マネージドサービス部 佐竹です。
今年も AWS ベータ試験を受けることになりましたので、いくつか思ったことを記載したいと思います。
- はじめに
- 事前準備
- 受験する前に考えていたこと
- 受験した後の感想
- 書いていて良かったブログ
- Amazon Macie の sensitive data discovery jobs 実行時には CloudTrail 用のバケットを避けよう
- Amazon EBS ボリュームを gp2 から gp3 へ切り替えコストを削減する
- Manual WLM モードの Redshift クラスターで Concurrency Scaling 有効化や同時実行数のチューニングを行った運用知見と注意点について
- AWS re:Invent 2021 で発表された「コスト削減に役立つアップデート」まとめ
- Redshift クラスターを土日&夜間に一時停止しコストを削減する
- AWS マルチアカウント運用下で WafCharm を追加構築する場合の手順
- 書いていて良かったブログ
- まとめ
はじめに
これまで私は AWS の資格試験ではベータ版を可能な限り受け続けてきました。
まず、2020年1月に「DB1-C01 AWS Certified Database - Specialty Beta English」を受験しています。
そして、2022年1月には「PA1-C01 AWS Certified: SAP on AWS - Specialty Beta 英語」を受験しました。
これらの受験報告は上記の通りブログでそれぞれ行っております。
そして今回、2024年1月10日(水)に「DE1-C01 AWS Certified Data Engineer - Associate Beta 英語」を受験してきました。
ということで、本試験の感想を記載していきます。
余談
2023年12月は仕事としてなかなかに忙しい師走でした。ですので「AWS Certified Data Engineer - Associate Beta」を「ベータ試験の実施日 2023 年 11 月 27 日~2024 年 1 月 12 日」中に受けている余裕がなさそうだと受験は諦めていました。
また、2024年4月9日に廃止予定の「AWS Certified Data Analytics - Specialty」が、受験から3年が経つため2024年1月11日に期限を迎えるということで、この年末年始はずっと「AWS Certified Data Analytics - Specialty」の対策をしていました。なお、2024年1月6日(土)に受験して無事に更新できました。
そしてふと仕事はじめの1月9日(火)に「1月10日(水)は昼間に会議が全くない」ということに気付き「AWS Certified Data Engineer - Associate Beta」を突然申し込んで試験会場で受けてきました。
なお、費用はアソシエイトレベルの15,000円の半額である7,500円+税です。ただ、私の APN アカウントに合格時のバウチャー(50% Discount on your next Exam )が大量に余っているので、これでさらに半額にして、3,750円+税で受験しました。
受験履歴
参考まで、私の AWS 資格試験の受験歴(合格分のみ)を以下に掲載しておきます。
コード | 日時 | 試験名 |
---|---|---|
DAS-C01 | 2024/1/6 | AWS Certified Data Analytics - Specialty (retiring April 8th, 2024) |
MLS-C01 | 2023/4/2 | AWS Certified Machine Learning - Specialty |
DBS-C01 | 2022/8/30 | AWS Certified Database - Specialty |
ANS-C01 | 2022/7/15 | AWS Certified Advanced Networking - Specialty |
SCS-C01 | 2022/5/16 | AWS Certified Security - Specialty (Retired) |
SAP-C01 | 2022/2/15 | AWS Certified Solutions Architect - Professional (Retired) |
SAA-C02 | 2022/1/18 | AWS Certified Solutions Architect - Associate (Retired) |
PAS-C01 | 2022/1/9 | AWS Certified: SAP on AWS - Specialty |
DOP-C01 | 2021/2/16 | AWS Certified DevOps Engineer - Professional (Retired) |
DAS-C01 | 2021/1/10 | AWS Certified Data Analytics - Specialty (retiring April 8th, 2024) |
MLS-C01 | 2020/4/2 | AWS Certified Machine Learning - Specialty |
AXS-C01 | 2020/3/22 | AWS Certified Alexa Skill Builder - Specialty (Retired) |
ANS-C00 | 2020/1/13 | AWS Certified Advanced Networking - Specialty (Retired) |
DBS-C01 | 2020/1/10 | AWS Certified Database - Specialty |
BDS-C00 | 2019/12/23 | AWS Certified Big Data - Specialty (Retired) |
CLF-C01 | 2019/6/6 | AWS Certified Cloud Practitioner (Retired) |
SCS-C01 | 2019/5/16 | AWS Certified Security - Specialty (Retired) |
SAP-R00 | 2019/2/16 | AWS Certified Solutions Architect - Professional - RECERTIFICATION |
DOP-C00 | 2018/2/28 | AWS Certified DevOps Engineer - Professional (Retired) |
