
はじめに
サーバーワークスの池田です。
今週(5/10〜5/16)の Claude Code は v2.1.139 から v2.1.143 まで5バージョンがリリースされました。週の頭の v2.1.139 で大きな新機能が2つ同時に投入され、その後の4バージョンはほぼ全部その2機能の安定化に当てられた、という構成の1週間です。注目したいのは次の3点です。
claude agentsエージェントビュー(v2.1.139, Research Preview): バックグラウンドセッションを1画面で見渡すターミナル UI が登場/goalコマンド(v2.1.139): 完了条件を1回書けば、Claude がそれを満たすまで複数ターン自走する- Fast mode のデフォルトが Opus 4.7 に(v2.1.142):
/fastのベースモデルが Opus 4.6 から 4.7 に切り替わり
claude agents 周りは投入直後から v2.1.140〜v2.1.143 の4バージョン連続で改善とバグ修正が積み重なっており、Research Preview ながらかなり実用域に近づいています。
この記事で分かること
- 全バックグラウンドセッションを 1 画面で管理する
claude agentsエージェントビュー(v2.1.139)の使い方、/bg・←との連携、v2.1.141〜v2.1.143 で追加された--cwd/--permission-mode/--model/--effort/worktree.bgIsolationなどの周辺フラグ - 完了条件を満たすまでセッションを自走させる
/goalコマンド(v2.1.139)の書き方、評価モデル(Haiku)の挙動、/loopや Stop hook との使い分け /fastのデフォルトが Opus 4.7 に切り替わった Fast mode 4.7 化(v2.1.142)と、Opus 4.6 にピン留めしたいときのCLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE- hook の
args/continueOnBlock/terminalSequence・ANTHROPIC_WORKSPACE_ID・worktree.bgIsolation: "none"など、その他の主要変更 - worktree クリーンアップでの
rm -rfフォールバック削除、macOS Documents/Desktop/Downloads の Operation not permitted 修正、/loopのキャンセル不能バグ修正など、運用に効く既知不具合の解消状況
今週の主要アップデート一覧
| 機能 | バージョン | 主な変更点 | 参照 |
|---|---|---|---|
claude agents エージェントビュー |
v2.1.139(Research Preview) | バックグラウンドセッションを 1 画面で管理する TUI。claude agents で起動。peek/reply、attach/detach、worktree 隔離、/bg・← 連携 |
公式ドキュメント |
/goal コマンド |
v2.1.139 | 完了条件を設定し、Claude がそれを満たすまで複数ターン自走する。Haiku が毎ターン評価。/goal clear で停止 |
公式ドキュメント |
| Fast mode のデフォルト Opus 4.7 化 | v2.1.142 | /fast で使われるモデルが Opus 4.6 から Opus 4.7 に。CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE=1 で 4.6 に固定可能 |
公式 CHANGELOG |
注目アップデート1 claude agents で全バックグラウンドセッションを1画面に集約
前提 — バックグラウンドセッションが「散らばる」課題
Claude Code には以前から --bg フラグや /bg コマンドでセッションをバックグラウンドに送る仕組みがありました。supervisor プロセスがホストしてくれるため、ターミナルを閉じても作業は走り続けます。
ただし「いま何個走っていて、どれが詰まっていて、どれが終わったか」を一覧する手段がないのが弱点でした。claude attach <id> で1つずつ覗くか、~/.claude/jobs/ 配下を ls で眺めるしかなく、複数のバックグラウンドジョブを並走させる運用が定着しづらい状態でした。
何が変わったのか
v2.1.139 で claude agents コマンドが追加され、バックグラウンドセッションを 1 画面で管理する エージェントビュー(agent view) が Research Preview として公開されました。
claude agents を起動すると、ターミナルを占有する TUI が立ち上がります。すべてのバックグラウンドセッションが状態別のグループに分かれて表示され、各行にはセッション名・現在の活動・最終更新からの経過時間が並びます(PR を開いているセッションがあれば PR ステータスドットも表示されます)。
v2.1.143 の claude agents 実機画面。ヘッダーに「0 awaiting input · 1 working · 2 completed」のサマリ。Working グループに動作中のセッション、Completed グループに完了済み(緑のアスタリスク *)と停止済み(グレーのドット ·)が並んでいる。下部の ) start a task in the background がディスパッチ入力欄
セッションの状態アイコン
行頭の記号で状態と process の生死が一目で分かるようになっています。色とアニメーションが状態を、形状が process 状態を示します。
| 状態 | 表示 | 意味 |
|---|---|---|
| Working | アニメーション | Claude がツール実行中・応答生成中 |
