こんにちは、テクニカルサポート課の大石(一)です。
EC2 について、気になるアップデートの情報があったので調べてみました。
aws.amazon.com
今まで EC2 インスタンスの自動復旧をおこなうには、インスタンス毎に CloudWatch アラームを作成し、復旧アクションを定義する必要がありました。
今回のアップデートでこの作業が不要となります。
執筆時点で英語版のみですが、公式ドキュメントからも情報が確認出来ます。
Recover your instance - Amazon Elastic Compute Cloud
今回追加されたリカバリー機能は、
Simplified automatic recovery (簡素化された自動リカバリ)
と記されています。
設定状況の確認
実際に EC2 インスタンスを作成し、簡素化された自動リカバリの設定を確認してみました。
起動したインスタンスの詳細に「インスタンスの自動復旧」という項目があります。
これが、簡素化された自動リカバリの設定状況を示しています。
インスタンス起動直後は デフォルト となっており、機能が有効になっていることがわかります。
設定を変更し、簡素化された自動リカバリを無効にしてみます。
インスタンスを選択し、[アクション] → [インスタンスの設定] → [自動復旧動作を変更] をクリックします。
デフォルト(オン) から オフ に変更し、[保存] をクリックします。
「インスタンスの自動復旧」を確認すると オフ に変更されています。
これで、簡素化された自動リカバリが無効になりました。
簡素化された自動リカバリの動作
前述の公式ドキュメントに以下のように記載があります。
You can use the default configuration of the instance or create an Amazon CloudWatch alarm to automatically recover an instance.
If an instance becomes impaired because of an underlying hardware failure or a problem that requires AWS involvement to repair, the instance is automatically recovered.
Google翻訳曰く、以下の通りです。
インスタンスのデフォルト構成を使用するか、Amazon CloudWatchアラームを作成してインスタンスを自動的に回復させることができます。
根本的なハードウェア障害や、修復にAWSの関与が必要な問題によってインスタンスが障害された場合、インスタンスは自動的に回復されます。
この内容から、従来の CloudWatch アラームを利用したインスタンスの復旧と同等の機能と読み取れます。
注意点
CloudWatch アラームを利用したインスタンスの復旧と同様、AWS 基板側の障害に起因してインスタンスが動作しなくなった場合にのみ自動で復旧されます。
具体的には、以下のような事象です。
- ネットワーク接続の喪失
- システム電源の喪失
- 物理ホストでのソフトウェアの問題
- ネットワークの到達可能性に影響を与える物理ホストのハードウェアの問題
OS 内部の障害を検知して復旧するといったことはできません。
さらに簡素化された自動リカバリは、インスタンスストアボリュームを持つインスタンスで利用出来ない点もご留意下さい。
詳細は公式ドキュメントをご確認下さい。
Recover your instance - Amazon Elastic Compute Cloud
2022/04/02 追記
本機能について、当社から AWS へ確認した内容を追記します。
コストについて
デフォルトで有効になった簡素化された自動リカバリは、無料でご利用いただけます。
復旧アクションの発生条件について
CloudWatch アラームを利用したインスタンスの復旧と同様の動作であるものの、詳細な復旧条件設定等は非公開です。
今までの設定からの移行について
復旧条件のカスタマイズなどの要件がない場合には、基本的に従来の設定は削除し、代わりに簡素化された自動リカバリを利用して問題ありません。
さいごに
CloudWatch アラームを利用したインスタンスの復旧は有効な機能ですが、EC2 インスタンスすべてに設定するのは手間な作業でした。
今回のアップデートで運用の手間が大きく減るのではないかと思います。
