こんにちは。
「日本百名山」ではなく、「マイナー12名山」を全て登ることを目指している山本です。
S3 の Intelligent-Tiering について、弊社の佐竹が以下の記事で紹介しています。
アクセス頻度に応じてストレージクラスを変えてくれるS3 Intelligent - Tiering はコスト削減に良さそうですね。
そこで、Intelligent-Tiering を設定した場合と、しなかった場合で、どのくらい料金が異なるのかを個人的にざっくり試算してみました。
1日に増加するファイル数、ファイルの平均サイズ、ファイルへのアクセス頻度を適当に設定し、1年後にどれくらいの料金になるのか、試算してみました。
リージョンは東京リージョンにしました。
アップロード・ダウンロードなどファイルの処理にかかる料金は、計算の範囲外にしました。
保管のみの料金として見て下さい。
なお、S3の料金について、詳細は以下を参照ください。
aws.amazon.com
訂正:2022年9月21日
執筆当初に私の記載した例では、1つあたりの平均オブジェクトサイズが 1.5 KB になっていました。
S3 Intelligent-Tiering の仕様上、オブジェクトのサイズが 128 KB 未満の場合は、必ず高頻度アクセス階層に保存となります。
S3 Intelligent-Tiering の恩恵を享受するためには、オブジェクトのサイズが 128 KB以上である必要があります。
そのため、前提を訂正させていただきました。
1ファイルの平均サイズが 1MB以上になるように修正させていただきました。
オブジェクトのサイズが 128 KB 未満の場合は、モニタリングされず、自動階層化に適していません。小さいオブジェクトは必ず高頻度アクセス階層に保存されます。
参考:S3 Intelligent-Tiering のしくみ
前提(2022年9月21日 訂正版)
1日当たり、3,000ファイルほど、S3での保管量が増加する。
3,000ファイル合計サイズは 4.5 GB。
1年後のファイル数
1年後のファイル数は 10,950,00個になります。
1年後の合計サイズ
1年後の合計サイズは 1,643 GB (約1.6 TB)になります。
1ファイルの平均サイズ
1ファイルの平均サイズは、1573 KBになります。
アクセス頻度
1年後に見た時にアクセス頻度は以下だったと仮置きします。
- 直近30日未満にアクセスのあるファイルが 411 GB分
- 直近30日以上アクセスが無いファイルが 822 GB分
- 直近90日以上アクセスが無いファイルが 411 GB分
計算結果
S3 の料金プラン毎に保管料金を計算した結果です。
Intelligent-Tiering を設定した場合には、標準ストレージの6割くらいの料金になりました。
プラン | 1年後に1,643 GBを保管する料金 | 説明 |
---|---|---|
S3 標準 | 41 USD | 最初の 50 TB/月 0.025USD/GB |
S3 標準 - 低頻度アクセス | 23 USD | すべてのストレージ/月 0.0138USD/GB |
S3 1 ゾーン - 低頻度アクセス | 18 USD | すべてのストレージ/月 0.011USD/GB |
S3 Glacier Instant Retrieval | 8 USD | すべてのストレージ/月 0.005USD/GB |
S3 Glacier Flexible Retrieval (旧 S3 Glacier) | 7 USD | すべてのストレージ/月 0.0045USD/GB |
S3 Glacier Deep Archive | 3 USD | すべてのストレージ/月 0.002USD/GB |
S3 Intelligent - Tiering | 26 USD | ※1 |
※ 2022/9/8 時点の料金です。料金は変わる可能性があります。
※1 S3 Intelligent - Tiering の料金計算式
S3 Intelligent - Tiering の料金計算式は以下になります。
No | 説明 | 料金 |
---|---|---|
1 | モニタリングおよびオートメーション | オブジェクト 1,000 件あたり 0.0025USD/月 (128KB以上のオブジェクトに適用。) |
2 | 高頻度アクセスティア(直近30日未満にアクセスのあるファイル) | 最初の 50 TB/月 0.025USD/GB 次の 450 TB/月 0.024USD/GB 500 TB/月を超える 0.023USD/GB |
3 | 低頻度アクセスティア(直近30日以上アクセスのないファイル) | 月 0.0138USD/GB |
4 | アーカイブインスタントアクセスティア(直近90日以上アクセスのないファイル) | 月 0.005USD/GB |
「モニタリングおよびオートメーション」の料金は 2.7 USD でした。
S3 Intelligent - Tiering の設定方法
S3 バケットの「管理」タブから、「ライフサイクルルールを作成する。」を選びます。
任意のライフサイクルルール名を付与します。 「バケット内のすべてのオブジェクトに適用」にチェックします。
「オブジェクトの最新バージョンをストレージクラス間で移動」をチェックします。 「ストレージクラスの移行を選択」は「Intelligent-Tiering」を選びます。 「オブジェクト作成後の日数」を 0日にします。 これで、S3 にオブジェクトをアップロードしてから迎える次の午前 0時(UTC)に、ストレージクラスが移動になります。
ライフサイクルルールが有効になります。
まとめ
アクセス頻度に応じてストレージクラスを変えてくれる、S3 の Intelligent - Tiering を使いこなしましょう。
山本 哲也 (記事一覧)
カスタマーサクセス部のエンジニア。2024 Japan AWS Top Engineers に選んでもらいました。
今年の目標は Advanced Networking – Specialty と Machine Learning - Specialty を取得することです。
山を走るのが趣味です。今年の目標は 100 km と 100 mile を完走することです。 100 km は Gran Trail みなかみで完走しました。残すは OSJ koumi 100 で 100 mile 走ります。実際には 175 km らしいです。「草 100 km / mile」 もたまに企画します。
基本的にのんびりした性格です。座右の銘は「いつか着く」