| Needs input | 黄色 | ユーザーの質問・権限決定を待っている |
| Idle | 暗色 | 次のプロンプト待ち |
| Completed | 緑色 | タスク成功 |
| Failed | 赤色 | タスクがエラー終了 |
| Stopped | グレー | Ctrl+X または claude stop で停止 |
| アイコン形状 | process 状態 |
|---|---|
✻ / アニメーションする ✽ |
プロセス生存中、即応答可能 |
∙ |
プロセスは exit 済み。peek/reply/attach で再起動 |
✢ |
/loop セッションが iteration 間で sleeping |
上のスクリーンショットでは Completed グループに緑の *(成功)とグレーの ·(停止済み)が並んでいて、状態と process の生死が同時に読み取れます。
グループ分け
その時点で表示されるグループだけが見えます。たとえばスクリーンショットでは「Ready for review」「Needs input」がそもそも該当セッションなしのため表示されていません。
| グループ | 含まれる状態 |
|---|---|
| Ready for review | PR を開いているセッション |
| Needs input | 入力待ちのセッション |
| Working | 実行中のセッション |
| Completed | 完了・失敗・停止したセッション |
主なキーボードショートカット
公式ドキュメントの Keyboard shortcuts から、よく使うものを抜粋します。
| キー | 動作 |
|---|---|
↑ / ↓ |
行を選択 |
Enter |
入力欄が空なら選択行にアタッチ、テキストがあれば新規ディスパッチ |
Space |
選択行のピークパネルを開閉 |
→ |
選択行にアタッチ |
Shift+Enter |
ディスパッチして即アタッチ |
Tab |
入力欄が空ならサブエージェント一覧を開く、それ以外ならサジェスト適用 |
Ctrl+S |
グループ分けを状態 / ディレクトリで切り替え |
Ctrl+T |
選択行のピン留めトグル |
Ctrl+R |
選択行をリネーム |
Ctrl+X |
セッション停止(2秒以内に再押下で削除) |
Esc |
ピークパネルを閉じる / 入力クリア / 終了 |
? |
全ショートカット表示 |
ピークパネル(Space で開く)からは、トランスクリプト全体を開かずに「いま Claude が何を待っているか」「直近の応答」「開いた PR」が分かります。そのまま返信を入力して Enter で送れ、多肢選択の質問では数字キーで選択肢を選べます。
アタッチ中(Enter または → の後)は普段の claude と完全に同じ挙動で、← を空のプロンプトで押せばエージェントビューに戻れます。セッションはバックグラウンドで走り続けるため、何度でも attach / detach できます。
/bg で既存セッションをエージェントビューに移管する
普通に claude で開いて作業中のセッションを、あとから「これエージェントビューで管理したい」と思ったときは /bg(/background のエイリアス) を使います。これでそのセッションがバックグラウンドプロセスに切り替わり、claude agents の一覧に登場するようになります。
ステップ1: claude agents は最初は空
まだ何もディスパッチしていない claude agents。ヘッダーは「0 awaiting input · 0 working · 0 completed」、本文には「Type a task below to start a background session. It keeps running even after you close this terminal.」とサジェスト例が並ぶ
ステップ2: 別ターミナルの通常 claude セッションで /bg を実行
別のターミナルで普通に claude を起動し、何か作業を頼んだ状態で /bg を打ちます。
通常セッションで「今日の天気は?」のやり取りをした後に /bg を実行。Backgrounding… → backgrounded · 217f657b と表示され、claude agents / claude attach 217f657b / claude logs 217f657b / claude stop 217f657b の管理コマンドが案内される。ターミナルはここで解放され、セッション本体は supervisor 管理に移る
ステップ3: もう一度 claude agents を開くと一覧に登場
同じ claude agents を開き直すと、Working グループに check-weather-tokyo という名前で先ほどのセッションが追加されている。* check-weather-tokyo うちの環境だと天気情報を取得するツールがないから、今日の天気は… 22s と最終応答の冒頭が要約として表示される。フッターは enter to open · space to reply · ctrl+x to delete · ? for shortcuts
セッション名(check-weather-tokyo)は Haiku が会話内容から自動命名します。Ctrl+R であとから手動リネーム可能です。
←(左矢印)はワンキー版
← を 空のプロンプトで押すと、いまのセッションをバックグラウンド化して、ついでにエージェントビュー画面まで切り替えてくれます。「/bg を打って Enter → 別ターミナルで claude agents」を1ストロークでやってくれる形です。よく使うため1キーに割り当てられています。
一方、エージェントビューから attach 中のセッションで ← を押した場合は、単にデタッチ(画面から離れる)して一覧に戻るだけです。セッション自体は Working / Completed のどこかに残り続けます。
