英語が苦手なエンジニアが re:Invent に行って感じた「安心」と「後悔」

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現在、ラスベガスで開催されている AWS re:Invent に参加しています。 日本から参加を検討しているエンジニアの中には、「英語が苦手だけど大丈夫だろうか?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

実際に現地に来てみて、英語が苦手な私が感じた「安心できたこと」と、それ以上に感じた「後悔」について、書きたいと思います。

前提:私の英語レベル

恥ずかしながら、私の英語力は本当に「初心者レベル」です。

高校・大学受験で英語が必要なかったため、まともに勉強していたのは中学1年生から中学3年生の途中まで。 今回の参加に向けて Duolingo 続けてきましたが、読み書きや会話の実践練習はほとんどしていない状態での渡航でした。

1. 生活面は「なんとかなる」から安心していい

まず、結論から言うと「現地で過ごすだけ」なら、高い英語力は必要ありませんでした。

  • 入国審査: 係官はゆっくり話してくれますし、定型的なやりとりで通過できます。
  • 会場移動: 会場は広大で迷いますが、「Ask Me」と書かれたTシャツを着たスタッフがたくさんいます。とりあえず方向だけ聞いて、その先にいる別のスタッフにまた聞く、という形でいけば目的地には着けます。
  • 食事: タッチパネルで注文できるお店も多く、会話ゼロで食事ができる場所も多いです。店員さんに注文するお店でもみなさん優しくしてくれるので、なんとかなりました。

「英語が怖いから行かない」というのはもったいないです。そこはなんとかなります。

2. セッションは「キーワード」を持ち帰る

セッション(講演)については、正直なところほとんど何を言っているか分かりません。 ただ、スライド資料があるので、それを追いながら聞いていると「キーワード」が耳に入ってくる瞬間があります。

例えば今回なら、「AWS Lake Formation」と「Amazon Bedrock in SageMaker Unified Studio」の連携についての話が出ているな、と聞き取れました。 その場ですべて理解できなくても、キーワードさえメモしておけば、ホテルに戻ってから、あるいは帰国してから調べることができます。これだけでも参加する価値はあります。

3. 英語ができないことによる「機会損失」

生活はなんとかなりますが、一歩踏み込んだ体験をしようとすると、やはり「壁」を感じました。

Expo会場での遠慮

Expo(展示会場)では、バッジをスキャンしてもらうだけでSWAG(ノベルティ)がもらえます。これだけなら英語は不要です。 しかし、興味のあるサービスの前で足が止まった時、本当は聞きたいことがたくさんありました。 「私の想定しているユースケースに合うか?」「既存のAWSサービスと比較してどうか?」 そうした質問が頭に浮かびましたが、忙しそうなスタッフに、たどたどしい英語で時間を使わせるのは気が引けてしまい、結局何も聞けずに立ち去ってしまいました。

Amazon S3 バケットくん

Workshopでの交流

Workshopに参加した際、隣に座っていたアメリカ出身の方が、なぜか私を気に入ってくれて、たくさん話しかけてくれました。 しかし、私は単語を並べるのが精一杯。「普段どんな仕事をしているの?」「この技術どう思う?」「re:Inventは毎年来てるの?」そんな何気ない会話ができれば、もっと楽しい時間になったはずです。

4. 最大の後悔:技術相談ブースでの挫折

今回、一番悔しかったのが、AWSエンジニアに直接相談できるブースでの出来事です。

こんな機会はないと思い、私は「Amazon S3 Tables」のパフォーマンス向上できないか相談しようと準備していました。

言葉で説明するのは難しいと思い、事前に「構成図」も用意して挑みました。 しかし、結果は「あまり噛み合わなかった」で終わってしまいました。

構成図があれば技術的な話は通じると思っていましたが、甘かったです。

AWS サポートに質問するときと同様に、図には描かれていないコンテキストまで伝える必要がありました。 「現在のユーザー規模はこれくらいで」「テーブル構成はこうなっていて」「過去にこういうチューニングを試したけどダメだった」 こうした背景情報を伝えられないと、的確なアドバイスはもらえません。

AWSのエンジニアの方は本当に親切でした。私の英語が拙いと分かると、普通よりもだいぶゆっくり話してくれましたし、別の詳しいエンジニアをわざわざ呼んできてくれたりもしました。 その親切さに、自分の英語力不足で応えられなかったことが、何より悔しかったです。

まとめ

re:Invent は、英語が苦手でも参加できますし、雰囲気だけでも十分に刺激を受けられます。 しかし、英語ができれば、疑問をその場で解決し、世界中のエンジニアと繋がり、より深い技術的な知見を持ち帰ることができます。

「行くだけ」なら英語は不要ですが、「使い倒す」なら英語は必須。 もし、来年以降参加を検討している方がいれば、ある程度英語の準備をしておくといいと思います。