アマゾン Jeff Bezos氏のインタビュー

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皆さん、こんにちは。


カリフォルニアオフィスの臼坂です。


今日は、先日ベルリンで行われたAxel Springer Award 2018の受賞とともに行われたアマゾン創設者Jeff Bezos氏のインタビューにおいて、特に記憶に残った2つのコメントに関して書きたいと思います。

Axel Springer Awardは、革新的なイノベーションを起こし、そして市場に変化をもたらしたり、文化に影響を及ぼしたり、社会に対して貢献をしている人に対して送られる賞になります。


この賞は2016年から開始され、2016年の受賞者はFacebookのMark Zuckerberg氏でした。

“Focus on the customers, not on the competitors”(競合他社ではなく、お客様にフォーカスする) 

1997年にアメリカにあるBarnes & Noblesという全国チェーンの大手書店が、Amazonの成功をみて、同じようなインターネット上での本の販売を開始したことについて、Jeff Bezosが当時のことを振り返りコメントしていました。


Amazonは、1995年にインターネット上での本の販売を開始し、1997年には年商60億円のビジネスに成長していました。


しかし、この時のAmazonは、社員数125名程度のまだ小さい会社でした。


一方、Barnes & Noblesは全米で書店を展開しており、その売り上げは年商3,000億円にも達し、従業員数も30,000人を超える人員を抱えている大企業でした。


Bezos氏の話では、Barnes & Noblesの参入に対して、社員全員がAmazonの先行きに不安を抱き、将来を心配していたとのことでした。


この時Bezos氏は、全社員を集め、”It’s ok to be afraid. But don’t be afraid of competitors. Be afraid of customers. If we stay focus on customers, we will be just fine.”(「恐れても良い。でも、競合に恐れるな。それよりもお客様の動向に恐れよ。お客様に意識を集中していれば、上手くいくから」)と言ったとのことでした。


競合はお金を払ってくれるわけではなく、お客様がお金を払ってくれるのだから、そのお客様に集中することが重要だという思いから伝えたとのことです。


あくまでもお客様を中心に置き、どうやったらお客様にとって良いソリューションを提供できるか、また使い勝手の良いサービスを提供できるかというところに 注力するという、今のAmazonの姿勢が既にこのころからあり、それがAmazonの根底に流れるDNAなんだということが良く分かるコメントだと思います。

またBezos氏は、インタビューの中で、”Customers are smart. So you should not underestimate customers”(お客様は頭が良い。だから客を見くびってはいけない)とも言っています。


このコメントは、Bezos氏がお客様を中心に考えなくてはならないと思う理由の一つなのだと思います。

“When you are criticized, look into mirror” (批判を受けた時は、鏡を見ろ)

Amazonは、大企業へと成長したことにより、より多くの批判的な記事やコメントを受ける立場になっていますが、Bezos氏いわく、批判を受けた時は、まずその批判内容に関して自身を振り返り、批判が正しいものであれば、その批判を素直に受け入れ、すぐに改善を行う必要があるとのことでした。


これも先に書きましたお客様に注力するということの派生だと考えられますが、批判を悪いものとはとらえず、自身を振り返るためのツールとして考える姿勢は、非常に勉強になります。


普通、批判を受けると防衛本能が働き、批判を悪として受け取り、言い訳を考えたり、批判に対する批判をしたりすることが良くあるかと思いますが、批判を悪ではなく、「アドバイス」ととらえることにより、そのアドバイスをしっかりと確認し、より良いサービスを行える会社となるように改善を行っていく考え方は、企業の規模に関わらず見習うべきことだと思います。


Bezos氏は、同氏宛に送られるお客様からのメールに目を通し、必要があれば担当部署長にメールを転送し、事実確認を依頼するとともに改善を依頼しているということを聞きますが、このような考えが根底にあり、またそのようなインプットをAmazonが常に成長していく原動力にしているということが何となく分かりました。

 

最後に

シリコンバレーのスタートアップ企業では、できるだけ早く客先に対してβ版をトライして貰い、製品のコンセプトやソリューションのコンセプトが正しいものであるかを確認するとともに、改善部分の優先度の確認、それに基づいた改善、また客先からフィードバックを貰い、更に改善をするというサイクルを回してサービスやソリューションを完成させていくことを続けていきますが、この根底にあるのもお客様を中心とした考えで、まさにBezos氏が言っていることに通じています。


競合や周りの状況ではなく、お客様中心の徹底した考え方が今のAmazonを作り、そして進化させているんだということを改めて感じました。


カンファレンスやニュースなどでも、Amazonはお客様の要望を聞くことによりソリューションを開発し、サービスを提供しているという話を聞きますが、Bezos氏のインタビューを聞くことにより、社長自らが徹底したお客様中心の考えを根付かせているということを知ることができたとともに、Amazonの強さを改めて知ったように思います。

基本的に日本のお客様に対するサービスは、アメリカにおけるそれとは比べ物にならないくらい素晴らしいものだと個人的には思っていますが、良く考えると、それはお客様に直接対面している人々のサービスであって、会社全体としてのお客様に対するサービスというところで考えると、Amazonのような会社の考え方は、非常に学ぶべきことが多いと思いました。

インタビューリンク

http://axel-springer-award.com/