複数の repo を並列で抱えているときは、claude agents --cwd <path> でディレクトリを限定できます(v2.1.141 で追加)。プロジェクト単位のエージェントビューを開く運用ができるようになりました。
# プロジェクト配下のセッションだけ一覧する claude agents --cwd ~/work/my-app
v2.1.141〜v2.1.143 で追加された周辺フラグ
claude agents は v2.1.139 の初出から週末の v2.1.143 まで、ほぼ毎リリースで何らかの改善が入っています。実用面で効きそうなのが次の3つです。
--permission-mode / --model / --effort / --dangerously-skip-permissions(v2.1.142)
エージェントビュー全体に対するデフォルトを起動時フラグで指定できるようになりました。ビューから dispatch するすべての新規セッションに反映されます。
# auto mode の Opus、effort high をデフォルトにしてエージェントビューを開く claude agents --permission-mode auto --model opus --effort high
公式ドキュメントによれば、bypassPermissions や auto を claude agents で指定するには 事前に claude で対話的にそのモードを承諾済みである必要があります。監視していないセッションが勝手に承認なしで動く事態を避けるための制約です。
--add-dir / --settings / --mcp-config / --plugin-dir(v2.1.142)
これらの設定系フラグも、エージェントビュー自身とそこから dispatch するすべてのセッションに同時適用されます。たとえば --mcp-config で読み込んだ MCP サーバーは、ビュー内で投げた全セッションでそのまま使えます。
claude agents --settings ./ci-settings.json --add-dir ../shared-lib
worktree.bgIsolation: "none"(v2.1.143)
バックグラウンドセッションは既定で .claude/worktrees/ 配下に隔離された worktree を作って動きます。並列セッション同士で書き込みが衝突しないようにする安全装置です。
ただし巨大リポジトリや submodule が多い repo では worktree 作成が重く、.gitignore の追跡ファイルがあると挙動も複雑になります。worktree.bgIsolation: "none" を settings.json に書いておくと、バックグラウンドセッションが 隔離 worktree を作らず、working copy を直接編集するようになります。
{ "worktree": { "bgIsolation": "none" } }
並列セッションでの書き込み衝突を諦める代わりに、worktree のオーバーヘッドを払わずに済む選択肢です。1度に1セッションしかバックグラウンドで走らせない運用や、worktree が実質使えない repo に向きます。
注意点・制約
- エージェントビューは Research Preview です。UI とキーボードショートカットは今後変わる可能性があります。
- バックグラウンドセッションは ローカルマシンで走るため、PC がスリープ・シャットダウンすると停止します。再開するには
claude respawn --allを実行します。スリープ後のリストでは Failed 表示になりますが、attach / peek / reply のいずれかで自動的に再起動します。 - セッションごとにサブスクリプションのクォータを消費します。10 個並列で走らせれば 1 個の約 10 倍のペースで消費する点に注意してください。
- セッションを削除(
Ctrl+X二度押し)すると、その worktree も一緒に削除されます。worktree 内の uncommitted な変更は失われるため、削除前に push / commit してください。なお、v2.1.143 でgit worktree removeが失敗したときにrm -rfでフォールバックする挙動が削除されたため、gitignored ファイルや作業中ファイルがいきなり消える事故は起こりにくくなっています。 - 完全に無効化したい場合は
disableAgentView設定またはCLAUDE_CODE_DISABLE_AGENT_VIEW環境変数を有効にします。管理者は managed settings で組織的に無効化できます。
注目アップデート2 /goal で「完了条件を満たすまで Claude が自走する」モードが追加
前提 — /loop と Stop hook の隙間にあった「条件達成まで自走」
これまで Claude Code でセッションを継続的に走らせる仕組みは2つありました。/loop は一定時間ごとに同じプロンプトを再実行する仕組みで、Stop hook は各ターン終了後にスクリプトを走らせて続行可否を決める仕組みです。どちらも「次ターンを始めるトリガー」と「終了判定の主体」が異なります。
| アプローチ | 次ターンが始まるタイミング | 終了するタイミング |
|---|---|---|
/loop |
一定時間が経過したとき | ユーザーが止める or Claude が自己判断 |
| Stop hook | 前ターンが終わったとき | 自前スクリプト or プロンプトの判断 |
/goal(新) |
前ターンが終わったとき | モデルが完了条件を満たしたと判定 |
「特定の条件が満たされるまでターンを続ける」をやろうとすると、これまでは プロンプトベースの Stop hook を自分で組む必要がありました。/goal はその「条件達成までセッションを継続」をワンコマンドで使える形に packaging したものです。
