AWS Certified: SAP on AWS - Specialty Beta 試験を受験してきました

記事タイトルとURLをコピーする

あけましておめでとうございます。

営業部 佐竹です。
本日は、SAP on AWS - Specialty Beta 試験を受験してきた感想と、そのためにどのような準備をしたのか述べたいと思います。

はじめに

SAP on AWS - Specialty は AWS の14個目の資格として登場しました。

本資格試験は、2021年11月22日 から2022年1月11日まではベータ試験として半額($150 ※日本円では16,500円(税込み))で提供されます。合格判定は3月上旬に行われると考えられます。

Database Specialty と同様であれば、2022年4月から通常通りの試験として提供されるでしょう。

blog.serverworks.co.jp

概要とサンプル問題

試験概要「(PAS-C01) Exam Guide」とサンプル問題 「(PAS-C01) Sample Exam Questions」の URL は以下の通りとなります。

ベータ試験の特徴

ベータ試験は 220 分(試験当日、画面には 225 分と記載されていた記憶です)の試験で、10分 間はガイダンスの時間となっており、実際は 210 分で試験を受けます。

問題数は 85 問と通常の試験問題数より多く、おおよそ1問 148 秒程度で解いていかないと全部終わらない計算となります。

選択可能な言語は英語のみであり、日本語では提供されておりません。

受験に至る経緯

私は、AWS の資格試験は全て取得済ですので、これもその延長線上で受けようかというのが単純な動機でした。ただ、もう1つ理由がありました。

まず前提として AWS の資格試験は全ての試験において、かなり「対策され尽くしている」感があります。つまりは、試験を受けようと思えば検索サイトから様々な情報に当たり、1発で合格することも難しくない状況になっています。しかし、この Beta 試験では事前情報がほとんど存在しないために、まっさらな形で自分の力試しができます。この「自分の知識を試されている」というのが結構面白いと感じています。

実際、試験会場では「おお、これは悔しいけど全然わからないな~」と楽しみながら試験を受けていました。

また英語の試験でもあるので、自分の英語力も試せて「一石二鳥」な試験だなとも感じました。ちなみに私は TOEIC で 700点 の英語力です。

そういうわけで、ざっくりと力試しのために受けてみました。

SAP on AWS の経験

基本的にはほとんどないです。

ただ、私は国内 ERP パッケージの導入&保守コンサルタントを AWS 上でしていた経験があることと、その製品が Oracle Database を利用していたこともあり、このあたりの仕組みに勘所があるのが救いでした。

試験準備

本試験へ挑まれる方は、おおよそ以下のどちらかに大別できると思います。

  • 「SAPに詳しい」が AWS 全般には詳しくない方
  • 「AWSには詳しい」が SAP 全般に詳しくない方

私は後者の人間で「SAP on AWS に関係しそうな AWS サービス全般の知識」は全てあるため、SAP on AWS に特化した対策が必要と考えて対策を取りました。そのため、前者の方にはあまり参考にならないと思われます。

受験前に参考にしたものを、参考まで以下に記します。「自分の知識を試されている」のが楽しいと記載しましたが、何も知識(武器)を持たずにいくと確実に負けるので、可能な限り対策は行いました。

ブログ

SAP on AWS 日本語ブログ

AWS 公式の日本語版ブログがあります。海外記事を翻訳したものが大半ですが、これを全て読みました。

aws.amazon.com

AWS for SAP 英語ブログ

英語では「AWS for SAP」となっている以下のブログも原文をあたる時などに利用しました。

aws.amazon.com

日本語に翻訳されていない記事もあるため、英語版を全て網羅したほうが良いのですが、時間の都合もあり試験当日までに英語版の記事は全て読めませんでした。

公式ドキュメント

公式ドキュメント には構成図や設定に必要な詳細が記載されているため、可能な限り目を通しました。

aws.amazon.com

General SAP Guides

docs.aws.amazon.com

SAP HANA on AWS

docs.aws.amazon.com

この2つのドキュメントは日本語訳が存在しないのが残念ですが試験前に可能な限りは目を通しておきました。

SAP Lens

「AWS Well-Architected Framework」として「SAP Lens」があります。試験前にさっと読んだ感じとしては、設問として問われるような設定はなさそうと判断し、詳細には読みませんでした。

