【速報】 Zabbix 3.4 リリースノート翻訳 【最速】

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カスタマーサポート課の伊藤です
普段は九龍と呼ばれています。

2017/8/22にZabbix 3.4 がリリースされました。
詳細はZabbix LLC のニュースリリースをご覧下さい。
Zabbix 3.4 はポイントリリースとなりZabbix 4.0 がリリースされたタイミングでフルサポートが終了しその1ヶ月後にリミテッドサポートが終了いたします。
Zabbix 3.0 のLTSサポートとは異なりますのでご利用の際には、アップデート計画を含めてご検討ください。
さっそくですが、リリースノートの翻訳を行いましたのでご覧下さい。
アップグレードを行う際の注意点は、アップグレードノートおよび、アップグレード手順をご確認ください。

Zabbix3.4の新機能

ダッシュボードの再設計

所有権と共有オプションを備えた複数のダッシュボードのサポート、ドラッグ&ドロップ機能を備えた新しいウィジェットのサポート、新しいフィルタリングオプション、ダッシュボード用APIの実装が導入されました。

acknowledge(障害対応コメント)の通知

検知した障害に、障害対応コメント(acknowledgeコメント)が記録された際に通知を行う事ができるようになりました。
通知内容には、コメントを行ったユーザ、ユーザが入力したコメントを含める事ができます。
これにより、障害の対応状況をSlack等で共有することも可能となると思われます。

バルクメトリックコレクションによるアイテム生成

JSON、XML、CSV、プレーンテキストでデータを受信しそれを異なるアイテムに分割して記録することができるようになりました。
この機能により外部プログラムなどから一括でデータを登録する処理などが実現できるようになるでしょう。

プロキシによるリモートコマンドのサポート

ZabbixProxy経由のAgentおよびZabbixProxy自体でリモートコマンドやグローバルスクリプトの実行が可能になりました。
この機能によりZabbixServerでの直接監視と同様にZabbixProxy経由の監視でも障害対応の自動化など高度な運用が実現できるようになります。

アラートの並列処理

これまでシングルプロセスだったAlerterプロセスがマルチプロセス化されました。
さらにメディアタイプの新しい設定として同時セッション、試行回数、再試行間隔が導入されました。
これまで、複数障害、関連障害などが発生した場合Alerterプロセスが高負荷状態となりZabbixServer自身の自己監視でAlertが発生したり、通知プロセスがいつまで経っても終わらず「通知が詰まる」という状況が発生していましたがこの状況が改善されます。

変更可能なJMXエンドポイント

これまでJMXエンドポイントはハードコードされていましたが、Zabbix 3.4 ではJMXアイテム設定で設定可能なJMXエンドポイントフィールドが追加されています。
これにより任意のJMXエンドポイントを指定して監視を行う事が可能となりました。

正規表現の強化

これまで、Zabbixの正規表現はPOSIX準拠となっていました。
Zabbix 3.4ではPCRE(Perl正規表現)に拡張されされています。
表現が変わるため、必ずアップグレードノートを確認してください。

LLDのJMX対応

新たにjmx.discoveryアイテムが追加されました。
これによりLLDを利用してJMXメトリクスを自動的に監視対象とすることができるようになりました。

新しいマップ要素

マップ機能にテキスト、ライン、長方形、楕円、といった新しい描画要素が追加されました。
これにより、論理構成図などの表現力がより高くなりました。

マップのベクトルグラフィックス化

マップのレンダリングがベクトルグラフィックス化しました。
解像度が異なるデバイス上でのマップ表示がより綺麗になり、品質の低下なしにズームイン/ズームアウトすることができるようになりました。

スクリーンとマップの複製

レイアウトだけでなく、すべてのスクリーン/マップ要素が複製されるようになりました。

アイテム値の複雑な前処理

アイテムの「保存時の計算」機能が前処理として高度化されました。
Zabbix 3.4では、JSON、XML解析、正規表現、文字列処理関数など柔軟な前処理オプションが追加されました。
この機能により受信したデータをさらに有用なメトリックに変換することができます。
値の前処理オプションの詳細については、アイテムの設定を参照してください。

コンフィグレーションキャッシュのより効率的な同期

コンフィグレーションキャッシュのキャッシュ・ロック時間が短縮されました。

ディレクトリサイズの監視

これまでディスクサイズとファイルサイズの監視は可能でしたが、ディレクトリサイズは監視できませんでした。
Zabbix 3.4 では柔軟なフィルタリングオプションを使用してディレクトリサイズを監視できるようになりました。
ディレクトリサイズ監視にはvfs.dir.sizeを利用します。
ディレクトリの階層深さを指定することができます。
詳細については、エージェントアイテムを参照してください。