Codex CLI に先行して入っていた機能で、Claude Code にも goal コマンドが追加された形となります。
何が変わったのか
v2.1.139 で /goal コマンドが追加されました。条件を指定して /goal を実行すると、Claude はそのターンですぐ作業を開始し、ターン終了ごとに「条件が満たされたか」を small fast model(既定では Haiku)に判定させます。yes が返ったら goal がクリアされ、no が返ったら判定理由をガイダンスとして次ターンへ続行します。
ステップ1: /goal で完了条件をセット
/goal スキルを使って今週の記事のチェックを行い、記事の修正が終わるまで走り切ってください。 を実行した直後。Goal set: の確認に続いて、Claude が「了解、今週の週次記事のチェックと修正をやり切るね。」と動き始め、ディレクトリ確認 → 記事ファイル発見 → verify-references スキル起動と作業に入っていく
/goal 実行と同時に最初のターンが始まり、別途プロンプトを送る必要はありません。条件文がそのままディレクティブとして渡されます。
ステップ2: 達成すると Goal achieved で自走終了
評価器が完了条件を満たしたと判定したターンで自走終了。最終応答の末尾に ✓ Goal achieved (4m · 1 turn · 38.9k tokens) と、所要時間・評価ターン数・消費トークンが表示される。この例では 4 分・1 ターン・約 39k トークンで完了している
達成までは ◎ /goal active のインジケータが画面に出続けます。達成すると上のように ✓ Goal achieved の行が出てインジケータが消え、通常のインタラクティブ状態に戻ります。
使い方
設定はワンライナーです。/goal のあとに完了条件を書きます。日本語でそのまま指定できます。
/goal test/auth 配下の全テストが通り、lint も clean になるまで続けてください
条件を書いた時点ですぐ最初のターンが始まります。別途プロンプトを送る必要はありません。途中で止めたいときは /goal clear(エイリアスは stop / off / reset / none / cancel)か、/clear で新規会話を始めれば外れます。
/goal を引数なしで叩くと、現在のステータス(条件・経過時間・評価済みターン数・トークン消費・直近の評価理由)が見えます。
ヘッドレスモードでも動作するため、CI などからも使えます。
claude -p "/goal CHANGELOG.md に今週マージされた全 PR のエントリが書かれている状態にしてください"
条件の書き方
公式ドキュメントによれば、評価モデルは「Claude の出力に既に現れているもの」しか判定材料にできません。コマンドを独自に走らせたりファイルを読んだりしないため、条件は Claude が会話の中に出してくれる結果 で表現する必要があります。「test/auth 配下の全テストが通る」が機能するのは、Claude が npm test を走らせた結果がトランスクリプトに残るからです。
条件を破綻させずに長く回すために、公式は次の3要素を勧めています。
- 測定可能な終了状態: テスト結果・ビルドの exit code・ファイル数・キューが空、など
- どう証明するかを明示: 「
npm testが exit 0」「git statusがクリーン」など - 守るべき制約: 「他のテストファイルを変更しない」など、達成に至るまで変えてはいけないもの
条件は 4,000 文字まで書けます。長時間 goal を回す場合は 「あるいは20ターンで停止」 のような上限句を含めておくと、Claude が暴走したときの安全装置になります。
注目アップデート3 Fast mode のデフォルトが Opus 4.7 になった
前提 — Fast mode は「同じモデルを速度優先で動かす」モード
Fast mode は v2.1.36 で導入された、Opus を speed-prioritized なインフラ構成で動かすモードです。/fast コマンドで切り替えます。モデルの賢さは同じで、応答が 2.5 倍速い 代わりに、料金が $30 / $150 per MTok(input / output)になります(通常 Opus より高単価)。「重い refactor を1発で終わらせたい」「インシデント対応で待ちたくない」といったケースで使うように設計されています。
導入当初は Opus 4.6 がベースモデルでした。Opus 4.7 のリリース後は CLAUDE_CODE_ENABLE_OPUS_4_7_FAST_MODE=1 を設定すれば Fast mode を Opus 4.7 で動かせるようになっていましたが、デフォルトは引き続き Opus 4.6 でした。
何が変わったのか
v2.1.142 で Fast mode のデフォルトが Opus 4.7 に切り替わりました。/fast を有効化すると、特に何もしなくても Opus 4.7 の Fast mode が立ち上がります。
v2.1.143 のセッションで /fast を打ったときに表示される説明パネル。見出しは ⚡ Fast mode (research preview)、説明文に High-speed mode for Opus 4.7. Billed as extra usage at a premium rate. Separate rate limits apply. と「Opus 4.7」が明示されている(v2.1.142 以前は「Opus 4.6」と表示されていた)。この環境では extra usage が未有効のため Fast mode requires extra usage billing · /extra-usage to enable の赤メッセージが出て、/extra-usage で有効化するよう案内される
