こんにちは!技術4課のイーゴリです。
下記の記事では、色々なAmazon WorkSpaces(クラウド型VDI)の機能を検証し、オンプレミス型VDIと比較して、どんな時にどのVDI(クラウドVDI/オンプレミスVDI)を選べば良いかをまとめたいと思います。
結論から申し上げますと、オンプレミス型VDIを選択することが必要な時もありますが、9割方、クラウド型VDIをおすすめ致します。
前回のVDIシリーズの記事のまとめ:
- 【VDI導入①】デスクトップ仮想化のメリットとデメリットを解説 - サーバーワークスエンジニアブログ
- 【VDI導入②】Amazon WorkSpacesを構築してみた(高速セットアップの方法) - サーバーワークスエンジニアブログ
- 【VDI導入③】Amazon WorkSpaces Application Managerを使ってみた - サーバーワークスエンジニアブログ
オンプレミス型VDI
基本的にオンプレミス型VDIは、大企業しか構築しない最短でも3〜5年間継続で使用するVDIとなります。
オンプレミス型VDIのメリット
通信の設計が自由
オンプレミス型VDIの一番大きなメリットは、すべての通信経路を自由に自分で設計できますので、例えば、VDI環境を内部環境として使用される場合、インターネット通信がなくても問題ありませんし、インターネット向けのトラフィックを避けることができます。そのため、通信の構成によってインターネットとの接続が切れても、内部で影響なくVDIを稼働することができます。
一方、クラウド型VDI(Amazon WorkSpaces)の場合、AWSデータセンターに接続するには、エンドユーザーからの線(専用線、インターネットなど)が必要です。
固定型のVDIのみではなく、色々なパターンから選択可能
オンプレミス型VDIの次のメリットは構成によって1対1の固定型のVDI(仮想マシンXXにユーザAしかログインできない)のみだけではなく、Windowsの移動プロファイルやCitrixユーザープロファイルなどの機能があるため、仮想マシンXXをユーザAが使用しない場合、ユーザBやユーザCなどは仮想マシンXXに接続することができますので、ユーザ数の単位の計算だけではなく、ユーザの同時接続数に基づいての設計が可能ですので、パターンによっては大分大きな金額の節約が可能です(下の画像の「プール型」)。
なお、クライアントのVDIのOSとしてDesktopのOSではなく、Windows ServerのOSを使用する場合、1対Manyの接続モデルも使用可能です(1台のサーバに複数のユーザが接続することができます)。
2024/06 UPD:下記のAWSアップデートにより、1対N型(プール型)も利用が可能になりました。
VDI製品の専用ポリシー
VDI商品によってWindowsのGPO(グループポリシー)だけではなく、VDI専用(Citrixポリシーなど)のポリシーを使えますので、とても細かくVDIの行動を設定できます。
OSの選択が自由
どのOSでも選ぶことができます。
オンプレミス型VDIのデメリット
ハードウェア・ソフトウェアの購入が必要
高額なハードウェア・ソフトウェアの購入が必要です。構成によってサーバやストレージの購入だけではなく、複数のロードバランサーやADC(Application Delivery Controller)やFirewallなどのネットワーク機器を購入するケースも少なくありません。ハードウェアの購入だけではなく、仮想化ソフトウェアやVDIソフトウェア、クライアント及び管理サーバのOSのライセンスなどのソフトも有料ですので、大企業の初期構築の費用が何百万〜何千万程度になります。
アップグレードの費用
エンドユーザー用のVDIホストサーバだけではなく、複数の管理サーバも構築する必要があるため、3〜5年ごとにハードウェアの交換・アップグレード作業を行うことで、高額な維持費が発生します。
なお、ソフトウェアのサポートの終了による定期的な更改が必要となります。
システムのメンテナンスによる影響
VDIのハードウェアのメンテナンスが必要なので、VDIのシステムにアクセスできない時がどうしても発生します。
上記の問題を解決するには、予備のハードウェアを購入する必要があります。
VDIインフラのトラブルや障害
VDIインフラのトラブルや障害を自力で解決しないといけませんので、本番稼働に大きな影響が発生する可能性があります。
なお、物理的な障害が発生した場合、すぐ交換できる部品がないと、ビジネスに大きなインパクトが発生する可能性がありますので、この点も考慮しなければいけません。
増員が必須
初期構築に大量の工数が発生するため、高額な作業の費用が発生する可能性が高いです。
その上、運用チームを作らないといけないので(もしくは、他の会社に頼むか)、VDIのインフラの運用・サポートの費用が毎月かかります。その上、必要に応じて、ゴールデンイメージ(VDIのマスターイメージ)の作業の費用も発生します。
なお、オンプレミス型VDIの場合、移動プロファイルの故障や仮想マシンの故障などがありえますので、ユーザーデータのバックアップ設計を行わないといけませんので、VDI専用の運用チームがないと、オンプレミス型VDIの正常な稼働が難しくなります。
一方、Amazon WorkSpaces(クラウド型VDI)はマネージドデスクトップ仮想化サービスのため、運用費用を非常に縮小できます。その上、VDI専用の運用チームの必要性もあまりありません。
構築時間・VDIの展開時間
オンプレミスの場合はVDIを展開する前に少なくとも下記のステップが必要ですので、構築が最短でも数ヶ月かかるケースは少なくありません。
- インフラ設計(ネットワーク・ストレージ・サーバなどの設計)
- VDIの設計(VDIの配信機能など)
- 仮想の商品の検討→適切な商品の組み合わせの検討
- ハードウェア・ソフトウェアの購入
- 管理サーバ構築
- ホストサーバ構築
- マスターイメージ作成
- インフラの運用設計
サイジング
設計外のVDI利用者数が増える場合、システムリソースを追加する必要がありますので、追加構築・ハードウェア費用がかかります。
クラウド型VDI (Amazon WorkSpaces)
クラウド型VDI (Amazon WorkSpaces)のメリット・デメリット
Amazon WorkSpaces(クラウド型VDI)のメリット・デメリットについては下記の記事をご参考ください。
まとめ
下記の条件に当てはまる場合、オンプレミス型VDIを検討したほうがいい
- 大企業であること(VDIの仮想マシンが200〜300台以上の規模)※
- 内部のVDI環境を構築したい(エンドユーザーがインターネットアクセスがなくても接続できる)
- 通信の設計を自分で設計したい
- VDI製品の専用ポリシーが必須
- 最短で3〜5年以上環境を利用する
- 設計時点からワークロードがあまり変わらない
- VDI環境用の運用チームがある
- すべてのVDIコンポネントを自分でコントロールしたい(すべてのコンポネントの稼働は自己責任)
- 数ヶ月の構築期間を待っても問題ない
※もちろんVDIが1台でも構築は可能ですが、管理サーバなどの費用が発生するため、最低でも200台から検討することをおすすめ致します。
下記の条件に当てはまる場合、クラウド型VDIを検討したほうがいい
- 企業の規模の条件なし
- 世界中のどこからでもVDIにアクセスが可能な環境
- エンドユーザーにインターネットアクセス権がある
- 1時間からの利用可能なVDI環境
- VDIコンポネント・VDI用のインフラを管理したくない
- 最短時間で展開・削除ができるVDI環境
- 障害対応、ハードウェアのアップグレード・メンテナンスを行いたくない
もしAmazon Workspaces(クラウド型VDI)の導入をお考えの場合、弊社の「テレワーク環境構築サービス for Amazon WorkSpaces」を是非ご検討ください。
以上、ご一読ありがとうございました。
本田 イーゴリ (記事一覧)
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