「VRX2018」XR (VR, AR, MR)の世界に行ってきました

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皆さん、こんにちは。

サーバーワークス・カリフォルニアオフィスの臼坂です。

この度、サンフランシスコのヒルトンホテルで行われたVirtual Reality、Augmented Reality、 Mixed Realityに関するカンファレンス「VRX 2018」に参加してきました。

VR、AR、MRを総称してXRと言う言い方をしますが、XRの現状と今後についてどのように考えられているのかを調査するとともに、XRが企業のDXに貢献できるソリューションなのかというところを考えたいと思い、今回VRXのカンファレンスに参加してきました。

VR・AR・MRとは

まず、ご存知の方が殆どかも知れませんが、VR、AR、MRについて簡単に説明させて頂きます。

  • VRは、Virtual Realityの略で、現実世界とは全く別の仮想世界をVRヘッドセットを通じてユーザーに見せる技術。
  • ARは、Augmented Realityの略で、現実世界に対して、デジタルイメージをオーバーレイさせ、そのデジタルイメージが現実世界上に存在するかのように見せる技術。基本的にスマートフォンやARグラスを使う。
  • MRは、Mixed Realityの略で、現実世界に対してデジタルイメージをオーバーレイさせるところはARと同じだが、MRではデジタルイメージがあたかも本当に現実世界に存在するかのように、現実世界のものと融合され、相互に作用しあっているように見せるも技術。

「VRX2018」について

VRXは、年に2回、ヨーロッパと米国で行われるXRに関するグローバルなカンファレンスです。今回のVRXカンファレンスでは、およそ420人が参加していました。

このVRX2018では、HPを筆頭に、Bose、Deloitte Digital、Siemens、Qualcommと言った良く知られた企業から、Sixense、Varjoといった新興企業がスポンサーとなっていました。

HPは、背中に背負えるPC(HP Z VR Backpack PC)という製品を中心にVRの世界での存在感を出していました。

またBoseは、audio ARプラットフォームのBose ARプラットフォームという、視覚的なARではなく、サウンドのARを提供するという製品を出していました。

XRに関するマーケット

冒頭のセッションで、ゲーム・VR・ARといったインターラクティブエンターテイメントマーケットに関する市場調査会社SuperData社より、XRマーケットについてプレゼンテーションがありました。

まず、2018年の全世界のXRマーケットは、$5.3Billion(約6000億円)の規模があり、2019年には$13Billion(1兆5000億円)の規模になる見込み。

 (SuperData社提供データ)

そして、2021年には市場規模が$37.5Billion(約4兆円)規模になると予想されており、市場の伸びとしては、モバイルARとVRが市場を牽引する形になりそうです。

(SuperData社提供データ)

モバイルARは、昨今爆発的なユーザー数を獲得したポケモンGoを筆頭に、現状様々なモバイルARの開発が行われている。これは、今までのスマートフォンのアプリケーションの枠を超えた使い方や体験をユーザーが求めてきている背景があり、モバイルARの領域でのマーケットは今後も大きな伸びて行くと考えられているようです。

またVR・ARに関してはハードウェアに起因する伸びが大きく、一方、ソフトウエアの市場規模としてはVRが一番大きな伸びが予想され、その伸びはゲーム関連のソフトウエアが市場を牽引するようです。

(SuperData社提供データ)

一方で今年Location based Entertainment (LBE)がゲームとともに市場を牽引し、2021年にかけてその構造は変わらないものの、インターラクティブメディア、ソーシャルメディア関連のソフトウェアも2021年に向けて伸びていくと予想されていました。

ちなみに、VRのヘッドセットでは、PlayStation VR (PSVR)が一番多く販売されており、それをFacebookの子会社であるOculasがコンシューマー向けに開発した低価格VRヘッドセット、Oculas Goが追っているという状況です。

(SuperData社提供データ)