画像のとおり、/fast の説明パネル自体が「Opus 4.7」を案内するように更新されています。「いつの間にかベースモデルが変わっていた」を画面側から検知できる形になりました。
Opus 4.6 にピン留めしたい場合は環境変数で戻せます。
# Fast mode のベースモデルを Opus 4.6 に固定する export CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE=1
Opus 4.7 のほうがコーディング性能の評価は概ね高いものの、過去ターンで形成された応答スタイルやエラー時の挙動はモデルごとに微妙に違います。特定のワークフローを Opus 4.6 + Fast mode で固めていた場合は明示的に override しておくのが無難です。
公式ドキュメント(fast mode)は Opus 4.7 の Fast mode を「Opus 4.6 と同じ 2.5 倍速・同じ価格、その他の挙動変更なし」と説明しています。コスト感覚は Opus 4.6 時代と変わりません。
/fast を有効化するための /extra-usage
上の画像でも示されているとおり、/fast は extra usage が有効化されたアカウントでのみ使えます。未有効のアカウントで /fast を打つと、画面のように Fast mode requires extra usage billing · /extra-usage to enable と赤メッセージが出ます。同じセッション内で /extra-usage を実行して有効化フローを開始できます。
extra usage 経由の課金になるため、プランに残っている通常 usage は使われず、最初のトークンから fast mode レートで請求されます。
注意点・制約
- Fast mode は引き続き Research Preview です。提供元プランは Pro / Max / Team / Enterprise の Claude Subscription と Claude Console です。Amazon Bedrock / Google Vertex AI / Microsoft Azure Foundry では利用できません。
- Team / Enterprise では admin が組織側で fast mode を明示的に有効化する必要があります。個人で
/extra-usageを叩いただけでは ON にならない場合は組織設定を確認してください。 - 既存の
CLAUDE_CODE_ENABLE_OPUS_4_7_FAST_MODE変数は、もう設定しなくても 4.7 で動くようになっています。残っていても害はありませんが、混乱の元になるため掃除しておくのがおすすめです。逆に Opus 4.6 にピン留めするときはCLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDEがCLAUDE_CODE_ENABLE_OPUS_4_7_FAST_MODEより優先されるため、4.6 環境変数のほうが残っていても 4.6 で動きます。
今週の新コマンド
注目アップデートで深掘りした /goal のほかに、今週は次のサブコマンドが追加されています。
claude plugin details の追加(v2.1.139)
プラグインのコンポーネント内訳と、セッション当たりの projected token cost を表示する claude plugin details <name> サブコマンドが追加されました。プラグイン導入前に「このプラグインを入れると何が増えて、context にどれだけ乗るか」を確認できます。/plugin のインタラクティブな details ペインに加え、-p や CI から非対話で参照できる経路が増えた形です。
既存コマンドのアップデート
Rewind メニューに "Summarize up to here"(v2.1.141)
Esc 二回で開く Rewind メニュー(巻き戻しメニュー)に "Summarize up to here" が追加されました。
これまでは指定したターンまで完全に戻す(後続のターンは消える)形でしたが、新しい選択肢は 指定地点までを要約に圧縮し、それ以降のターンはそのまま残す動作です。長く伸びてしまった会話の前半だけを圧縮して、最近のやり取りは触らずに context を空ける、という運用ができます。
Agent tool の subagent_type マッチングが緩く(v2.1.140)
Agent ツール(タスクツール)の subagent_type 指定が、大文字小文字とセパレータを無視するようになりました。たとえば "Code Reviewer" を渡すと自動的に code-reviewer にマッチします。subagent の生成プロンプトでモデルが大文字を混ぜたり空白を入れたりして tool 呼び出しが失敗する事故が、ほぼ起こらなくなりました。
Transcript view のキーボードナビゲーション強化(v2.1.139)
トランスクリプトビュー(Ctrl+o)に新しいショートカットが追加されました。? でショートカット一覧、{ / } でユーザープロンプト間をジャンプ、v でショートカットパネルのトグルです。長いセッションを遡るときに使えます。
その他の変更点
| 変更点 | バージョン | 参照 |
|---|---|---|
/scroll-speed コマンド追加(公式 CHANGELOG 記載)。マウスホイールのスクロール速度をライブプレビューで調整する想定。ただし v2.1.143 実機検証時点で /help リストに表示されず、Unknown command: /scroll-speed となるケースを確認。段階的ロールアウト中または環境依存の可能性 |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
