超異分野学会に行ってみた
技術1課の白鳥です。 2月下旬~3月というのは、大学院生が修士論文や博士論文を提出した直後の時期であり、 それらの研究成果が学会等で公表される時期でもあります。 「おもしろそうで、かつ気軽に参加できる学会ないかなぁ」と探していたところ、 リバネスさん主催の 超異分野学会 が開催されることを知ったので、行ってきました。
超異分野学会とは
超異分野学会は、その名の通り、いろいろな分野の人々が集まり自由に議論する場です。 「学会」という名がついていますが、参加者は研究者に限らず、技術者・職人・起業家など様々な人が集まります。 参加者の所属も様々で、研究機関・大学(研究者、学生)・民間企業など多岐にわたります。 高校生や高専生も参加しているようでした。
セッション
私が参加した3月2日は、主にバイオ系のセッションが開催されていました。その中でも印象に残った「腸管医学とデータサイエンスの融合」というセッションについて、概要を紹介します。
腸管医学とデータサイエンスの融合
登壇者
ファシリテーター
- 福田 真嗣 氏(慶應義塾大学)
パネリスト
- 北川 拓也 氏(楽天株式会社)
- 田中 由佳里 氏(東北メディカル・メガバンク機構)
- 山田 拓司 氏(東京工業大学)
主な議論
「健康である」とはどういうことか
- 組織論でいうと、自己革命を起こせることが「健康である」ということ。例えば会社組織でいうと、定期的に人の入れ替わりが合って、変化に対応できる方が生き残れる(北川氏)
- 似たようなことは腸管医学においても言える。毎日同じものばかり食べていると、腸内の菌が似た種類のものばかりになり、変化に弱くなる(山田氏)
そもそも腸管医学とデータサイエンスの融合は必要か
- 必要である。日本の腸管医学の領域では、データサイエンスをやろうとする人は限られている。同じ医学でも循環器などではデータサイエンスをやろうとする人が多い(田中氏)
- データサイエンティストを欲しがっている医学分野の研究者は割と多い印象を持っている(山田氏)
腸管医学とデータサイエンスの融合は可能か
- 可能である。物理学において、ミクロな現象とマクロな現象はエネルギー値によってつながっている。菌というミクロな現象と腸内環境というマクロな現象についても、エネルギー値のような何らかの量によってつながっているのかも(北川氏)
感想
コンピューティングリソースが限られていた時代においては、物理現象を記述する式はシンプルである必要がありました。しかし、より安価で柔軟にリソースを使用できるようになるにつれて、式が複雑であってもシミュレーションが可能になりました。さらに最近では、大量のデータの収集・保存が可能になったことをうけて、数式のみではなくデータも混ぜることによる複雑な現象も予測も試みられています。このセッションを聞いた感じだと、医学においても同じことが起こりそうで楽しみです。先日の re:Invent の とあるセッション でも、創薬支援ソフトウェアの OpenEye がAWS上でアプリを稼働させている事例が紹介されており、医療分野でもクラウド活用が進んでいることを実感します。