PlayStationの市場に出回っている台数を考えれば、当然と言えば当然ですが。。。

ただ一方で、中国では2018年だけでも400以上のVRヘッドセットが発表されており、中国におけるVRへの注目度は非常に高いようです。AI/MLのみならず、XRの世界でも中国は他に先んじようとしているのが伺えます。

エンタープライズマーケットを見た場合、2018年の9月末時点でのVR関連マーケットにおける需要・供給の状況は、下記の通り。

(SuperData社提供データ)

需要を見てみると、Education(教育・トレーニング関連)向けの需要が一番高く、次にHealthcare/medicine(医療・薬関連)、AEC&Design(建築及びデザイン関連)の需要が続いており、その次にRetail(小売関連)向けの需要がある状況です。

アプリケーション側では、教育関連及び医療関連のソリューションを開発している割合が多いが、全体的に幅広い開発層が存在していると考えらています。

XRへの投資環境

現状、XR関連のスタートアップへのシードレベルの投資は行われているものの、その次の段階の投資に関しては、一般的に投資を受けるのが難しい状況にあるとのことです。

HTCの投資部門であるVive Xは約100億円のファンドを持って、XR関連のスタートアップへの投資を意欲的に行っている模様で、カンファレンスにおいても積極的な姿勢が見られました。

Vive XのようなVCがいる一方、殆どのVCにおいては、XRの市場においてどうやってスタートアップが利益を上げているかという点について、まだ明確ではないことから、まだ様子見というスタンスでいる状況とのことで、投資環境としてはあまり活発ではないようです。

ただ、XRが市場において新しい価値を生み出し、利益を上げられるテクノロジーであると分かれば、かなりのスピードで投資が行われいく素地はあると感じました。

Location based VRとは

今年に入り、VRのマーケットでは、Location Based VRと言うコンシューマー向けのエンターテイメント分野が伸びてきています。

Location Based VRとは、家でVRを体験するのではなく、テーマパークの用な場所に行き、VRの体験を行うものです。

(VOID社のホームページから)

実際の会場は、VRの中で繰り広げられる世界と同じような構造物を作り、ユーザーは実際にものを触ったり、壁や階段といった構造物を体感することができ、VRを五感を使って体感できるようになっている。つまり仮想現実が、五感を使って体感できることにより、現実に近い形で体験できるようになっています。

ユーザーは、15-20分程度のVR体験を行うことができ、その体験に対してお金を払うという仕組みであり、いわゆるテーマパークで、アトラクションに乗ったりするのにお金を払うというのと同じビジネスモデルになっています。

今、このLocation based VRのビジネスが米国だけでなく、ドバイ、中国、そして韓国などで展開されており、ある調査会社のレポートでは2023年には約8000億円の市場規模になると予想されています。

エンタープライズマーケットにおけるXRのニーズ

今回のVRXへの参加をして、現状のエンタープライズ向けのソリューションが非常に限られた範囲であることが良く分かった一方で、XRの可能性という点では、非常に大きな可能性を秘めていることを実感できました。

実際に、VRを体験してみて、VRの「Immersive 」(没頭感)の凄さに驚いたとともに、XRを使ったトレーニングや、技術の伝達、技術情報の共有といった用途は、VR・ARといったソリューションは非常に有用で、今後も広くエンタープライズマーケットに採用されていくだろうと思いました。

またVRの世界では、2Dではなく3Dであり、日常業務で使用するパソコンやパソコンモニターといった2Dの、しかも限られた画面領域から解き放たれ、限りない空間の中での業務ができるようになります。また、VRのヘッドセットを付けることにより、VR内に集中することができるため、物事に集中するという意味でもVRの可能性があると感じました。

そんなVRを使うことにより、より効率的で生産性の高い働き方をする世界が来ることになると感じました。

将来、VRヘッドセットを付けて仕事をする時代がくるのも、そう遠くはないのかも知れません…

最後に

最後になりますが、もしまだVRを体験されたことがない方がいらっしゃいましたら、是非一度、体験されることをお勧めします。新しい世界感を感じることができると思います。