Hook の args: string[] exec form 追加。シェルを介さずコマンドを直接 spawn するため、path placeholder のクオート不要 |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
Hook の continueOnBlock 設定追加(PostToolUse 用)。true にすると hook の rejection 理由を Claude に戻してターンを継続 |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
MCP stdio サーバーが CLAUDE_PROJECT_DIR を環境に受け取れるように。hook と同じ扱い。プラグイン設定の commands で ${CLAUDE_PROJECT_DIR} を参照可能 |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
/context all の per-skill token estimate がモデルのトークナイザを考慮するように。表示も丸めた値に |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
| Compaction prompt が「sensitive user instructions を残せ」と明示するように改修 | v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
API リクエスト(subagent 発)に x-claude-code-agent-id / x-claude-code-parent-agent-id ヘッダ追加。OTEL span の claude_code.llm_request にも agent_id / parent_agent_id 属性が乗る |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
Skill(name *) 権限ルールがワイルドカード prefix match で動くように修正(Bash(ls *) と同じ挙動) |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
symlink された ~/.claude/settings.json の編集が hot-reload で検出されない問題を修正 |
v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
| HTTP/SSE MCP サーバーが non-protocol データを stream すると無制限にメモリ growth する問題を修正。SSE フレームあたり 16MB で cap | v2.1.139 | Releases v2.1.139 |
並列セッション同士の /model 変更が autocompact 閾値まで巻き込んでいた問題を修正 |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
Hook 出力の terminalSequence フィールド追加。controlling terminal なしでもデスクトップ通知・ウィンドウタイトル・ベルを emit 可能 |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
CLAUDE_CODE_PLUGIN_PREFER_HTTPS 追加。GitHub プラグインソースの clone を SSH ではなく HTTPS で行う |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
ANTHROPIC_WORKSPACE_ID 環境変数追加。workload identity federation で minted token を特定ワークスペースにスコープ |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
/feedback が直近 24 時間 / 7 日のセッションを添付できるように。複数セッションをまたぐ問題の報告に対応 |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
Auto mode の権限ダイアログが「permissions.ask ルールが原因」を表示するように |
v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
| 長時間 thinking のスピナーが 10 秒経過で amber 色になるように。「まだ動いている」シグナル | v2.1.141 | Releases v2.1.141 |
Esc/Ctrl+C が /loop の wakeup pending を cancel できない問題を修正 |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
Stop hook が repeatedly block すると無限ループに陥る問題を修正。8 回連続で block されるとターン終了(CLAUDE_CODE_STOP_HOOK_BLOCK_CAP で上書き可) |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
NO_COLOR / FORCE_COLOR を settings.json の env に書くと Claude Code 自身の UI 色まで剥がれる問題を修正。subprocess にのみ適用するように |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
macOS の background job session が ~/Documents / ~/Desktop / ~/Downloads のファイル読み込みで Full Disk Access ありでも Operation not permitted となる問題を修正 |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
