こんにちは、金融コアアドバイザーの大久保です。この度、ステークホルダーの皆さまへ敬意を表し“α版(ディスカッションペーパー)”として日本で初めての「国内BaaSエコシステムのカオスマップ(BaaSを形成するサービス群)」をリリースいたします。
欧州では「欧州決済サービス指令(EU Payment Services Directive II、PSD2)」による銀行APIの義務化や「英国オープンバンキング技術仕様(Open Banking Standard、OBS)」の提供が開始されており、チャレンジャーバンクによるBaaS(Banking as a Service)の開発や活用が積極的に進められています。日本においては2015年5月から金融庁による「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキンググループ」や「決済業務等の高度化に関するスタディーグループ」でオープンAPIが取り上げられ、2016年12月 金融制度ワーキング・グループ「オープンイノベーションに向けた制度整備に関する報告書の公表」を経て2017年6月に改正銀行法が公布されました。それから間もなくFISCや全銀協、Fintech協会によるオープンAPIのあり方に関する検討会やAPI接続チェックリストの策定プロセスを経て、2018年6月に改正銀行法が施行され、オープンバンキングの幕開けとなりました。
APIは企業間のオープンイノベーションを担う一要素技術に過ぎず、この5年間の制度実装をブーストしていくには、ビジネスロジックが不可欠です。日本の銀行でも既に銀行API連携によって、スタートアップ企業が提供するPFMやクラウド会計、アルゴリズム貯金サービス等のオープンイノベーションが浸透しつつありますが、これらはまだ特定領域・特定機能に限定されており、今後は「Banking as a Service(BaaS)」としてビジネスを拡大していくことが期待されています。
BaaSは非金融機関にとってもクロス構造のアプローチで既存のお客さまへ新たな価値を提供する観点から採用するメリットは大いに存在します。実際に日本では既に異業種による銀行業への参入(ソニー銀行やイオン銀行、LINE Bank設立準備株式会社等)やEコマース企業による銀行との統合(楽天銀行やGMOあおぞらネット銀行等)が進んでいますが、BaaSはこれらのプロセスを簡素化し、お互いのビジネスをスケールすることにフォーカスできる点において注目されており、日本におけるオープンバンキング・デジタルバンキングの発展を担う、重要な市場になるでしょう。
この領域は日々目まぐるしい進化を遂げている市場であり、今後は弊社の金融コンサルティングメンバー*1が定期的に内容を見直し、永遠のβ版*2としてメンテナンスしていきたいと考えております。
選定にあたっての前提条件など
ネオバンクのアプローチである銀行とのAPI連携については、電子決済等代行業者を中心にリストアップしています
FinTechエコシステム形成の観点からスタートアップを中心に、バンキング・プロダクトを提供している企業を優先しています