PR000030 | 2017/5/18 | AWS Certified Solutions Architect - Professional Exam (Japanese) |
PR000087 | 2016/12/17 | AWS SysOps Administrator - Associate (Japanese) - RECERTIFICATION |
PR000071 | 2016/4/24 | AWS Certified Solutions Architect - Associate (Japanese) - RECERTIFICATION |
PR000029 | 2015/12/25 | AWS Certified Developer - Associate (Japanese) |
PR000059 | 2015/12/19 | AWS Certified Developer Associate - Practice Exam (Japanese) |
PR000022 | 2014/12/21 | AWS Certified SysOps Administrator - Associate (Japanese) |
PR000006 | 2014/1/11 | AWS Certified Solutions Architect - Associate (Japanese) |
赤字は Beta (English) で受験したものです。
事前準備
AWS Skill Builder に20問の模擬試験を無料で受けられるコースである Exam Prep Official Practice Question Set: AWS Certified Data Engineer - Associate
があることは知っていたので、これを前日に実施。間違えたところを反省して復習しました。
「日本語版」も出ていますが、今回ベータ試験=英語で受ける必要があるので、「英語版」で受講しました。
事前準備は、時間も限られていたのでたったこれだけでした。
ただ、2024年1月6日(土)に「AWS Certified Data Analytics - Specialty」を受験するために色々と勉強していたので、この知識で何とかならないかなと少し考えていました。
受験する前に考えていたこと
まず、この試験は恐らく「AWS Certified Big Data - Specialty」→「AWS Certified Data Analytics - Specialty」→「AWS Certified Data Engineer - Associate」という流れで作られているということです。
「AWS Certified Big Data - Specialty」と「AWS Certified Data Analytics - Specialty」には体感できるレベルで出題範囲の大きな変化がありました。またそれは、EMR が(恐らく)メインに据えられていたであろう「AWS Certified Big Data - Specialty」の時代の終わりが来たことを示しており、次の時代は Redshift や Athena、Glue、QuickSight、Kinesis を活用したものになって来たことで「AWS Certified Data Analytics - Specialty」ではこれらのサービスが主に登場する資格試験であったと認識しています。
そしてついに「AWS Certified Data Analytics - Specialty」も既に時代に沿っていないものになってしまったのでしょう。抜本的に改善された試験、それもアソシエイトレベルで「AWS Certified Data Engineer - Associate」が登場した、と私は考えています。
模擬試験からわかる変化
20問の模擬試験を受けたらわかる通りですが、登場するサービスに変化があることが体感できます。
これは「試験ガイド」を合わせてご覧いただくのが一番良いでしょう。
本出題範囲の「In-scope AWS services and features」には、登場する予定となっている AWS サービスが列挙されています。私が「新顔だな」と感じたのは以下のようなサービスです。
- Amazon Managed Streaming for Apache Kafka (Amazon MSK)
- Amazon SageMaker
- Amazon Managed Grafana
- Amazon AppFlow
このあたりは事前にどのようなサービスなのか理解をしてから望む方が良いでしょう。ただ、SageMaker はあまりにも機能が多いため、主題ではないので勉強範囲からスコープアウトして他に注力したほうが賢明かもしれませんが…。
受験した後の感想
では本題の感想を箇条書きにします。
- Beta 試験は英語でかつ85問もあるのでとても長いです。毎回 Beta を受ける度に書いていますが長いです。大変です
- いつも通り英単語が分からないことが少しありましたが、諦めてスキップしたりしました。永遠に考えているとドツボにハマりますので潔く。AWS の資格試験ではタイムマネジメントは重要なスキルです
- 長文の問題が多いという感覚を受けました。SA Pro ほどではないですが、Specialty レベルの長文の問題が大半です
- 「これ本当にアソシエイトレベルなの?」というのは模擬試験20問を解いたときにも感じたことですが、非常にレベルの高い問題が多いです。プロフェッショナルが出たら一体どうなるのか今から恐怖です
- 半面「こんな単純な問題もあるのか」と思うような問題も少しだけあり、そのレベルの差に少し驚きました
- 設問や選択肢に登場するサービス群は「AWS Certified Data Analytics - Specialty」とほとんど変わらないという印象でした
- ですが「AWS Certified Data Analytics - Specialty」と異なり、新しいサービスが含まれているため、使ったことがないサービスもチラホラとありその辺りで考え込んでしまいました。もっと事前に新しい Analytics 関係のサービスをおさらいすべきでした
- 少しサービスについて記載すると、「AWS Certified Data Analytics - Specialty」と比較すると Kinesis と QuickSight の登場率は下がったように感じました。ただ私の出題傾向がそうだっただけかもしれませんが
- 「AWS Certified Data Analytics - Specialty」よりも、Amazon Redshift と Glue に関する問いが多いように感じました(出題傾向については、同上)
