CI部 佐竹です。
本日は、大阪リージョンが国内にスタンダードリージョンとして開設されるまでの歴史を1枚の画像で振り返ります。
はじめに
2021年3月3日、大阪リージョンがスタンダードリージョンとして開設されました。それに伴い以下のブログを記載しました。
今回、引き続き大阪リージョンに注目した記事を記載致します。今回のテーマは「これまでの歴史」です。
大阪リージョンが開設されるまでの歴史
以下のスライドは、大阪リージョンが開設されるまでの「日本国内リージョンの歴史」です。
上の赤いラインが東京リージョン、下の青いラインが大阪リージョンになっています。
それぞれ詳しくみていきましょう。
2011年3月2日 東京リージョン開設
2011年3月2日 東京リージョンが正式に開設されました。
当時、私はアメリカのバージニアリージョンから移行したシンガポールリージョンを利用していました。
もともと利用していたバージニアリージョンの遅延はおおよそ 200msec であり、リモート接続しての操作には強いストレスを感じていました。そのため、シンガポールリージョンが開設されたタイミングで EC2 インスタンスの移設を行いました。
シンガポールリージョンへの移設により、利用者の体感速度は大幅に向上しましたが、シンガポールリージョンはそれでも 80msec のレイテンシです。まだまだストレスフルでありました。そこに、ついに登場した東京リージョンは非常に嬉しかったことを記憶しています。
2017年5月31日 大阪ローカルリージョン開設予定のアナウンス
東京リージョンの登場から約6年後、2017年5月31日 大阪ローカルリージョンが開設される「予定」がアナウンスされました。
しかし、そのアナウンス文面には奇妙な一文がありました。
本リージョンは、ローカルリージョンと呼ばれる新しい設計概念のデータセンターです。AWSのローカルリージョンは、旧来の単一データセンターのインフラ設計とは全く異なる、耐障害性の高い単一のデータセンターです。
「ローカルリージョン?」
そうです。大阪リージョンは最初、AWSにおける初めてのローカルリージョンでした。大阪ローカルリージョンは記載されている通り「単一のデータセンター」でした。
いままで AWS における「リージョン」には複数のアベイラビリティゾーンが存在していました。しかし、大阪ローカルリージョンには「単一のデータセンター」しか存在しません。つまりアベイラビリティゾーンが「単一」のものとして提供されるのです。
2018年2月13日 大阪ローカルリージョン開設
2018年2月13日 大阪ローカルリージョンが正式に開設となりました。
この大阪ローカルリージョンが活用されるに至るシーンは以下の条件時となります。
- 100km以上離れた地点にDR(ディザスタリカバリ)用のサイトが必要
- DRサイトは日本国内に存在する必要がある
上記の条件を満たすことは、これまで AWS にはできませんでした。
アベイラビリティゾーンは、100km以内に位置するとされています。アベイラビリティゾーンを災害対策として活用することは可能なのですが、企業によってはDRサイトに「十分な地理的距離=数百km以上」を求める場合もあるでしょう。そのような場合、アベイラビリティゾーンで Multi-AZ 構成をとったとしても要求を満たさないことになります。
そこで、大阪ローカルリージョンの登場です。東京リージョンから400km離れている大阪ローカルリージョンは十分な地理的距離があるDRサイトとして活用できるため、先に記載した2つの条件を満たすDR設計も可能となります。
2020年1月22日 大阪ローカルリージョンをフルリージョンへ拡張中のアナウンス
大阪ローカルリージョンは登場したもののすぐに多くのお客様から「東京リージョンと同様に、通常のリージョンとして使いたい」という要望を受けることになりました。例えば、一例として以下の記事があります。
理由として、大阪ローカルリージョンには「事前の申請と審査」が存在していました。また東京リージョンに対するDRサイトという立ち位置から、メインサイトとして大阪ローカルリージョンを使うこともできませんでした。
せっかく登場した大阪ローカルリージョンですが、これらによる制約で使い勝手が良いものとは言えませんでした。
そのため、AWS は大阪ローカルリージョンを「単一のアベイラビリティゾーン」から「3つのアベイラビリティゾーン」に拡充し、フルリージョン(完全なリージョン)にするとアナウンスを出しました。
2021年3月2日 大阪リージョン開設
2021年3月2日 大阪リージョンがスタンダードリージョン(先の記事ではフルリージョンと記載されていたもの)となり、他のリージョンと同様に事前申請なく利用が可能となりました。また、大阪リージョン単一で利用できるようになったため、東京リージョンのDRサイトにしか使えない、という制約もなくなりました。
大阪リージョンがスタンダードリージョンとして開設された日は、東京リージョンから10周年記念の日に合わされていたこともお伝えしておきます。
まとめ
本ブログ記事では、AWS 大阪リージョンが国内にスタンダードリージョンとして開設されるまでの歴史を振り返りました。
またその歴史を1枚のスライドにまとめて掲載しております(再掲)。
本ブログが大阪リージョンのご利用を検討されている方に、少しでも参考になれば幸いです。
それでは、またお会いしましょう。
佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ
マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。