【Amazon Connect】発信者番号通知の挙動について

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外線発信時に通知される番号について挙動の確認を行ってみました。

発信者番号通知とは

発信者番号通知とは、電話発信の際に自分の電話番号を相手に通知する仕組みです。
Amazon Connect では、アウトバウンド発信者 ID 番号 (Outbound caller ID number) という名称で使われています。略して 発番通知 と言われたりすることもあります。

1回線 1番号な電話回線であれば、番号を通知するか否かの選択肢しかないですが、1回線に複数番号が紐付いている場合は、どの番号を利用するか設定することが可能です。

Amazon Connect における発信者番号通知

ドキュメントにもあるとおり、通知出来る番号は、発信する Amazon Connect インスタンスに割り当てられた電話番号のみと記されています。

アウトバウンド発信者 ID 番号
発信者 ID 番号として使用できるのは、取得した電話番号または Amazon Connect に移行した電話番号のみです。英国やオーストラリアなどの特定の国では、適切な識別情報がない場合の発信通話はブロックされる場合があります。

外部の番号を利用できるような記述もありますが、日本ではカスタム発信者ID (Custom Caller ID) をサポートしていないため、本ブログ執筆時点においては利用は出来ません。

外部の電話番号を発信発信者 ID 番号として使用するには、 Support に連絡して、それが可能であるかどうかを確認してください。電話番号は、当社がカスタム発信者IDをサポートしている国のものである必要があり、所有権の証明を提出する必要があります。

Amazon Connect Telecoms Country Coverage Guide

Amazon Connect Telecoms Country Coverage Guide (Last updated 2025/03/10)
Amazon Connect Telecoms Country Coverage Guide (Last updated 2025/03/10)

docs.aws.amazon.com

上記を踏まえると、私のインスタンスで通知出来る番号は 5つあるという状況です。

電話番号一覧
電話番号一覧

CCP からの発信

先のドキュメントでは以下のような記述もあります。

重要
特定の国の電気通信規制では、発信者を特定し、特定できない発信をブロックすることが通信事業者に義務付けられています。通話の失敗を回避するため、必ず設定に発信者 ID を設定してください。

CCP から発信をする場合、サインインしているユーザーにアタッチされているルーティングプロファイルで指定したアウトバウンドキューが利用され、そのキューの設定に アウトバウンド発信者 ID 番号 があります。

ルーティングプロファイルでのアウトバウンドキューは設定が必須ですが、キューの アウトバウンド発信者 ID 番号 の設定は空欄でも保存が出来ます。
しかしながら、何かしらの番号を設定しないとエラーとなり発信は出来ません。

アウトバウンド発信者 ID 番号 を指定しない場合
アウトバウンド発信者 ID 番号 を指定しない場合

電話番号への転送 ブロックからの転送

こちらもドキュメントから見ていきましょう。
CCP よりも厄介そうです。

以下のプロパティに注意してください。
[Caller ID number (発信者 ID 番号)] 発信者 ID として表示する番号をインスタンスから選択できます。これは、フローが実際にコールを発信するために使用している番号とは異なる番号を使用する場合に便利です。

重要 米国以外で Amazon Connect をお使いの場合は、[発信者 ID 番号] をクリックし、Amazon Connect 番号を選択することをお勧めします。そうしないと、現地の規制により、テレフォニープロバイダーが Amazon Connect 以外の電話番号をブロックまたはリダイレクトすることがあります。これにより、通話拒否、低音質、遅延、レイテンシー、誤った発信者 ID の表示など、サービス関連の事象が発生します

厄介にさせているのが、[電話番号への転送] ブロックのオプションパラメータです。
手動でも動的にも設定出来て属性も利用できるので自由度が高い。
Amazon Connect は日本だけのサービスでは無く、番号通知において自由度が高い国でも利用できますので、このような設定が可能になっています。

電話番号への転送 ブロックのオプションパラメータ
電話番号への転送 ブロックのオプションパラメータ

検証してみる

いろいろなパターンでどのような結果になるのか検証してみたいと思います。
Amazon Connect インスタンスに紐付いた +81 3-6CDE-FGHJ への着信を下図のようなフローで受けて外線転送する形で試していきます。
CloudWatch Logs で結果を確認したいので、ログ記録も有効にしておきます。

