コンタクトセンターへ電話した際、「ご注文の場合は"1"を、返品の場合は"2"を、・・・」のように音声自動応答される、「IVR」と呼ばれる仕組みがあります。
ご用件をお客様に指示していただくことで、接続オペレーターがスムーズに対応できるように設計することができ、結果的にお客様をお待たせする時間を短縮できます。
Amazon ConnectとSalesforce CTI Adapterを組み合わせたシステムでの設定例と動作を確認します。
概要
お客様がIVR入力した番号とそのご用件をオペレーター着信時に確認できるように設定します。
シナリオ
商品販売の受付コンタクトセンターで、受け付けるご用件は主に「商品のご注文」、「返品」です。
また、「その他のお問い合わせ」についても受け付けます。
お客様は電話した際に自動音声で上記の3つから用件を入力します。
オペレーターはセールスフォース連携されたCTI Adapterで受電します。
スムーズに対応するため、着信時点でお客様の入力した用件を確認できるようにします。
環境
既にAmazon ConnectとSalesforce CTI Adapterの連携設定が完了している環境への追加設定を想定しています。
設定手順
コンタクトフロー
全体図
注目ポイントは3のIVR入力と分岐したあとの 5、6、7のコンタクト属性の設定部分です。
コンタクト属性へセットした値がオペレーター画面へ連携表示されます。
1.音声の設定、2.プロンプトの再生
読み上げ音声を日本語の「Kazuha」に設定し、「お電話ありがとうございます」と発話しています。
3.顧客の入力を取得する
IVR入力ブロックです。
下記発話し、お客様のプッシュ入力を待ち、入力結果によって処理を分岐します。
- 「ご用件を番号で入力してください。ご注文の場合は 1 を、返品の場合は 2 を、その他お問い合わせの場合は 3 を押してください」
4.プロンプトの再生
時間内にプッシュ入力が無い、または設定以外の番号がプッシュされた場合に再入力を促します。
5.コンタクト属性の設定、6.作業キューの設定
IVRで「1」をプッシュした場合の分岐ルートです。
コンタクト属性「IvrName」へ「1:ご注文」という文言をセットし、「注文キュー」へ設定します。
7.コンタクト属性の設定、8.作業キューの設定
IVRで「2」をプッシュした場合の分岐ルートです。
コンタクト属性「IvrName」へ「2:返品」という文言をセットし、「返品キュー」へ設定します。
9.コンタクト属性の設定、10.作業キューの設定
IVRで「3」をプッシュした場合の分岐ルートです。
コンタクト属性「IvrName」へ「3:その他お問い合わせ」という文言をセットし、「その他キュー」へ設定します。
11.キューへ転送
設定されたキューへ転送します。
応答可能なオペレーターへ着信します。
(オペレーター不在の場合はお客様へお待ちいただく動作となります)
CTIアダプター
AC CTI アダプタ
「AC CTI アダプタ」オブジェクトの「ACLightningAdapter」を開き、「Attributes」項目を新規作成します。
新規ボタンをクリック
設定を入力
各項目を下記のように入力し、保存します。
項目 | 設定値 | 補足 |
---|---|---|
属性 | ご用件 | 管理上の名称 |
ラベル | ご用件 | 表示ラベル |
タイプ | Text | 表示タイプ |
表示 | Key-Value | 表示形式を選択 |
スタイル | color:blue | 今回は青色で表示します |
形式 | {{IvrName}} | 表示したいコンタクト属性キーを {{ }} で括って入力します |
動作確認
IVRで "1" をプッシュした場合
オペレーター着信した状態で、情報引き出しをクリック、「Atributes」タブを選択します。
設定した通り、「1:ご注文」表示を確認できます。
IVRで "2"、"3"をプッシュした場合
"2"をプッシュした場合は「2:返品」、
"3"をプッシュした場合は「3:その他のお問い合わせ」、といずれも設定通りの表示を確認できました。
最後に
属性表示は着信時点(受話開始前)~通話中~ACW期間までとなります。
受話開始前から情報確認できるので、ご用件によって準備できたり、通話後ACWの記録作業でも利用できそうです。
今回はシンプルに1つのコンタクト属性を設定・表示しましたが、もちろん複数の情報表示設定も可能です。
オペレーション改善のお役にたてれば幸いです。