9月より営業部ビジネスデベロップメント担当となりました白鳥です。
主にHPC, CAE用途でのクラウド利用を広げていきたいと思っています。よろしくお願いします。
昨日、 プロメテック・ソフトウェア社 主催の Prometech Simulation Conference 2017 に行ってきました。
プロメテック・ソフトウェア社と、Particleworks, 粒子法について
プロメテック・ソフトウェア社は Particleworks を主力製品として、流体解析ソフトウェアの開発や、解析のコンサルティングを事業とされています。
Particleworksの最大の特徴は、解析手法として 粒子法 を採用している点です。
従来のほとんどの流体解析手法では、流れを計算する前にメッシュ(格子)を作成する必要があります(これらの手法は粒子法に対して「格子法」と呼ばれます)。
「流体解析 メッシュ」などで画像検索すると、三角形や四角形のメッシュが切られた自動車や飛行機の画像が出て来ますが、このメッシュをどのような形にするかをまず考えなければなりません。
一方粒子法では、メッシュを生成する必要がありません。
構造計画研究所社が公開している こちら の動画では、メッシュは切られていないことが分かります。
このような背景から、例えば、
- 流れの中に複雑な形状の物体がある
- 流れの中に動く物体がある
- 波のように、液体の表面が変形する
- 液体が飛び散る
といった、メッシュの生成が非常に難しい解析において、粒子法の利点が発揮されます。
クラウドでの利用については、プロメテック・ソフトウェア社は Particleworks を ScaleX Platform でサポートするパートナーシップ をRescale社と締結しています。
当日の様子
Prometech Simulation Conference 2017 は、
- GPU Computing Workshop for Advanced Manufacturing
- NVIDIA Deep Learning Institute
の2つのイベントと同時開催でした。 よって流体解析のみではなく、GPUの主要な用途となりつつある Deep Learning に関しても、同時進行で講演がありました。 おそらく、延べ700人くらいの人が参加しており、会場は盛況な様子でした。
私は以下の講演を聞きに行きました。
- AI時代のシミュレーションが目指すもの ~メッシュフリーからデザインへ~
- AI・量子コンピュータ×ものづくり 新たな可能性を探る ~シリコンバレー最新レポート~
- 流体・構造連成解析による冠水路走行時のエンジンルーム内水位予測技術の開発
- 船舶海洋工学における粒子法シミュレーション最前線
- GPUスパコンにおける動的領域分割を用いた大規模粒子法シミュレーション
- Particleworks/Granuleworks最新版によるエンジニアリング活用事例
- 粒子法シミュレーションの最前線2017
また、いくつかのスポンサー展示ブースにて、お話を伺いました。
感想
GPU Computing Workshop と共催ということで「流体解析でGPUをいかに活用するか」という話題が多かったように思いました。 格子法におけるGPUを使った並列計算の話はよく聞きますが、粒子法においても工夫をしながら並列計算を実現しているようです。 また「流体解析のパラメータをDeep Learningで決定する」といった新たな観点での研究が進んでおり、進歩の速さに驚きました。
これらの技術を産業界で広める上で、クラウド活用して初期費用を抑えて導入しやすくすることが有効だと思いますので、クラウドHPCの検証と導入支援を進めようと改めて思いました。