技術三課の杉村です。AWS環境の運用者にとって嬉しいアップデートがありました。
AWS Direct Connect の強化されたモニタリング機能
AWS Direct Connect をご利用のお客様は、CloudWatch メトリクスを使用して、AWS Direct Connect 仮想インターフェイス (VIF) の使用状況、状態、正常性を監視し、アクションを実行できるようになりました。
従来は、Direct Connect の「Connection(物理接続、いわゆる土管)」の接続状態・トラフィックスループット・光レベルをCloudWatchで確認することができました。 しかしながらVIFのデータ流量等を見たい場合は、オンプレのルータ側でSNMPなどで取得したデータを頼りにするしかありませんでした。 (回線キャリアによっては、これを確認できるコンソール画面を提供している場合もあります)
今回のアップデートで Connection だけでなく、 Virtual Interface (略してVIF。Connectionの中を通る論理接続) の bps (bits per second) と pps (packets per second) を確認できるようになったのです。
1. VIFってなんだっけ...
ところで、Virtual Interface(VIF)とはなんでしたっけ。 Direct Connect関連の仕様は、以下のブログを順に読んでいくと分かりやすいかもしれません。 VIFの概念だけであれば、No 1のブログをお読みください。
これまでCloudWatchで状態を見ることができた Connection とは物理回線のことであり、その "土管" の中に論理回線である Virtual Interface(VIF) が通っていて、VIFの中を実際のデータが行き来しているとイメージしてください。
2. 何がうれしいの?
2-1. ユースケース
以下のようなときに、VIFのデータ流量を確認したくなるでしょう。
- ネットワークメンテナンスの時間を決めるとき
- 利用が最も多い・少ない時間帯を特定できる
- トラブルの発生時の切り分け
- オンプレとデータをやりとりするバッチ処理で遅延が... どこで詰まっている?
- 昨日の夜中、回線が一時断絶したらしい。何時ころに起こった?
- 回線増強の検討時
- 今時点でどのくらい使われていて、どのくらいまで増やせばよさそう?
2-2. Hosted Virtual Interface でもマネコンでデータ流量を確認できる
AWS Direct Connectのいわゆる「共有型回線」のサービスをパートナーと契約して利用している場合、前掲の 1. のブログの Hosted Virtual Interface というものに該当している場合があります。 このパターンの場合、Connection はサービス提供者が持っており、利用者は VIF の払出を受けて利用します。 利用者のAWSアカウントからは Connection が見られないため、 Connection の CloudWatchメトリクス も当然見られません。
つまりこのパターンの場合ですと、以前は利用している Direct Connect の利用状況が見えな(モニタリングできな)かったわけです。 (前述のとおり、回線キャリア等の情報を頼りにしていました)
今回のアップデートでは VIF 単位で情報が見ることができるようになりましたので Hosted Virtual Interface を利用している場合でも、AWSマネジメントコンソールでデータ流量が確認できます。
3. 閲覧手順
サービス一覧から「CloudWatch」を選択しCloudWatchのコンソールへ遷移します
左部ペインから「メトリクス」をクリックします
下部ペインから「DX」をクリックします(なおDXとはDirect Connectの略称です)
下部ペインから「仮想インターフェイスメトリクス」をクリックします
下部ペインにAWSアカウント内のVIFとそのメトリクスの一覧が現れます。必要なメトリクスを選択し、グラフを表示します
杉村 勇馬 (記事一覧)
サーバーワークス → 株式会社G-gen 執行役員CTO
2021 Japan APN Ambassadors / 2021 APN All AWS Certifications Engineers
マルチAWSアカウント管理運用やネットワーク関係のAWSサービスに関するブログ記事を過去に執筆。
2021年09月から株式会社G-genに出向、Google Cloud(GCP)が専門に。G-genでもGoogle Cloud (GCP) の技術ブログを執筆中。