検証用転送フロー
検証用転送フロー

発信者 ID 番号を設定しない場合

・Amazon Connect の +81 50-3DEF-GHJK に転送-> 非通知
・au 回線に転送 -> 非通知
2パターン試してみましたが、番号を選択しなさいと言われているのに選択をしていないので非通知になってしまいました。
CloudWatch Logs を見てみると、発信元を設定するパラメーター (SourceNumber) 自体が設定されていませんでした。

発信者 ID 番号を設定しない場合
発信者 ID 番号を設定しない場合

発信者 ID 番号を +81 3-6CDE-FGHJ に設定

・Amazon Connect の +81 50-3DEF-GHJK に転送-> 03-6CDE-FGHJ
勧められたとおりの設定なので、設定通りの番号が表示されました。
SourceNumber パラメーターもあり、指定した番号が設定されています。

発信者 ID 番号を +81 3-6CDE-FGHJ に設定
発信者 ID 番号を +81 3-6CDE-FGHJ に設定

発信者 ID 番号を +81 120-2EFGHJ に設定

・Amazon Connect の +81 50-3DEF-GHJK に転送-> 0120-2EFGHJ
着番号と発番号が異なっても問題無く設定通りの番号が表示されました。

発信者 ID 番号を +81 120-2EFGHJ に設定
発信者 ID 番号を +81 120-2EFGHJ に設定

発信者 ID 番号を AWS リージョン名 に設定

動的に設定 から AWS リージョン を指定してみましょう。

動的に設定 から AWS リージョン を指定
動的に設定 から AWS リージョン を指定

・Amazon Connect の +81 50-3DEF-GHJK に転送-> 転送されず切断
CloudWatch Logs を見てみると、SourceNumber はあるものの、しっかり ap-northeast-1 が設定され Error となってました。
設定として不正 (番号とすべきところを文字列としている) なため、エラー処理されたと考えて良さそうです。

発信者 ID 番号を AWS リージョン名に設定
発信者 ID 番号を AWS リージョン名に設定

発信者 ID 番号を 顧客のエンドポイントアドレス に設定

次は 顧客のエンドポイントアドレス を設定してみました。
今回の場合、顧客のエンドポイントアドレス は、大元の発信者の電話番号となることが期待されます。

動的に設定 から 顧客のエンドポイントアドレス を指定
動的に設定 から 顧客のエンドポイントアドレス を指定

・Amazon Connect の +81 50-3DEF-GHJK に転送-> 転送されず切断
CloudWatch Logs を見てみると、SourceNumber には期待通り大元の発信者の電話番号が設定されたものの、Error となり切断となりました。

発信者 ID 番号を 顧客のエンドポイントアドレス に設定
発信者 ID 番号を 顧客のエンドポイントアドレス に設定

こちらは、ドキュメント内にあった テレフォニープロバイダーが Amazon Connect 以外の電話番号をブロックし通話拒否 に該当する挙動と推察されます。
詳細な処理内容は伺い知ることが出来ないため、キャリア側に渡る前に Amazon Connect 側でエラーにしている可能性もありますが、いずれにせよ、Amazon Connect インスタンスに割り当てられた電話番号以外では発信が出来ないという結果になるものと推察します。

まとめ

5パターンの検証を行った結果が以下の通りとなりました。

SourceNumber の指定
転送可否
転送先での通知
指定無し
非通知
インスタンスに紐付く番号
指定した番号
文字列等
--
インスタンスに紐付いてない番号
--

おわりに

ドキュメントの再掲です。

重要 米国以外で Amazon Connect をお使いの場合は、[発信者 ID 番号] をクリックし、Amazon Connect 番号を選択することをお勧めします。そうしないと、現地の規制により、テレフォニープロバイダーが Amazon Connect 以外の電話番号をブロックまたはリダイレクトすることがあります。これにより、通話拒否、低音質、遅延、レイテンシー、誤った発信者 ID の表示など、サービス関連の事象が発生します

今回の検証では、非通知になるパターンと転送が拒否されるパターンのみでしたが、発信に利用される回線や発信先のキャリアやサービスによっては、異なる結果となる可能性もあると考えます。
意図しない発信者番号通知や挙動にならないよう、[電話番号への転送] ブロックを利用する際には、紐付いている番号を確実に指定しておく ことが重要です。

Amazon Connect で転送を利用する際の参考にしていただけますと幸いです。