Amazon RDS と Aurora で2022年から2023年上旬に廃止予定のインスタンスクラス及び RI について

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カスタマーサクセス部 佐竹です。
今回のブログでは、最近増えている Amazon RDS / Aurora のインスタンスクラス(インスタンスタイプ)の廃止に関する通知の整理を行い「まとめ」を作成したいと思います。

はじめに

Amazon RDS や Aurora では、定期的に古いインスタンスクラス(インスタンスタイプと表示されることもあります)が廃止されます。このため、利用者は期日までにインスタンスクラスを変更し、より新しいインスタンスクラスへと変更する対応が必要となります。

インスタンスクラスの廃止スケジュールが決まった場合、廃止予定のインスタンスクラスを利用されているお客様宛にメールによる通知が行われます。その数が少し多いため、整理のためにここで一度まとめてみたいと思います。

Amazon RDS for MySQL で M3、R3 が2023年2月6日より廃止

2022年6月1日に通知が行われたのが、RDS for MySQL での db.m3 と db.r3 の廃止でした。

これらのインスタンスクラスは、メール通知が来た通り2023年4月30日までに利用ができなくなる予定でしたが、その日付が2023年2月6日に確定されました。2022年12月20日に本記事を修正しております。

以下の re:Post に投稿された記事が確定情報となっています。

repost.aws

AWS は期日までに「db.m5 または db.r5」へと変更することを推奨しています。

上記の記事内に以下の記載がある通り、2023年2月6日が現在示されているデッドラインとなっています。

Your PostgreSQL, MySQL, or MariaDB databases in Amazon RDS running on M1, M2, M3, R3, or T1 instances will be automatically migrated to an equivalent M5, R5, or T3 instance by RDS, no earlier than February 6th, 2023 starting 12 AM UTC, as per the migration path.

本インスタンスクラスの変更で少し判断が難しいのが、db.m3.medium というインスタンスクラスの存在です。

db.m3.medium は、db.m3.large の半額で利用ができ、検証環境用に人気のあるインスタンスクラスであった印象です。しかし、移行先として推奨される db.m5 には「medium」が存在せず、最低サイズは large からとなっております。

このため、コストを鑑みた移行先は db.t3.medium のほうが適切ではないかと考えられます。

少しインスタンスファミリーについて補足しますと、db.m4 と同世代の t 系ファミリーは、db.t2 となります。このため、db.m5 と db.t3 は同世代のインスタンスクラスとなっております。世代を示す数字だけみると t3 は古く見えてしまうかもしれませんが、db.t3 への移行を行って頂いても古いインスタンスへの移行とはならないということを念のため記載させて頂きました。

Amazon Aurora for MySQL で R3 が2022年11月30日に廃止(1月31日に延期)

今現在、最も締め切り(デッドライン)が近いのが、この Aurora における db.r3 の廃止です。

2022年10月16日に通知が確認できておりますが、締め切りは翌月の11月末となっていました。急な連絡に思えますが、想像するに恐らくは db.r3 の利用者が世界的に少なかったのではいかと推察します。

本インスタンスクラスの移行先として推奨されているのは、db.r5 となっています。

2022年12月 追記

本廃止ですが、11月30日から、2023年1月31日に延期になったということでした。

db.r6g についての補足

blog.serverworks.co.jp

2021年に GA した db.r6g も移行先として検討頂けるものと考えております。

ただし AWS は現状移行先として db.r5 を推奨している状況です。これは、db.r6g が Graviton2 で動作しているためと推測されます。

もし十分なテストが可能であれば、最もコストパフォーマンスに優れる db.r6g への移行もご検討くださればと存じます。

Amazon RDS for Oracle で M4、R4 が2023年3月27日に廃止

他の DB エンジンと異なり、第3世代ではなく第4世代が廃止されるのが RDS for Oracle です。この廃止は影響のあるお客様も多く、特に db.m4 が廃止されることに驚かれているお客様も多い印象です。

本通知を確認できたのは2022年11月9日でした。この廃止スケジュールに伴い、2022年11月24日より、db.m4、db.r4 インスタンスファミリーを利用した新しい RDS for Oracle の DB インスタンスの作成も不可能となります(※11月24日から2023年1月15日へ延長されました)。

このため、バックアップ Snapshot を利用した複製環境の構築等では11月24日以降、強制的に db.m5 を使わざるを得なくなるため、環境間でインスタンスクラスの差異が発生する可能性がある点にご注意ください。

