こんにちは、やまぐちです。
概要
今回は、AWS Backup で作成されたバックアップが、どの KMS キーで暗号化されるのかについて記載します。
単にボールトで指定した KMS キーで暗号化されるわけではなく、条件によって挙動が異なるため、ケースごとに確認する必要があります。
どの KMS キーで暗号化されるのかを把握できると、クロスリージョンやクロスアカウント間でのコピー時の考慮も可能となります。
結論
それぞれのケースでの説明をつらつらと記載しておりますので、先に結論をこの章で記載したいと思います。
プライマリボールトに保存されるバックアップは、以下のフローチャートに則って KMS キーが決定します。
一方で、クロスリージョンやクロスアカウントでバックアップがコピーされる場合は、以下のフローチャートに則って KMS キーが決定します。

プライマリボールトに保存されるバックアップの暗号化キー
プライマリボールトのバックアップが、どの KMS キーによって暗号化されるかについて記載します。
当初、私はバックアップボールトで指定した KMS キーで暗号化されるものだと考えていました。
しかしながら、すべてのリソースのバックアップがバックアップボールトで指定した KMS キーで暗号化されるわけではありません。
「独立した暗号化」に対応しているリソースであればバックアップボールトで指定した KMS キーで暗号化される形になります。
対して、「独立した暗号化」に対応していないリソースの場合はリソースの暗号化で指定されている KMS キーでバックアップが暗号化されます。
「独立した暗号化」に対応しているリソースですが、以下ドキュメントにリストで記載されています。 docs.aws.amazon.com
残念ながら、EBS (EC2 インスタンスのボリューム), RDS, Aurora などの一般的によく利用されるサービスは、2026/02/02 時点では「独立した暗号化」に対応していない形となります。
そのため、これらのリソースは AWS Backup でバックアップを作成してもリソース側で指定した KMS キーで暗号化されます。
実際にやってみる
実際に、以下3パターンで AWS Backup でバックアップを取得してどの KMS キーで暗号化されるかを見ていきたいと思います。
※バックアップボールトの KMS キーは AWS 管理キー(aws/backup)を指定しています。
- 暗号化されていない EBS ボリューム
- KMS キー(カスタマー管理キー)で暗号化された RDS
- AWS 所有キーで暗号化された DynamoDB(「独立した暗号化」にサポートされている状態)
暗号化されていない EBS ボリューム
この場合は、フローチャートでいくと「バックアップも非暗号化」になる想定です。
バックアップボールトの画面から確認すると、想定通り「暗号化されていません」というステータスでした。
EBS スナップショットの画面から確認しても、暗号化はされていませんでした。
KMS キー(カスタマー管理キー)で暗号化された RDS
この場合も、RDS は「独立した暗号化」に対応していないため、元の暗号化設定を引継ぎカスタマー管理キーで暗号化される想定です。
バックアップボールトの画面から確認すると、暗号化キーが指定されていました。
ポイントは、バックアップボールトで指定されているaws/backupで暗号化されていない点です。
yamaguchi-rds-backupという KMS キーは、RDS の DB インスタンスで指定しているものです。
リソース側で指定している KMS キーで、バックアップが取得されることがわかります。
AWS 所有キーで暗号化された DynamoDB(「独立した暗号化」にサポートされている状態)
最後に、DynamoDB のバックアップについて見ていきます。
DynamoDB は高度な機能を有効化し、「独立した暗号化」に対応している状態のためバックアップボールトで指定した KMS キーで暗号化される想定です。
復旧ポイントを確認すると、バックアップボールトで指定したaws/backupで暗号化されていました。
DynamoDB 側は AWS 所有キーで暗号化されており、リソース元の KMS キーで暗号化されていた EBS や RDS とは挙動が違うことがわかります。
別ボールトへコピーされるバックアップの暗号化キー
次に、バックアップを他リージョンや他 AWS アカウントのバックアップボールトへコピーされた際の KMS キーについて記載していきます。
基本的な挙動としては、コピー先のバックアップボールトで指定されている KMS キーでバックアップは暗号化されます。
AWS Backup は、ターゲットボールトの KMS キーを使用してコピーを暗号化します。 ドキュメントにも上記のように記載されています。 https://docs.aws.amazon.com/aws-backup/latest/devguide/encryption.html#copy-encryption
ただし、この仕様を暗記するだけではいけません。
この仕様に加えて、以下の2点についても考慮する必要があります。
- 「独立した暗号化」に対応していないサービスは、
aws/backupで暗号化されない - AWS 管理キーはクロスアカウントで利用できない
「独立した暗号化」に対応していないリソースは、aws/backupで暗号化されない
コピー先ボールトの KMS キーをaws/backupで指定した状態で、「独立した暗号化」にサポートされていないリソースのバックアップをコピーする場合には注意が必要です。
同一アカウント内の別リージョンでのコピーを想定した場合、コピー先のバックアップはそのリソースのデフォルトキーで暗号化されます。
例えば、aws/ebsで暗号化された EBS ボリュームの場合ですと以下のような挙動となります。
- プライマリボールトのバックアップは、
aws/ebsで暗号化される - コピー先のバックアップも、
aws/backupではなくaws/ebsで暗号化される
※「独立した暗号化」に対応していないリソースのため、aws/backupでは暗号化されない
仮にコピー先ボールトがカスタマー管理キーの場合は、バックアップもカスタマー管理キーで暗号化されます。
コピー先のバックアップボールトで指定されている KMS キーでバックアップは暗号化される仕様そのままという形です。

