gen Arm(Graviton2) GA 利用不可
I4i Arm(Graviton2) Coming Soon
Trn1 Trainium Preview
Trn1n Trainium

他にも後で追加されるかと思っていましたが、これで全てでした。

では、またお会いしましょう。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。