【速報】2025年9月30日以降 AWS上でのMicrosoft製品利用が制限されます【SPLA】

記事タイトルとURLをコピーする

こんにちは、クラウドインテグレーション2部 技術1課 宮形 です。

先日よりAWS公式サイトに気になる文言が追加されていることを確認しております。 AWS上で Microsoft 製品を利用している皆様に大きく影響する内容でしたので、こちらのBLOGで速報としてご紹介させていただきます。

追加された文言について

追加された文言はこちらになります。

aws.amazon.com

AWS では多くのお客様およびパートナーが、ライセンスに関して独自の SPLA を利用しています。AWS のお客様は、ソフトウェアサービスをサードパーティーに提供するシナリオにおいて独自の SPLA を使用できます。 ・・・(中略) ・・・ Microsoft の 2022 年 10 月のライセンス変更により、サービスプロバイダーは 2025 年 9 月 30 日までしか AWS 上で独自の SPLA を使用することができません。それ以降は、これらのお客様は、最新化するか、AWS ライセンス付き製品に移行する必要があります。

(2022年12月27日 本BLOG執筆時点の内容を引用)

つまりどういうことか

結論としては「SPLA を契約して得ていた Microsoft 製品をAWS上で利用できるのは 2025年9月30日まで。それまでに別の方法に移行する必要がある。」ということのようです。

SPLAは、AWSのようなパブリッククラウド上で Microsoft Office や Remote Desktop Service (旧:ターミナルサービス) 製品をライセンス利用するための現実的な選択肢の一つでしたので、多くのお客様でご採用いただいているライセンスプラグラムだと思います。

AWSでMicrosoft Officeを使いたい場合どうすればいいですか?

例えば下記の利用シーンでSPLAがご利用されております。これらご利用のユーザー様は 2025年9月30日までに、何等か別の方法に移行する必要があります。

  • Windows Server の EC2 に Microsoft Office をインストールして利用する。
  • Windows Server の EC2 を Remote Desktop Service をセットアップしてSBC*1環境として利用する。
  • Amazon WorkSpaces に標準添付されない Microsoft 製品を追加インストールして利用する。(例:SQL Server, Visio, Visual Studio)

2025年9月30日までに何に移行すればよいか

4つの選択肢が考えられます。

  1. SPLA の対象とならない製品に移行する
  2. Listed Provider が直接ライセンス提供する Microsoft 製品やサービスへ移行する
  3. Microsoft ライセンスを AWS へ BYOL *2 する方式へ移行する
  4. Microsoft の定める Listed Provider *3 以外のコンピューティングサービスへ移行する

1. SPLA の対象とならない製品に移行する

例えば下記のような移行シナリオとなります。

  • Microsoft Office → LibreOffice や Microsoft Office Online(ブラウザ利用) 等の類似機能を有する製品
  • Microsoft Access で開発したアプリケーション → AWS Amplify や Microsoft Power Apps 等のローコード開発ツールでアプリケーションを再開発
  • Remote Desktop Service → Microsoft 製品を用いないSBC方式の仮想デスクトップ

2. Listed Provider が直接ライセンス提供する Microsoft 製品やサービスへ移行する

従来から AWS は Microsoft 製品のライセンスを含む(インクルード)製品・サービスを提供しており、これらが移行対象となります。例えば下記のような移行シナリオとなります。

  • EC2上に SPLA で導入した Microsoft Office → Microsoft Office をバンドルした Amazon WorkSpaces
  • EC2上に SPLA で導入した Microsoft Office → Microsoft Office ライセンス入り AMI からローンチする EC2 (※NEW)
  • EC2上に SPLA で導入した SQL Server → SQL Server ライセンス入り AMI からローンチする EC2 または Amazon RDS for SQL Server
  • Remote Desktop Service → Amazon AppStream 2.0

(※NEW) 先日の re:Invent 2022 関係アップデートの一つとなります。移行先の有力候補になりそうですが、現時点では AWS Managed Microsoft AD のドメイン参加が必須、AWS License Manager でのライセンス管理が求められるなど、採用条件が厳しいと感じます。弊社エンジニアが早速BLOGでまとめておりますので下記も併せてご参照ください。

blog.serverworks.co.jp

3. Microsoft ライセンスを AWS へ BYOL する方式へ移行する

お手持ちの Microsoft ソフトウェアライセンスを AWS へ持ち込める条件に合致しているのであれば、例えば下記のような移行シナリオも選択肢となります。

  • Remote Desktop Service → Remote Desktop Service CAL を EC2 へ BYOL して利用

BYOL の条件については、最新の AWS および Microsoft の公式情報をご参照ください。

AWS での Microsoft ライセンシング

ソフトウェア アシュアランスによるライセンス モビリティ - マイクロソフト ボリューム ライセンス

4. Microsoft の定める Listed Provider 以外のコンピューティングサービスへ移行する

AWS以外への移行となります。例えばシステムインテグレーター様が自社保有するデータセンターのホスティングサービスであれば、Microsoft 定める Listed Provider の対象外であり、2025年9月30日以降もSPLAで Microsoft 製品を利用することが可能です。

参考ドキュメント

今回の発端となった Microsoft 側のライセンス変更に関する記事となります。

クラウドへのワークロードとライセンスの導入を容易にする、新たなライセンス特典 - Microsoft Cloud Partner Program Japan 公式ブログ

まとめ

ライセンスに関することなので、誤解や間違いがないよう正確な内容での記事執筆を心がけておりますが、万が一他の情報や資料との不一致・不整合がありましたら、AWS や Microsoft の公式情報をご参考いただけますようお願いします。

本日BLOG執筆時点では、2025年9月30日まで残り 2年10カ月ほどです。大がかりなシステム移行が伴うご利用者様にとっては、それほど長い時間ではないと感じるのではないでしょうか。

本BLOGは速報的な内容としておりますので、まずは AWS で SPLA をご利用または検討されている皆様へ認知いただければ幸いでございます。

現時点(本BLOG執筆 2022年12月27日)では SPLA は AWS 上でご利用可能となりますので、ご検討のお客様につきましては弊社お問い合わせフォームよりお気軽にお問合せください。 お問い合わせ - 株式会社サーバーワークス

皆様のシステム導入ご検討の参考になれば幸いです。

*1:サーバーベースコンピューティング方式:クライアントPCで利用するアプリケーションをサーバー上に集約、クライアントへは画面のみ転送する方式

*2:Bring Your Own License:所有しているライセンスをクラウドサービス等へ持ち込みしての利用

*3:Listed Provide:Microsoft の定めるパブリッククラウドプロバイダー Alibaba、Amazon Web Services、Google、Microsoft、およびListed Provider をアウトソーシングサービスの一部として利用するアウトソーサーを指す

宮形純平(執筆記事の一覧)

エンタープライズクラウド部 ソリューションアーキテクト1課

好きなお酒は缶チューハイと本格焼酎