AWS 管理キーはクロスアカウントで利用できない
ここまでは、同一 AWS アカウント内の別リージョン間でのコピーを前提とした内容で記載してきましたが、クロスアカウントの場合はさらなる考慮が必要です。
aws/ebsやaws/rdsなど、各サービスごとに用意されている AWS 管理キーはキーポリシーの編集ができないため、他アカウントからこのキーを利用することはできません。
そのため、AWS 管理キーで暗号化されたリソースを別 AWS アカウントのボールトへコピーすることは不可ということになります。
この場合は、バックアップ取得元のリソースの KMS キーをカスタマー管理キーに変更するか、以下ブログにあるように中間ボールトを用意する方法を検討する必要があります。
実際にやってみる
先ほどと同じように、今度は以下の3パターンで動作を確認してみたいと思います。
- 暗号化されていない EBS ボリューム
- カスタマー管理キーで暗号化された EBS ボリューム
- AWS 所有キーで暗号化された DynamoDB(「独立した暗号化」にサポートされている状態)
※コピー先バックアップボールトの KMS キーは AWS 管理キー(aws/backup)を指定しています。
また、今回は同一 AWS アカウント内の別リージョンでのコピーで試しています。
暗号化されていない EBS ボリューム
プライマリのバックアップボールトでは、バックアップは暗号化されていませんでした。
バックアップを同一アカウント内の別リージョンへコピーした場合は、aws/ebsで暗号化される想定となります。
コピー先ボールトの復元ポイントを確認すると、暗号化されていました!
バックアップボールトでは、aws/backupを指定していましたが「独立した暗号化」に対応していないサービスのため、想定通りaws/ebsで暗号化されました。
カスタマー管理キーで暗号化された EBS ボリューム
では、カスタマー管理キーで暗号化された EBS ボリュームの場合も見ていきます。
プライマリボールトにあるバックアップは、EBS ボリュームで暗号化しているカスタマー管理キーで暗号化されていました。
バックアップを同一アカウント内の別リージョンへコピーした場合は、先ほどと同様にaws/ebsで暗号化される想定となります。
コピー先ボールトの復元ポイントを確認すると、暗号化されていない場合と同じくaws/ebsで暗号化されていました。
コピー先ボールトをカスタマー管理キーで指定していると、このカスタマー管理キーで復元ポイントが暗号化されます。

AWS 所有キーで暗号化された DynamoDB(「独立した暗号化」にサポートされている状態)
「独立した暗号化」に対応した DynamoDB の場合はどうでしょうか。
プライマリボールトは、バックアップボールトで指定したaws/backupで暗号化されていました。
バックアップを同一アカウント内の別リージョンへコピーした場合は、aws/backupで暗号化される想定です。
コピー先ボールトの復元ポイントを確認すると、想定通りボールトで指定していたaws/backupで暗号化されていました。

論理的エアギャップボールトへコピーした場合
コピー先が論理的エアギャップボールトの場合も、論理的エアギャップボールトで指定した KMS キーで暗号化されます。
ただし、以下リソースの非暗号化スナップショットは論理的エアギャップボールトへコピーできない仕様となっています。
- Amazon Aurora
- Amazon DocumentDB
- Amazon Neptune

暗号化されていない Amazon Aurora、Amazon DocumentDB、Amazon Neptune クラスターは、暗号化されていない DB クラスタースナップショットの暗号化をサポートしていないため、論理エアギャップボールトではサポートされていません。 docs.aws.amazon.com
最後に
今回は、AWS Backup でバックアップを作成した場合にどの KMS キーで暗号化されるのかについてまとめてみました。
単に、ボールトで指定した KMS キーで暗号化されるパターンだけではなく「独立した暗号化」「プライマリボールト」「コピー先ボールト」などに着目する必要がありました。
今回提示したフローチャートを参考に、まとめられると理解が深まるかもしれません。
それでは、またどこかで~