【イベントレポート】Zabbix Conference Japan 2017

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カスタマーサポート課の伊藤です。 サーバーワークスZabbixスペシャリスト 九龍として11月17日に実施されたZabbix Conference Japan 2017 のレポートをお送りいたします。

オープニングスピーチ: Welcome to Zabbix Conference Japan 2017!

始めにZabbix LLC 創業者・CEOのAlexei Vladishev から”Zabbix: what to expect in the future” と題して、Zabbixの未来と歴史についての話がありました。
Zabbix導入企業は年々大きくなってきており、現在の大規模事例では10万監視対象500万項目などの非常に大規模な環境でも利用されている事が紹介されました。
またZabbix3.4に込めた思いについても紹介されました。
そして、Zabbix 4.0 4.2 開発についての方向性が提示されました。

Zabbix4.xの方向性

・統合的な可視化:一つの画面から社内のすべてのインフラを把握したい
既存の監視ツールや管理ツールなどを含めた統合的な監視画面を提供、現在は他のツールが生成したイベントを受け取る機能が足りないと考えている。

・根本原因の解析と究明
3.4では「トリガーの依存関係」「イベントの相関関係」の機能を提供しており小規模、中規模の監視ではこの機能が有効に機能すると考えている。
より大規模な環境に向けて4.xでは障害間の関連性やより複雑なイベントの処理(重複排除、フィルタリング、より多くの情報:外部のシステムに問いあわせて情報を取得する)の実装を計画している。

・4.0 ではOpenStack監視をサポート予定である

・セットアップの簡素化
公式にサポートする監視対象の増加を計画しておりDocker、OS X、Android、ラズベリーパイなどの公式バイナリを提供予定である

Zabbix3.4のパフォーマンス

Zabbix3.4では以下のパフォーマンスを記録している
ヒストリ&トリガーあり5万NVPS(アイテム/秒)
ヒストリ&トリガーなし30万NVPS(アイテム/秒)
また、AWSのインスタンスを使った推奨パフォーマンス測定を行っている。
といった発表がありました。

講演資料リンク(pdf)

NOCaaS System Management Platform with Zabbix のご紹介

サイバーソリューション株式会社 坂本 慶 様からZabbixを基盤としたIT運用管理サービスの紹介が行われました。
講演資料リンク(pdf)

リクルート大規模VDIシステムにおけるZabbix監視

株式会社リクルートテクノロジーズ 石光 直樹 様から働き方変革やセキュリティー、コスト的な要請からおこなわれたVDI(仮想デスクトップ)環境導入において、ユーザ影響が出る前にトラブルを見つけ影響を極小化するために、Zabbixを利用されたお話しがありました。
リクルート様では標準VDI 3万台、セキュアVDI1.5万台という大規模なVDIシステムであり、小さなトラブルでも4万台以上のVDIユーザに影響があるためZabbixを利用して早急な検知、対応を可能とした事例のお話しがありました。
講演資料リンク(pdf)

Zabbix 3.4新機能紹介

Zero Networks株式会社 森本 和英 様からZabbix3.4の新機能についてパートナー会からの検証結果の紹介が行われました。
・生まれ変わったダッシュボード
これまでよりも自由度が高いダッシュボードになり、スクリーンになりました。
必要なウィジェットを組み合わせた、理想的なダッシュボードを作成できるようになりました。
またこれまでダッシュボード単位だったフィルタリング機能がウィジェット単位でのフィルタリングができるようになりました。
さらにこのウィジェットを共有することもかのになりました。

・マップ機能の改善
マップがベクター形式に鳴ったことで拡大縮小が綺麗になりました。
また、これまでマップを表示するにはマップ内のすべての要素に読み取り権限がないと、マップ自体が表示出来ませんでしたが、3.4からは、一つでも読み取り権限がある要素が含まれていれば、マップ自体は表示が可能となり権限が無い要素については、グレーアウトして、名前などの情報は表示されないという権限管理に変更されました。
また、マップ内に図形を画けるようになったため、これまで背景画像として設定してい構成情報等を直接マップ内に記載できるようなりました。

・時間指定にユーザマクロと接尾時が利用可能になりました。

・Alerterプロセスのマルチプロセス化
マルチプロセスになったことで、複数のアクションが同時に実行されるようになった様子がレポートされました。

・障害対応コメント入力時のアクション実行

・保存前処理

・アイテムタイプ 依存アイテム
依存先アイテムが取得されたタイミングで、1つのアイテムから複数のデータを一括で取得するという使い方ができます
講演資料リンク(pdf)

Zabbix フロントエンドをより使いやすく。Premija Viewer for Zabbix のご紹介

SRA OSS.Inc日本支社 赤松 俊弘 様から複数のZabbixサーバの監視情報を一覧するWEBアプリケーション
Premija Viewer for Zabbixのご紹介がありました。
講演資料リンク(pdf)