Agentのログファイルレコード処理数の増加

MaxLinesPerSecondで設定されたログを送信するためにエージェントが処理するログレコード数が10倍に調整されました。
これまではMaxLinesPerSecondの4倍のログレコードを処理していました。
これにより、正規表現などのエージェントフィルタに一致しないログが大量に出力されるログ監視での処理性能が向上します。

Zabbix APIの簡略化

Zabbix APIで一部のメソッドとパラメータが廃止されました。
以下のZabbix APIを利用中の方は確認をおこなってください。
Zabbix API was simplified by removing deprecated isReadable and isWritable methods as well as the proxy.interfaces parameter. Also removed the deprecated mappings.sortorder parameter from iconmap.create and iconmap.update. Removed deprecated user.addmedia, user.updatemedia, user.deletemedia, user.updateprofile, usergroup.massadd, usergroup.massupdate and usermedia.get API methods.

ホストインタフェースの検出のための内部メトリック

インターナルアイテムに新しくzabbix [host,discovery,interfaces]が追加されました。
Zabbixフロントエンドで設定されたすべてのホストインターフェースの値を返します。
このアイテムはLLDで利用できます。

時間関連の設定でユーザーマクロサポート

更新間隔、タイムアウト、ハウスキーピング設定、期間、などさまざまな時間関連設定でユーザーマクロと時間単位のサフィックスのサポートを追加しました。
メンテナンス設定や更新間隔の個別変更をマクロで設定できるようになります。

マップ編集操作の高度化

マップ編集で選択した複数のマップ要素をドラッグ、コピー&ペーストする機能を実装しました。

自己監視のキャッシュロック時間の短縮

トラッパープロセスとマネージャープロセスでの自己監視の際のキャッシュロックを削減しました。

特権管理者以外でのSQLエラーメッセージを非表示化

特権管理者以外のユーザの場合、SQLエラーメッセージを表示しなくなりました。

イベントタグでのマクロサポートの追加

{HOST.ID}、{HOST.HOST}、{HOST.NAME}マクロがイベントタグでサポートされました。

Web監視におけるURLエンコーディングのサポート

WebモニタリングにおけるURLエンコーディングとpunycode(国際化ドメイン)サポートが実装されました。
これにより日本語ドメインなどのWEB監視が可能になります。

Zabbixプロセスのセキュリティ強化

共有メモリとセマフォをzabbixプロセス専用にしました。
フロントエンドとサーバーでの非公式SQLite3サポートを削除しました。

トリガーマップ要素で複数のトリガーサポート

マップ要素で複数のトリガーサポートを実装しました。

アラートおよびトリガーエラーの長さの増加

アラートおよびトリガーエラーの長さを増やしましました。

ネストされたホストグループに同じ権限を適用する

ホストグループ設定で、親ホストグループの権限をすべてのネストされたホストグループに設定できるオプションを追加しました。
このチェックボックスをオンにしてホストグループを更新すると、異なる権限がネストされたホストグループに割り当てられている可能性のあるユーザーグループの場合、親グループの権限がネストされたグループに適用されます。
Zabbix特権管理者は、既存のホストグループを編集するときにのみ使用できます。このチェックボックスは設定変更のためのワンショット設定のため、チェックボックスの状態はBDには保存されません。

「ITサービス」の名称を「サービス」に変更

「ITサービス」のメニュー名は「サービス」に変更されました。

内部イベントのデフォルト保存期間の短縮

内部イベント、発見、自動登録イベントのデフォルト保存期間を1日に短縮しました。

IPMIポーラの効率化

これまでは複数のIPMIポーラーが同一のBCMコントローラーにアクセスする可能性がありました。
Zabbix 3.4 では、IPMIマネージャープロセスが追加され、IPMIポーラーによるIPMIチェックをスケジュールします。
これによりIPMIホストは常に同じIPMIポーラーによってポーリングされ、BMCコントローラーへのオープン接続数が削減されます。
この変更により、BMCコントローラのオーバーロードを心配せずにIPMIポーラーの数を安全に増やすことができるようになりました。
IPMIポーラーが開始されると、IPMIマネージャープロセスが自動的に開始されます。

スクリプトとコマンドのリターンコードチェックの追加

Zabbix Serverはアラートスクリプト、外部チェックスクリプト、グローバルスクリプト、ユーザパラメータ、リモートコマンド、およびsystem.runの終了コードをチェックするようになりました。
スクリプトまたはコマンド実行プロセスでエラーが発生した場合、Zabbix Serverはフロントエンドにエラーの説明を表示し、対応するログエントリを作成します。

