【イベントレポート】Zabbix Conference Japan 2016

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カスタマーサポート課の伊藤です。 サーバーワークスZabbixスペシャリスト 九龍として Zabbix3.0、3.2の新機能を活用した監視手法をご紹介していきます。 これまで、Zabbix 3.0 の新機能を利用した監視、暗号化についてご紹介しました。 今回は、技術紹介をお休みして、11月18日に実施されたZabbix Conference Japan 2016 のレポートをお送りいたします。

オープニングスピーチ: Welcome to Zabbix Conference Japan 2016!

 dsc00003始めにZabbix LLC 創業者・CEOのAlexei Vladishev から、2016年のZabbixの振り返りそしてZabbixのリリースとサポート期間についての紹介のあと、Zabbix 3.2 からの新機能である障害タグと相関関係についての紹介がありました。
これまで、監視ではIPアドレスやホスト名などリソースに紐付いた監視が主でしたが、この障害タグと相関関係を利用することによって、ユーザ影響やサービスインパクトを切り口とした監視へと監視のレベルが上がるという紹介がされていました。
これからのZabbixではこの障害タグと相関関係がZabbixの土台となり、さらなる進化を予定しているそうです。

相関関係と障害タグについては、今後の【連載Zabbix】でもご紹介を予定しています。

また、改めてZabbixの定義として

Zabbixはエンタープライズレベルの
ユニバーサルオープンソース
監視ソリューションです。

という発表がなされました、エンタープライズレベルで利用できる性能、完成度を持った
Agent監視やネットーワークに限らず、多くの領域で利用可能な
監視ソリューションであるということで、様々な産業、様々な環境で利用でき、
IoTでも利用が出来るソリューションであるという話がされていました。

また、今後の展望として現在は低レイヤーの監視を主に得意としているが今後はサービスやアプリケーションの監視にも注力していきたいという話がありました。
個人的にはクラウド監視の展望に期待したいです。dsc00008

Zabbixを最も効率的に活用する為の統合運用監視サービスのご紹介

 サイトロック株式会社 開発部 部長 小堀 明位 様 によるZabbix利用サービスの紹介が行われました。

Fluentd + Zabbix + Grafana で監視システムを構築してみよう、ほか

 SRA OSS, Inc. 日本支社 佐々木 宏一朗 様 による事例紹介が行われました。


Fluentd でログファイルを統計計算し、その結果をZabbixに送ることで、統計モデルによる監視判定を行っている事例の紹介が行われました。dsc00014

商用IaaSクラウド基盤ソフトウェアへのZabbix組み込みと今後に望むこと

株式会社あくしゅ 代表取締役 山崎 泰宏 様 によるデータセンタ仮想化のご紹介がありました。
同社で開発したOpenStack等の競合であるWakameによるZabbix の組み込み事例やSNDのOpenVNet のご紹介がありました。

Zabbix 3.2新機能紹介

 TIS株式会社 OSS推進室 池田 大輔 様 による、Zabbix 3.2 の新機能検証結果の報告がありました。


「Zabbix 3.2 ではより設定がナチュラル(専門知識がなくても、思った通りに設定できるよう)になった。」
Zabbix 3.2 では障害の復旧条件を明示的に定義できるようなったため(3.0 までは障害継続条件を記述する必要でしたが、3.2では復旧条件が定義できます) 人間が考えていることをそのまま表現できるようになりました。


また、イベント相関関係機能では、イベントに対してKey:value型のタグが付与できるようになったため
キーごとに状態を評価することにより、監視対象のログファイル単位などではなく、プロセスなどのサービス単位での判定を行うことができるようになりました。


ホストグループの階層化により、実際のシステム構造に合わせた素早い情報へのアクセスが可能となりました。


ログバーストへの対応機能により、秒間1000行を超えるようなログが出力される環境でも、ロジックに沿って「読み飛ばし」を行うことにより、最新のログを収集できるようになるという機能が実装されました。


新機能については、今後の【連載Zabbix】でも随時ご紹介していきますので、ご期待ください。

まるごとおまかせZabbixのご紹介

 株式会社アークシステム 新井 健志 様 によるまるごとおまかせZabbix サービス紹介が行われました。

Zabbixから見たオープンソースの開発とビジネスの裏側

 dsc00027Zabbix Japan 代表 寺島 広大 様 によるOSSをビジネスとする上での経験を3年間(今年から3年間)かけてお話頂けるようです。

今回はZabbixとの出会いから、Zabbix SIA(現 Zabbix )へのJoinとラトビアでの仕事の仕方などについての様子をお話いただきました。

また、海外(ラトビア)でのZabbix 社内のプロフェッショナルなエンジニアの様子をお話されていました。
Zabbixに限らない幅広い知識や探求による高いレベルのエンジニア像のお話をされていました。dsc00031 dsc00032