docs.aws.amazon.com

動画

参考になった動画もあわせてご紹介します。

AWS AMER Summit May 2021 | Choosing your SAP migration path

www.youtube.com

AWS Launch Wizard for SAP サービス説明&デモ

www.youtube.com

他社様ブログ

基本的に他社様のブログをご紹介することは避けているのですが、SCSK 様のブログをかなり参考にさせて頂いていまして、受験当日までに全て読ませて頂きました。こちらにも掲載させて頂きます。

blog.usize-tech.com

試験前に勉強して思ったことなど

SAP on AWS ですが、ある程度ブログを読み進めたり構成図を調べたりしているうちに、おおよその構成が理解できるようになります。

最初にやるべきことは細部を確認するよりかは、「公式ドキュメント」等にある AWS 環境構成図を見て全体像を把握していきました。

f:id:swx-satake:20220111120611p:plain
Figure 3: SAP all-on-AWS architecture

その後、SAP の導入や運用に必要な特殊なサービスや専門用語を記憶していきました。

脳内に「SAP on AWS とは何ぞ?」という概略図が出来上がるまでは勉強が苦しく思う部分もあったのですが、おおよそ概略図が描けるようになってからは勉強が少し楽しくなったことを記憶しています。

ただ、SAP 製品の名前が特殊で、3文字省略も多いためなかなか覚えられませんでした。さらに歴史的なサービス名の変遷もあるので苦労します。

このあたりは YouTube にある SAP の歴史解説などをみてその歴史的な背景から理解をすることにしました。結果的にこれが良く、特に OLAP になっていったあたりの歴史を知れたことで HANA の特殊性などに気づき、勉強が捗りました。

受験後の感想

まず感じたのは、SAP 知識と AWS 知識のバランスです。

「SAP の知識に偏った試験」だと、AWS の試験である必要がありません。そのため「AWS の知識だけを問う問題」も多数存在していました。

つまり、SAP のことを詳しく知らずとも、ある程度 AWS の知識だけで戦える問題も存在していました。

そして私が行った対策は、基本的には AWS ブログの解読と、AWS 公式ドキュメントを理解できるまでひたすら読み込むという愚直な取り組みに終始しておりましたが、これが正解であったようで「全く質問の意味がわからない」ということにはほとんどなりませんでした。今後対策をされる方も、ブログとドキュメントを主軸に据えることをお勧めします。

英語の読解力と SAP の知識のなさで数問は理解ができずに終わりましたが、思った以上に解くことができました。

なお、弱点となったのは「運用面」でした。ブログやドキュメントからは設計を学ぶことは多くあるのですが、実際の運用におけるトラブルシューティングは、ドキュメントに記載がある以上のことはキャッチアップできませんでした。このあたりは反省として次回に繋げたいと感じました。

3月に出る予定の結果が「不合格」であった場合は、4月に合格を目指したいと考えています。

これから受ける方へのアドバイス

Specialty の試験は AWS の全般的な知識を問われます。そのため、以下の内容については最新の知識をアップデートしておく必要があります。

  1. セキュリティとマルチアカウント運用
  2. コスト最適化
  3. ネットワーキング

がその最たる例です。

2021年年末までの「最新の知識」を問われるため、今までの試験には登場しなかったであろう新しいサービスも登場しました(具体的な名称はここに記載致しません)。

コスト最適化についても十分な理解が必要です。弊社ブログでは以下のカテゴリーを参考ください。

blog.serverworks.co.jp

私はマルチアカウント運用とコスト最適化は得意分野であるため、あまり苦労はしませんでしたが、このあたりは 「SAPに詳しい」が AWS 全般には詳しくない方 が苦労される点かと想像します。

まとめ

本日は、SAP on AWS - Specialty Beta 試験を受験してきた感想と、そのためにどのような準備をしたのか記載しました。

本ブログが皆様の試験対策に少しでもお役に立てれば幸いです。

お断りとなりますが、本ブログの内容はベータ試験のものであるため、2022年4月(Q2頃)にリリースされる予定の本試験では内容が変更される可能性もあります。その点をご理解の上、本ブログの内容をご参考くださいますようお願い申し上げます。

以上になります。

それでは、またお会いしましょう。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。