ZabbixServerとZabbixAgentのconfigでのCIDR表記サポート

zabbix_agentd.confのServerオプションとトラッパーアイテムでの許可されたホストの指定においてCIDR表記がサポートされました。
これにより、Docker環境やクラウド環境など、接続先ホストを柔軟に変更する構成を取れるようになります。

ユーザーメディア設定での期間とアイテムの例外の更新間隔の増加

ユーザユーザの[メディア]-[期間]項目およびアイテムの[例外の更新間隔]に入力出来る文字数が1024文字に増加しました。
これにより、データ収集のためのより複雑なスケジューリングと、きめ細やかなメディアタイプのアクティブ時間設定が可能になります。

Zabbix APIの拡張

user.updateメソッド によるuser_mediasパラメータのサポートが追加されました。

ユーザー削除にフェイルセーフを実装

アクションで使用中のユーザーおよびユーザーグループは削除できなくなりました。
削除する場合はあらかじめユーザーをアクションから取り除くようにしてください。

Zabbixプロキシとの通信の高速化

新たな「プロキシデータ」リクエストを追加し、一度に送信されるデータのサイズを増やすことによって、プロキシ-サーバー間のデータ交換に必要な接続数を削減しました。

アクション評価の効率化

同等の条件が一度だけチェックされることを保証することにより、アクション条件評価のパフォーマンスを向上させました、これによってデータベースへのクエリ数も削減できました。
大量に生成されたエスカレータープロセスの処理性能も向上しました。

LLDマクロのサポートの追加

トリガープロトタイプの関数パラメーターにLLDマクロのサポートを追加しました。

より大きなSNMPトラップのサポート

サポートされるSNMPトラップファイルサイズの最大値を増やしました。

新しいJMXメトリックタイプの追加

JMXメトリックにAtomicBoolean、AtomicInteger、AtomicLongのサポートが追加されました。

Zabbixフロントエンドのユーザビリティの改善

チェックボックスとラジオボタンの表示をサポートされるすべてのブラウザで統一しました。

より大きなSNMP OIDのサポート

SNMP OIDの長さ制限を255バイトから512バイトに増やしました。

より安全なグローバルスクリプト実行

グローバルスクリプト実行のためのサーバー側での権限チェックを追加しました。

主要ベンダーのネットワークデバイス用テンプレートの追加

Cisco、Juniper、Mikrotikなど、主要ベンダのネットワークデバイスを用いた大規模構成を監視するテンプレートセットを追加しました。

Oracle用のUTF-8設定の追加

他のデータベースエンジンと同様にOracleデータベースとの接続にUTF-8を強制的に設定するようになりました。

エージェントメトリクススレッドクラッシュの詳細情報の出力

以前は、Zabbixエージェントのメトリック・スレッドがクラッシュした場合、1行のエラー・メッセージのみが記録されていました。
Zabbix 3.4 ではプログラムカウンタ、レジスタ、スタックフレーム(32ビット版のみ)およびバックトレースを含む追加情報がエージェントログファイルに記録されるようになります。
メトリック・スレッドのログ戻り値は、読みやすさのために数値から文字列に変更されました。

IE9、IE10のサポートを終了

Zabbix 3.4 はIE9とIE10のサポートを終了しました。
IE9またはIE10での接続が検出された場合のブラウザに警告を表示します。

company.comをexample.comに置き換えました

Zabbix 3.4 の初期設定では、company.comへの参照はすべてexample.comに置き換えられました。

まとめ

Zabbix 3.4 では障害対応コメントの通知機能などの運用改善機能や、
値の前処理の追加や、バルクデータ登録等のデータ収集などの、データ処理の効率化する機能
ベンダーテンプレートの追加のように構築を簡単にする機能など
魅力的な機能が追加されてます。
Zabbix 4.0 リリースまでのポイントリリースですが、さらに魅力的なソリューションになったと思いますなソリューションになったと思います
既にZabbix 3.4 のリポジトリも公開されているので、試してみてはいかがでしょうか。

サーバーワークスでも、Amazon Linux用リポジトリに Zabbix 3.4 のパッケージを配置しました。
以下の設定でインストール可能です。

$sudo vi /etc/yum.repos.d/serverworks.repo
[serverworks-zabbix]
name=Serverworks-Zabbix
baseurl=https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/serverworks-yum-repos/zabbix/3.4/\$basearch
gpgcheck=0