/bg が --mcp-config / --settings / --add-dir / --plugin-dir / --strict-mcp-config を保持するように。respawn 後も MCP サーバーと設定を保ったまま |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
PowerShell ツールが -ExecutionPolicy Bypass で起動するように。CLAUDE_CODE_POWERSHELL_RESPECT_EXECUTION_POLICY=1 で opt-out 可 |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
PowerShell ツールが Bedrock / Vertex / Foundry ユーザーで Windows 既定有効に。CLAUDE_CODE_USE_POWERSHELL_TOOL=0 で opt-out |
v2.1.143 | Releases v2.1.143 |
MCP の MCP_TOOL_TIMEOUT がリモート HTTP/SSE MCP サーバーの per-request fetch timeout を引き上げない問題を修正(60秒で打ち切られていた) |
v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
| macOS のスリープ/復帰後、daemon の reconnect が elapsed idle と誤判定して background session が消える問題を修正 | v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
brew upgrade 等でバイナリが上書きされた後、daemon が古いパスを掴んだまま dispatched agent が crash-loop する問題を修正 |
v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
| Reactive compaction の summarize 初回試行が、overflow サイズを seed として使うように改善。near-full-context retry の無駄打ちを回避 | v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
Plugin root に SKILL.md があって skills/ サブディレクトリがないプラグインを skill として surface するように |
v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
/web-setup が既存 GitHub App 接続を置換する前に warn を出すように |
v2.1.142 | Releases v2.1.142 |
/goal が disableAllHooks / allowManagedHooksOnly 設定下でハングする問題を修正(明確なエラーメッセージを表示) |
v2.1.140 | Releases v2.1.140 |
/loop が backround task の通知を待たずに redundant wakeup を schedule する問題を修正 |
v2.1.140 | Releases v2.1.140 |
Symlink された settings ファイルのホットリロードで、変更イベントが誤帰属して spurious な ConfigChange hook が走る regression を修正 |
v2.1.140 | Releases v2.1.140 |
Windows で gh などの missing executable が同期 where.exe 再 spawn を毎チェックで起こす event-loop stall を修正 |
v2.1.140 | Releases v2.1.140 |
Plugins が commands/ などの default component folder を plugin.json のキーで silent に shadow した場合、/doctor / claude plugin list / /plugin で warn を出すように |
v2.1.140 | Releases v2.1.140 |
まとめ
今週の Claude Code は、バックグラウンドセッション運用の集約 UI(claude agents) と 自走セッション(/goal) が、週の頭に同時投入された週でした。claude agents は Research Preview ですが、v2.1.140〜v2.1.143 の4バージョン連続で改善が積み重なり、Research Preview としては相当に実用的な段階まで来ています。
不具合修正面では、macOS Documents / Desktop / Downloads の Operation not permitted、worktree クリーンアップの rm -rf フォールバック削除、/bg の MCP 設定・--add-dir 引き継ぎなど、バックグラウンドセッション周りの安定化が大きく前進しました。worktree や background session を多用する運用なら v2.1.143 への更新を強く推奨します。
Fast mode が Opus 4.7 デフォルトになった点は短い変更ですが、/fast を業務に組み込んでいる場合は既定ベースモデルが切り替わっている点に注意してください。Opus 4.6 にピン留めしたいなら CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE=1 を設定で解決します。