RDS のリザーブドインスタンス(RI)に関するよくある質問

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CI部 佐竹です。
本日は RDS の Reserved DB インスタンスについてのよくある質問とその回答について記載します。

はじめに

RDS には EC2 Instance と同様にリザーブドインスタンスが存在します。

aws.amazon.com

リザーブドインスタンスは1年間もしくは3年間の利用を約束する代わりに、それに応じたディスカウント効果を得るものです。1年と比較して3年間の期間指定がよりコスト削減効果が高くなります(およそ倍の削減効果)。支払い方法は3種類あり、「全額前払い」では最もコスト削減効果が高く、「前払いなし」ではコスト削減効果が低くなります。そのため、組み合わせとしては「3年×全額前払い」で最もコスト削減効果が高くなります。

なお、RDS は2021年4月現在、 Compute Savings Plan の対象サービスとなっておりません。Savings Plan については以下のブログを参考ください。

blog.serverworks.co.jp

RDS の RI に関する質問

質問1. RDS の RI の購入予約は可能ですか?

回答. できません。そのため、更新作業は都度期限が切れたタイミングで行う必要があります。

以下に更新についてまとめました。

サービス 更新予約 その他
EC2 Reserved Instance 可能 未来日付指定での購入が可能
RDS Reserved DB Instance 不可能 2021年4月現在提供されていません
Savings Plan 可能 未来日付指定での購入が可能
CloudFront Security Savings Bundle 可能 自動更新機能有り。未来日付での購入は不可

Savings Plan の更新予約については以下のブログをご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

EC2 Reserved Instance の更新予約については以下のブログをご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

CloudFront Security Savings Bundle については以下のブログをご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

質問2. 購入済の RI の期限延長は可能ですか?

回答. できません。

RI は1年契約もしくは3年契約の固定期間のみが提供されております。そのため、既存の RI の期限延長はできませんため、新規に改めて購入ください。

質問3. RI 購入後のキャンセルは可能ですか?

回答. できません。

RI も SP も原則は購入後のキャンセルはできません。購入直後であればキャンセルできる可能性がありますので、弊社まで、もしくは AWS サポートまでお問い合わせください。

質問4. RI 購入後の設定変更は可能ですか?

回答. できません。

RDS の RI はスタンダードのみとなっており、コンバーチブル RI のような変更ができません。

質問5. RDS の RI ではキャパシティー予約は提供されますか?

回答. 提供されません。

EC2 の Zonal RI(AZ指定のRI)のようなキャパシティー予約の機能はありません。またRDS の RI では購入時に AZ を指定することもありません。

RDS のキャパシティー予約については以下のブログでも記載しておりますので合わせてご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

質問6. Reservation ID とは何ですか?

回答. Reservation ID はオプションで記載できる項目です。一意になる項目のため重複が許されていません。表記しない場合は購入日時が自動的に入力されます。

購入日時が自動補完された例

弊社では、Reservation ID にターゲットとする RDS DB Instance の Instance Identifier を表記することで、RI の管理を容易にすることを推奨しています。更新時に同じ名称が使えないため、更新時にはサフィックスに年月日などを付与することで一意としてください。また Reservation ID を後から修正することはできませんのでご注意ください。

補足ですが、Reservation ID は Offering ID とは別のIDです。

質問7. RDS の RI にタグは付与できますか?

回答. はい、タグの付与が可能です。

Reservation Id を押下することで表示される詳細画面の最下部でタグの付与と閲覧が可能となっています。ただし、RI の一覧画面にはタグを並べて表示はできません。

質問8. RDS の購入推奨の台数が多く表示されますが何故ですか?

回答. 柔軟性のある OSS の DB Engine では台数が多く表示される場合があります。

RDS RI の柔軟性は2017年10月に提供が開始されました。

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柔軟性は、後述する表の通り「正規化係数」によって計算されます。そのため、例えば 1台の db.r5.24xlarge (係数=192) の Amazon Aurora は、48台の db.r5.large (係数 = 4)の推奨と表記されます。この結果、推奨の台数が多く見えることがあります。

柔軟性は Multi-AZ と Single-AZ 間でも存在します。つまり、db.r5.large の Multi-AZ は db.r5.large の Single-AZ 2台分として購入しても問題ありません。ですが、推奨においては Multi-AZ ⇔ Single-AZ 間の柔軟性は無視され、正規化係数による最小化のみが実行されます。具体的な例としては、db.r5.24xlarge の Single-AZ を1台、db.r5.24xlarge の Multi-AZ を1台運用している場合、推奨には「db.r5.large Single-AZ ×48台 と db.r5.large Multi-AZ ×48台」と推奨され、「db.r5.large Single-AZ ×144台」の推奨とはなりません。 しかし、144台で購入しても問題なく柔軟性によってRIは効果を発揮します。

柔軟性が提供されていないライセンス込みの RDS for Oracle や MS SQL Server ではこのような推奨台数の増加は発生しません。

正規化係数

インスタンスサイズ 正規化係数
nano 0.25
micro 0.5
small 1
medium 2
large 4
xlarge 8
2xlarge 16
3xlarge 24
4xlarge 32
6xlarge 48
8xlarge 64
9xlarge 72
10xlarge 80
12xlarge 96
16xlarge 128
18xlarge 144
24xlarge 192
32xlarge 256

質問9. 有効期限切れを通知することは可能ですか?

回答. はい、可能です。

AWS Cost Management ⇒ Reservations ⇒ Overview と進むと画面右上に「Manage alert subscriptions」がありますので、これを押下すると以下の画面に遷移します。

ここにメールアドレスを設定して頂くと、設定した期限でそれぞれメール通知が届きます。この設定は、EC2, RDS, Redshift など全ての Reserved Instance(Node) で共通です。また、あて先とするメールアドレスは、個人のメールアドレスを設定してしまうと「異動」や「退職」などで設定変更が必要となりますため、メーリングリストを設定することを推奨しております。

本設定は初回設定時、既に Retired となっている RI の通知が来てしまう場合がありますが、これについてはそういう仕様ですためそのようなメールが来た場合は削除して頂いて問題ありません。

質問10. Organization 配下において、余った RDS の RI は他の AWS アカウントに適用されますか?

回答. はい、他の AWS アカウントに適用されます。

ただし、割引共有の無効化が実施されていないことが条件となります。本設定はデフォルトで共有無効化とはなっておりませんため、デフォルトの設定のままであれば問題ありませんが、念のためご確認ください。

docs.aws.amazon.com

まとめ

今回のブログでは、RDS の RI に関する質問をまとめてみました。ここ最近 RDS の RI が更新を迎えるエンドユーザ様も多く、RDS の RI に関する質問が増えてきています。

本ブログが何かの参考になりましたら幸いです。なお、Savings Plan につきましては以下をご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

また、AWS CLI で RDS の RI を買う方法については以下をご覧ください。

blog.serverworks.co.jp

それではまたお会いしましょう。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。