- 「試験ガイド」にもある通り、「PII」については問われることが幾度かありました。
Implementing PII identification (for example, Macie with Lake Formation)
とガイドにあるように PII については事前に勉強しておきたかったです - 「AWS Certified Big Data - Specialty」→「AWS Certified Data Analytics - Specialty」→「AWS Certified Data Engineer - Associate」という流れで作られているのではと考えていた通り、「Big Data - Specialty」や「Data Analytics - Specialty」と傾向が似た出題もあるんだなと感じました。これらの資格試験に過去合格している人は私と同様の感想を持つ人が多い気がします
- 新しいサービスもあるのですが、名前の変更もあります。過去、Amazon Kinesis Data Analytics であった名称が現在は Amazon Managed Service for Apache Flink になっているため、問題も全て Flink で記載されており、脳内変換に少し戸惑いました
- 私は2010年から AWS を業務で利用しているため「昔はできなかったけども今はできる」という情報に振り回されることも多いのですが、この試験はもちろん最新のアップデート内容で用意されており、「実装ができないと思い込んでいる」ことが「もしかしてこれ、できるのかな?」というような選択肢もいくつかあり、その差分に苦しみました
- ただこのような「昔はできなかったけども今はできる」ということを調べるきっかけになる資格試験というものの「良さ」を同時に感じました。勉強が好きな方には特に楽しい時間になると思います
- 「試験ガイド」を終わった後に見直して気付いたのですが、「Task Statement 1.4: Apply programming concepts.」に「SQL query optimization」や「Performing SQL queries to transform data (for example, Amazon Redshift stored procedures)」と記載があります
- これはつまり、クエリーに関する出題が想定されるということですが、私は「もしかして SQL の問題が出るのでは」と身構えていた「AWS Certified Database - Specialty」でそれを見なかったので、「こっちのほうが Database - Specialty っぽいなあ」と思いながら受けていました
- セキュリティの問題も多いため「AWS Certified Security - Specialty」を先に合格しておいた方が良いというのは私がいつも伝えている通りです
- 模擬試験の20問は確実にクリアしてから望まれたほうが良いでしょう。必ずためになります。全く同じ問題が出ることはありませんが、傾向は必ず把握できます
書いていて良かったブログ
受験中に「このブログを書いていてよかった」と感じたブログをご紹介します。ブログを書くと記憶に強く定着するので、試験対策にブログを書くのもおすすめです。
Amazon Macie の sensitive data discovery jobs 実行時には CloudTrail 用のバケットを避けよう
このようなコストの話が出てきたわけではないのですが、Amazon Macie をちゃんと調べたのはこの調査のためでした。
先程も記載してはいますが、PII といえば Macie ですね。
Amazon EBS ボリュームを gp2 から gp3 へ切り替えコストを削減する
地味にこのブログが役立ちました。
EBS の gp3 への切り替えによるコスト最適化は今現在もまだよく聞かれる機能です。
Manual WLM モードの Redshift クラスターで Concurrency Scaling 有効化や同時実行数のチューニングを行った運用知見と注意点について
Redshift の WLM の運用に切り込んだブログです。
これは実案件のトラブルシューティングであったため、かなり記憶に残っています。このような対応を行ったことで、Redshift について詳しくなれた点が大きかったです。
AWS re:Invent 2021 で発表された「コスト削減に役立つアップデート」まとめ
AWS re:Invent 2021 でコスト削減系のまとめをしたときに、Amazon S3 についていくつか掘り下げていました。
例えば「S3 Intelligent-Tiering に Archive Instant Access 層追加」などです。他には、「複数サービスで、サーバーレス&オンデマンド機能の発表」としてまとめている通り、サーバレスサービスにも一定の知識がありました。
関連して以下のブログも記載しています。
Redshift クラスターを土日&夜間に一時停止しコストを削減する
いまだと Redshift Serverless も良いのですが、時間起動と時間停止をエンドユーザ様からお願いされることもあります。
このようなコスト最適化もやっていて少しヒントになったなと感じました。
AWS マルチアカウント運用下で WafCharm を追加構築する場合の手順
これはマルチアカウントでログアーカイブアカウントのためにクロスアカウントをする設定をしたことがためになりました。
今は「マルチアカウント」として役割ごとに AWS アカウントを分けるという状況が多いので、このような出題でイメージがしやすかったです。
これは完全な余談ですが、Athena のワークグループによる制限のブログを記載しようとして1年以上が経過しています。「いつかやろう」ではなく思い立った時に気合を入れてしっかりと調べておかなかったことを後悔しています*1。
まとめ
本ブログでは2024年1月に「AWS Certified Data Engineer - Associate Beta」を期限ギリギリに突如思い立って受験した感想を記載しました。
2024年4月に GA したときにこの内容が誰かの参考になればと思いつつ終わりにしたいと思います*2。
では、またお会いしましょう。
佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ
マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。