元・講師が見た、サーバーワークスの新入社員育成

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技術二課の井澤です。自己紹介のたびに「IT研修の講師でした」と言い続けて、9ヶ月になります。毎回聞かされている同僚が(またかよ)みたいな顔をするので、講師っぽい話はそろそろ止めます。ただ、今回は、同僚にちょっと目をつぶってもらうことにして、講師時代の経験と照らし合わせながら、サーバーワークスの新入社員育成を紹介しようと思います。
具体的な内容については、2016年4月に入社した、新入社員3人(田斉・鎌田・生井)に書いてもらいました。入社したときの初々しい3人が、どんなふうにして育っているのか。ご紹介します。

1. SIer・情報システム子会社の一般的な新入社員研修

まず、講師時代に私が関わっていた、SIerや、情報システム子会社の、一般的な新入社員研修がどんなであるかお話しましょう(自分の新人時代もこんなだったな、と思うかもしれません)。

4月〜 社員研修・マナー研修

4月、入社した新入社員は、勤務に関する基本的な社内の制度を、総務部の方などから教わります。続いて社外から講師を招き、社会人のマナー研修などを受けます。名刺の交換、電話の取り方などです。また、ビジネススキルの基礎として、ドキュメントの書き方や、プレゼンテーションの技術を学ぶ研修も、この時期に行われることが多いようです。また、モチベーションをあげるため、後日行う配属先希望の参考にするため、各部門の先輩社員がやってきて、それぞれの部署の仕事を紹介する機会が設けられることもありました。

5月〜 技術研修

5月になると、技術研修が始まります。ITの基礎(コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組みなど)から始まって、プログラミング、設計、データベース、ネットワーク、Webなど。その会社のビジネス領域や、技術標準に合わせて、様々な技術要素を学びます。擬似プロジェクト(※講師がお客様を演じて行う)を通して、ヒアリング・要件定義・設計・実装・テストを行うカリキュラムも、一般的に行われていました。

7月〜 配属・OJT

会社にもよりますが、技術研修には2ヶ月から3ヶ月、長いところで半年かけています。その間に、ベンダー資格を複数個取ることが義務付けられている場合も少なくありません。技術研修が終われば、配属となります。配属先でOJTを受けながら、部署に慣れ、仕事の進め方を覚えていく…

私が講師として関わった企業では、このような新入社員研修が一般的でした。

2. サーバーワークスの新入社員育成

サーバーワークスの新入社員育成は、少し流れが違います。以下、新入社員3人(田斉・鎌田・生井)に書いてもらいました。

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4月〜 社内研修

4月、入社した新入社員は、勤務に関する基本的な社内の制度・各部/各課の業務内容を、人事や各課の担当から教わります。ここで学んだことは、4月中旬/下旬の2回にわたり全社員の前で発表することになります。
社外講師から教わる研修は最低限です。マナー研修やビジネススキルの研修のため、2週間に1回の外部研修を4月から9月まで受講しますが、ほとんどの時間は自社内で研修を受けることとなります。

5月〜7月 技術研修

5月から7月末にかけておこなわれる技術研修では、市販書籍を利用して、先輩社員が講師として教えます。期日までに自分で書籍を読み進め、先輩講師が出す課題に応えるかたちで研修を進めます。TCP/IPやDNSといったITの基本知識の習得から始まり、ITインフラの設計、DBの概念、Linux操作、プログラミング(Python)などについて基礎的な知識を一通り学習します。内容については他社とそこまで変わり映えはないかもしれませんが、3ヶ月もの長期間手厚い学習期間を確保しているのがサーバーワークスの特徴と言えます。
もっとも、4月から7月までの間も受動的な研修を受けっぱなしということではありません。基本的にはオフィスにいるので、お客様から電話がかかったりお客様の来訪があったりした際は、先輩社員の指導を受けながら実際に応対をおこなっていきます。

インタビュー記事の作成や、新卒採用イベントでのプレゼンテーションも

また、採用媒体(Wantedly)に掲載する先輩社員のインタビュー記事の作成、新卒採用イベントでのプレゼンテーションなどといった業務も4月の段階から任されます。こういった諸業務(後述の全社研修の幹事業務についても同様です)には、以降のOJT期間中も並行して取り組んでいくことになります。

ローテーションするOJT

基礎的な研修が終わると、OJTに入ります。 サーバーワークスのOJTの特徴は、複数の部署をローテーションすることです。入社した全員が、技術部も、営業部も経験します。

営業部でのOJT

営業部でのOJT中は、先輩の客先訪問に同行して営業技術を実地で学びとっていきます。最初は議事録の作成から始まり、会社説明・見積の作成・ニーズのヒアリング・AWSのサービス説明など徐々に自力で行えることを増やしていきます

技術部でのOJT

技術部のOJTでは、AWSリソースの構築や、コーディングを行いました。
AWSリソースの構築では、WordPressのインフラ構築(ELB・EC2・Auto Scaling・RDSを使用)という研修課題を通してAWSを学びます。そこで得た知見をいかして実業務に携わっていきます。 コーディングでは、与えられたプログラミングの問題を解く→先輩のレビューを受ける→指摘を踏まえて書き直すというサイクルを繰り返すことでプログラミングの腕前を磨きます。最終的には社内で実際に使う蔵書管理システムの構築を目標としています。

OJTの特徴

いずれのOJT期間中にも共通しているのは、次の2点です。

  • 1人ないし2人のトレーナーがついて新人に適宜アドバイスをおこなっている
  • 最低限の目標・研修は定められてはいるものの、各自の習熟度に応じてより高度な内容に取り組むことが可能

全社研修 幹事業務

入社して間もない新入社員の特別な仕事の一つに、全社研修の幹事があります。サーバーワークスの全社研修は、夏の終わりに、原則的に全社員参加で行われます。この研修の行き先の決定から、研修中のイベントの検討、旅行会社との折衝など、最初から最後まで新入社員たちがリードして行うのです。先輩社員も数名、幹事として任命されますが、新入社員の自主性を尊重した形であくまで相談役に徹します。

3. サーバーワークスの新入社員育成の効果

こうしたサーバーワークスの新入社員育成によって、次のような効果があったと感じています。
社外研修が少なく、オフィスで研修を受け、また仕事をすることで、研修で学んだことをすぐに現場で使うことになります。おかげで、習得が早いように思います。また、電話の取り継ぎをすることで、先輩社員や上司の顔・名前を早く覚えることができました。
ローテーションするOJTの期間を通じて、たくさんの上司・同僚と接することができますし、会社の商流全体を把握できました。どの部署に配属になっても、広く全社を見渡す視野で、仕事に取り組めるだろうと思います。
また、全社研修の幹事の仕事では、たくさんの要求をとりまとめ、予算や時間の制約の中で可能なことを明らかにし、実現する。これは一つのプロジェクトマネジメントだと思いました。先輩社員のフォローのもと、仕事の進め方を学ぶ機会になりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、サーバーワークスの新入社員の育成を紹介してみました。エンジニアとしての技術的な知識・技能の育成に偏ることなく、社会人として、幅の広い人材の育成を目指している取り組みだと思います。新入社員育成に長く関わってきた私も、「こういう方法があるのか!」と目を開かされた思いがしました。
機会があれば、「中途採用社員がどのようにサーバーワークスの社員になっていくか」についても紹介したいと思います。