OSSと商用製品の文化的、リソース的な差異などについてお話となり、Zabbixに限らないOSSをどのように選択するか、利用するかというお話をされていました。
さらには、ラトビアでの経験から日本市場の特性などから新しいサービスの生まれにくさや生存しにくさについての話となり、フィードバックの重要性についてお話をされていました。dsc00038dsc00040dsc00043dsc00044dsc00045

大規模クラウド環境におけるZabbix利用事例

 KDDI株式会社 プラットフォーム開発本部 プラットフォーム技術部 加藤 真人 様 から大規模環境におけるZabbixの設計についての紹介がありました。

OpenBlocks IoTファミリをZabbixの現場で使い倒す

 ぷらっとホーム株式会社 IoTビジネス開発部 後藤 敏也 様 よりOpenBlocks IoT VX1にZabbixをインストールしてIoTセンサの可視化した様子の紹介がありました。

レスポンスが遅い?そのイライラ時間を見える化
-従来のシステム監視手法では不可能だったユーザ体感測定を実現-

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 関戸 智史 様 よりWEBレスポンス監視のためのユーザ操作エミュレーション、画像認識システムとZabbixの連携サービスについてのご紹介がありました。

監視システムの高度化に向けたZabbixの活用について

九州通信ネットワーク株式会社 木村 裕 様 からZabbix 2.2 を導入した現場からの導入レポートが発表されました。現場に合わせて独自に実装した機能などもあり、今後は閾値監視ではなくパターン監視などを行っていきたいとのことでした。

Interop Tokyo 2016におけるShowNet運用監視について

株式会社IIJイノベーションインスティテュート 技術研究所 研究員 阿部 博 様 よりInterop ShowNetについてのご紹介をいただきました。

今回はZabbixを中心において、他の専用監視ツールや可視化ツール、分析ツールなどにより監視システムを構築していたとのことです。

Interop Tokyo 2016 ShowNetでのZabbix活用

NTTコムソリューションズ株式会社 マネジメントソリューション事業部 福島 崇 様 よりInterop ShowNetでのZabbix利用状況についてレポートいただきました。

今回はZabbixを中心において、他の専用監視ツールや可視化ツール、分析ツールなどにより監視システムを構築していたとのことです。

Zabbixによるクラウド監視の勘所
-AWS監視テンプレートのご紹介-

 TIS株式会社 山本 文彦 様 よりAWS監視テンプレートのご紹介がありました。
このテンプレートでは、CloudWatchメトリクスの取得と、SNS、AutoScaling、課金情報、ServiceHealthDashBoardの情報が取得完納となるそうです。

懇親会LT

一般事務職によるZabbixの使い方 
~触っていたらここまで出来ました~

榊 俊裕 様 エンジニアではなく、事務職としてZabbixを利用したオフィス改善についての発表でした。
ZabbixのSNMP監視とメール送信アクションを利用して、プリンタインクの自動発注システムを実現したそうです。
当初はインクがなくなった事をトリガーにしていたため、インクがなくなった状態でプリンタの停止、起動をされると誤発注をしてしまう問題があったそうですが、無くなったインクが補充されたことを新たなトリガーとして追加することで、2年間誤発注無しで稼働し続けているとのことでした。
Amazon Dash よりも1年前にZabbixでIoTを実現していたのです!

Nagiosの動作状況をZabbixでモニタリング

渡邉 一雄 様 Nagiosの監視環境を完全にリプレースするのではなく、Nagios自身の監視とNagiosのデータをZabbixに収集することで、システムの変更を最小限に、Zabbixを導入した様子を発表されました。

Zabbix APIを使った見える化ツールの作成

牛田 隆之 様 Zabbixのデータを監視現場の要求に合わせて独自の一括表示ダッシュボードを作成した発表でした。

ラトビアにて開催されたZabbix Conference 2016のご紹介

金 宗權 様 Zabbixの本場ラトビアで行われたZabbix Conference 2016 のレポートが発表されました。

おまけ

今回も、懇親会でAlexeiと色々とお話をさせていただきました。その中で、個人的に興味があった点について質問してきましたので、こっそりお教えします。
Zabbix 3.4 ではサービス目線での監視機能を、そしてZabbix 4.0 ではクラウド監視機能を実装したいとの事でした。
ちなみに、Zabbix 4.0 は来年の私の誕生日あたりに出したいとのコメントをいただきました!
今から楽しみです!!

次回の【連載Zabbix】では、ユーザ定義マクロのコンテキスト機能についてお知らせいたします。
ご期待下さい。