SRE部 佐竹です。
re:Invent2020 から、取りこぼしていました重要なアップデートについて記載します。
はじめに
以下の通り、AWSの公式サイトにおいて2020年12月11日にアナウンスがありました。
内容は、EC2 インスタンスにアタッチして利用する EBS ボリュームのボリュームタイプ st1, sc1 の最低作成可能容量が 500 GiBから 125 GiBに減少したというものです。
st1, sc1 について振り返る
過去、以下のブログでご紹介している通り、2016年4月20日に st1, sc1 の EBS ボリュームは登場しました。
当時以下の画像と共に紹介させて頂いた「ハマりポイント」として最小サイズが 500GiB となっていることに言及していました。
この 500 GiB 最低サイズというのはリリースから4年半の間変わらず続いていた仕様であるため、「st1, sc1 は 500 GiB からしか使えない」という認識の方は多いと存じます。
st1, sc1 のアップデート
今回のアップデートにより、その「st1, sc1 は 500 GiB からしか使えない」という常識が覆りました。
新しい仕様は「st1, sc1 は 125 GiB から利用可能」というものです。
実際にマネジメントコンソールより確認してみましたが A Cold HDD (sc1) volume must be at least 125 GiB in size.
と記載があり125 GiB から利用可能なことがわかります。
また st1, sc1 はどちらも「Elastic Volume(Modify Volume)」に対応しているため、サーバを無停止で変更してご利用頂けます。
なお、変更時には必ず 125 GiB 以上にする必要があります。つまり 30 GiB の gp3 ボリュームを sc1 に変更(Modify)しようとすると、125 GiB 以上の容量を設定しなければなりません。
注意点
現在もなお、st1, sc1 はどちらもブートボリュームには利用できません。
ブートボリュームに利用されている EBS ボリュームに対して、Modifyコマンドを実行しようとしても上図の通りに st1, sc1はどちらも選択できなくなっております。
EBS に関する公式ドキュメントのページにも、上の通り表記があります。
縮小はできない
EBS ボリュームは縮小には対応しておりません。「既存の 500 GiB の sc1 ボリュームの空き容量が 300 GiB あるため、200 GiB に縮小してコストを削減したい」という場合でも、Modify では縮小ができない仕様です。
そのため既存の st1, sc1 を縮小されたい場合は、以下の作業を行って頂く必要があります。一例としてご紹介します。
- データコピー用の EC2 インスタンスを構築する
- 縮小対象の EBS ボリュームをデータコピー用の EC2 インスタンスにアタッチする
- 新規により小さいサイズの EBS ボリュームを作成する
- 作成した EBS ボリュームをデータコピー用 EC2 インスタンスにアタッチする
- 縮小対象の EBS ボリュームに存在するデータを、より小さいサイズの EBS ボリュームへと、OSのコピーコマンド等を利用して全てデータをコピーする
- コピー完了後、小さいサイズの EBS ボリュームを元の EC2 インスタンスにアタッチする
- 動作確認完了後、データコピー用の EC2 インスタンスとコピー元の EBS ボリュームを削除する
sc1 の利用料 (値下げ) に関して
関連したリリースの紹介ですが、sc1 は2020年11月に、以下の通り 40% の値下げを行っています。
これにより、現在 sc1 はプロビジョニングされたストレージ 1 GB あたり 0.015USD/月 のコストとなっており、1 GB あたり 0.025USD/月である S3 の標準ストレージ以下の金額となっております。
以下リストにしましたので、見比べてみてください。リージョンは東京リージョンとなっております。
サービス | Type | 月間利用料 | その他 |
---|---|---|---|
EBS | 汎用 SSD (gp2) | $0.120/GB | 1 GiB~ |
EBS | 汎用 SSD (gp3) | $0.096/GB | 1 GiB~(関連ブログ) |
EBS | スループット最適化 HDD (st1) | $0.054/GB | 125 GiB~。最低 $6.75/月 |
EBS | Cold HDD (sc1) | $0.018/GB | 125 GiB~。最低 $2.25/月 |
S3 | S3 標準(最初の 50 TB/月) | $0.025/GB | |
S3 | S3 標準 - 低頻度アクセス(IA) | $0.019/GB | IA: Infrequent Access |
S3 | S3 1 ゾーン - 低頻度アクセス(IA) | $0.0152/GB | sc1 はこれよりも安く利用可能 |
S3 | S3 Glacier | $0.005/GB | 最低90日利用 |
S3 | S3 Glacier Deep Archive | $0.002/GB | 最低180日利用 |
まとめ
本日は EBS ボリューム st1, sc1 のアップデートについて記載しました。
それぞれ最低の作成可能容量が 500 GiBから 125 GiBに減少したことで、より安く利用可能となっています。
「500 GiBからしか使えないのは辛い」という理由で利用を見送られていた方がいらっしゃいましたら、今一度再検討してもらえたらと存じます。
それでは、またお会いしましょう。
佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ
マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。