本インスタンスクラスの移行先として推奨されているのは、db.m5 と db.r5 となっています。

2022年12月12日 追記

現時点で「2022年11月24日より、db.m4、db.r4 インスタンスファミリーを利用した新しい RDS for Oracle の DB インスタンスの作成が不可能」となるスケジュールを過ぎていますが、いまだにこれらのインスタンスファミリーが現在もまだ利用可能な状態であることが確認できています。

この状況についてAWS サポートに確認したところ、2022年11月24日に開始とされていた新規 DB インスタンス作成不可のスケジュールは、2023年1月15日へ延長されたとのことでした。

Amazon RDS for SQL Server で T2、M4、R4 の RI が2023年1月30日に廃止

2022年11月4日に通知された本内容は、先ほどまで記載していたインスタンスクラスの廃止ではなく、リザーブドインスタンスの新規購入が廃止されるという通知になります。

以下がその対象となる RI の組み合わせの種類です。

  • db.t2 × 1 年
  • db.m4 × 1 年
  • db.r4 × 1 年

この通知を鑑みるに、近い将来これらのインスタンスクラスが廃止されるようにも思われます。

今後も RDS for SQL Server を長期的に利用される場合は、それぞれ最新の世代へ変更した後 RI を購入されることが推奨されます。

※t2 は t3 へ、m4 は m5 へ、r4 は r5 への移行が推奨されています

購入済のリザーブドインスタンスはどのように扱うべきか?

AWS のメール通知本文には、以下の通り記載があります。

本通知の対象となるリザーブドインスタンス (RI) をお持ちの場合は、同じ期間で新しい RI を作成し、かつ金額が以前の RI の金額と同等かそれ以上になった時点で、それらをキャンセルすることができます。インスタンスをキャンセルして再購入する場合は、AWS サポートを通じてリクエストを送信できます。

AWS 側の都合でインスタンスクラスが廃止されるような場合には、購入済の RI の疑似的な交換処理(≒途中キャンセル)が可能です。

このため、 RI をお持ちの場合は弊社のサポート窓口までご相談いただければと存じます。

ただ、キャンセルは少々やり取りに時間がかかりますので、廃止予定日までに RI の有効期限が切れる場合には、RI の期限を迎えた後にインスタンスクラスを変更し、追って RI を購入されるほうが良いでしょう。

おすすめの移行方法

まずは、移行が必要となった DB インスタンスに対して、リザーブドインスタンス(RI)が購入済かどうか事前にご確認ください。

RI を確認する

マネジメントコンソールで、RI のステータスが「active」となっているものが、現在有効な RI となります。「retired」となっている RI は期限が切れておりますため、今回の移行には影響がございません。

有効な RI が存在している場合

RI を購入済でなおかつ現在も有効な RI が存在している場合、以下の2パターンで対応を行います。

まず、先に記載させて頂きました通り、廃止予定日までに RI の有効期限が切れる場合には、RI の期限を迎えた後にインスタンスクラスを変更し、そのタイミングで新たに RI を購入されることを推奨します。

次に、廃止予定日より RI の有効期限が先の場合には疑似的な RI の交換が必要になります。この場合、まずは弊社のサポート窓口までご連絡ください。先に新しい世代の RI を購入された後に「既存の RI をキャンセルするようにご連絡」いただいた場合に、確実にキャンセルが可能とは言い切れない可能性がございます。

予め AWS サポートに確認を行ってから、その後に対処を実施する方が確実です。そのため、まずは先に弊社サポート窓口までご相談いただくことを推奨します。

有効な RI が存在していない場合

RI を購入されていないか、有効な RI が存在していない場合は、期日までにインスタンスクラスを変更頂ければ問題ございません。

なお、インスタンスクラスを変更する場合 RDS は一時的に停止を伴う点にご留意ください。本作業をスケジューラーで実行されたい場合は、Cloud Automator を有効活用いただけます。

参考:Cloud Automator のアクションに関するブログ

blog.serverworks.co.jp

blog.serverworks.co.jp

参考:Amazon RDS のリザーブドインスタンスに関するブログ

Amazon RDS や Aurora のリザーブドインスタンスに関するよくある質問を以下にまとめております。

blog.serverworks.co.jp

もしリザーブドインスタンスに関する疑問点がある場合、こちらも合わせてご覧ください。

まとめ

本日のブログでは、Amazon RDS と Aurora で2022年から2023年上旬に廃止される予定のインスタンスクラスについてまとめさせて頂きました。

加えて、RI を鑑みたお勧めの移行方法についても記載しております。

廃止予定のインスタンスクラスの交換に少しでも参考となれば幸いです。

では、またお会いしましょう。

2023年7月26日 追記

本ブログと関連して、2024年度上旬の廃止予告ブログを作成したため合わせてご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。