Interop Tokyo 2017におけるShowNet運用監視について

ニュータニックス・ジャパン合同会社 鈴木 孝規 様からInteropのShowNetでのZabbix運用監視についてご紹介いただきました。
今年のShowNetでは、ZabbixがSlackへの通知を行うマスターとなり、その他のモニタリングツールなどの統合監視としての役割を果たしていたそうです。 講演資料リンク(pdf)

Zabbixから見たオープンソースの開発とビジネスの裏側 Part2

Zabbix Japan 寺島 広大 様から昨年のZabbixのエンジニア像につづいて、今年はZabbixのビジネスについてのお話しがありました。
SIerやSasSの収益モデルと、ZabbixJapanの収益モデルの違いについてのお話しいただきました。
Zabbixはトレーニングとサポートが収益であり、構造としては医療保険のような形に近いのではないかというお話しでした。
講演資料リンク(pdf)

福岡大学Zabbix導入事例

福岡大学 上野 安仁 様よりエンドユーザとして実際にZabbixを導入した事例紹介をいただきました。
1万台のPCと200以上の無線LANアクセスポイントを持つ大学のインフラネットワークの監視ツールとしてZabbixを導入されました。
Zabbixパートナーへの監視データを利用したより付加価値の高いサービス希望なども提案されていました。
講演資料リンク(pdf)

SaaS型 マルチクラウド運用自動化サービスのご紹介

株式会社インターネットイニシアティブ 柳井 浩平 様からZabbixからのアラートを集約し運用タスクを自動化するサービスのご紹介がありました。
講演資料リンク(pdf)

Zabbix Japanに寄せられる質問と対応 難易度ランキング

Zabbix Japan 渡邉 隼人様からZabbix Japanへのよくある問合せについての紹介がありました。
ログモニタリングに関するナレッジや、IPMI監視のTipsそして、今年発見されたメモリリークの詳細なども紹介がありました。
個人的にはZabbixサポートで利用している調査ツールの紹介がとても参考になりました。
講演資料リンク(pdf)

北海道自治体向けクラウドサービスでのZabbix導入事例とOSS連携のご紹介

株式会社HARP 外崎 幸大 様からシステム毎に様々な監視ツールが乱立していた自治体クラウドにおいてZabbixで監視環境を統一し、実際に運用を行ってきた環境のお話しをいただきました。
セキュリティー要件から、相互接続を行ってはいけない環境を統合Zabbixで監視するためにZabbixProxyを利用した構成や、Zabbix1.8からZabbix3.0までの監視システムの進化により可能になった運用など実際の現場での生々しい体験を発表いただきました。
講演資料リンク(pdf)

10年後の企業情報システムのインフラはどうなるのか?

株式会社オープンソース活用研究所 寺田 雄一 様からインフラエンジニアのキャリアプランについての話がありました。
講演資料リンク(pdf)

クラウド/DC事業者の中での普通のZabbixの使い方

株式会社IDCフロンティア 千代田 晴良 様 渡邉 一雄 様 クラウド事業者における、Zabbixの利用Tips等の発表がありました。
属人化を防ぐためのZabbix設定ノウハウなどがあり、参考になる発表でした。
アプリケーションの汎用的な監視設定で、Zabbixテンプレートを利用するのでは無く、カスタムLLDを利用して、Agent側にサービス名を記載したファイルを置けば、自動的にアイテムが生成されるというアイデアはとても面白い発想でした。
また、Zabbix設定者とサーバ管理者の通知先を重要度によって仕分けし、サービスインの前はZabbix設定者にのみ、通知が飛ぶようにして、前もってZabbixの設定を確認しておき、サービスインしたら重要度を変えることで、サーバー運用者に通知がされるようになるという設定も単にメンテナンス設定による抑止ではなく、設定の妥当性を確認した上で、サービス前の通知を抑止する上手い方法だと感じました。
講演資料リンク(pdf)

懇親会LT

Zabbixと脆弱性スキャナVuls(バルス)の一体運用

フューチャーアーキテクト株式会社 牛田 隆之 様からZabbixAPIとVulsを利用しZabbixをノードリスト、対応履歴として利用し、Vulsをより管理しやすくする方法が紹介されました。

Zabbixを用いた物理結線情報の収集

NTTコムソリューションズ株式会社 田中 武信 様からLLDPを用いてL2レベルのポート結線情報を収集し、Zabbixと連係してポート一覧の自動生成と、接続マップの自動生成を行うシステムの紹介がありました。

Zabbixによるオートスケーリングクラスタ監視とオペレーション自動化

ZabbixのGroup集計機能であるアグリゲートアイテムを利用したクラスタ監視と、Zabbix3.0から新たに可能になったホストインベントリの自動設定アクションを利用して、AWS EC2のインスタンスIDを自動設定し、Zabbixのアクションを使ってインスタンスの停止や終了を行う方法の紹介を行いました。
資料リンク(slideshere)

感想

Zabbix Conferenceでは関連ソリューションの紹介だけではなく、いろいろな現場での使い方を知ることができ、とても参考になります。
同じ自動化のアプローチでも人によって「Zabbixのどの自動化機能を使うか」という判断が違っており、新たなアイデアをもらえる、素晴らしいConferenceでした。