こんにちは!
カスタマーサクセス部の河本(かわもと)と申します。
Amazon FSx for Windows File Server(以下、FSx)を構築する際、少しややこしいと感じるのがスループットやIOPSなどのパフォーマンス設計です。
当記事では、FSxのパフォーマンス設計について整理したいと思います。
前提条件
本記事はFSxに関係するパフォーマンスのうち、ディスクスループットとディスクIOPSについて取り上げます。
FSxのネットワークI/Oとメモリも設定値により変動しますが、これはストレージサイズによって推奨値があるため、本記事では軽く触れる程度に留めます。
ディスクのパフォーマンスに影響するFSxのパラメータ
FSxのディスクスループットおよびIOPSは、以下のパラメータによって決定されます。
設定値 | 設定範囲 |
---|---|
ストレージタイプ | HDD or SSD |
ストレージサイズ | HDD:2000GiB ~ 65536GiB SSD:32GiB ~ 65536GiB |
スループットキャパシティ | HDD:32MB/秒 ~ 2048/秒 SSD:32MB/秒 ~ 12288MB/秒 |
ストレージサイズも影響があるようですね。それぞれがどう影響するのか見ていきましょう。
ストレージタイプ
FSxはSSDまたはHDDを選択することが可能です。パフォーマンスの比較は以下の通りです。
ストレージタイプ | ディスクスループット ※ストレージサイズ1TiB あたり |
ディスクIOPS ※ストレージサイズ1TiB あたり |
---|---|---|
HDD | ベースライン:12MB/秒 バースト:80MB/秒 |
ベースライン:12IOPS バースト:80IOPS |
SSD | 750MB/秒 | 3,000IOPS |
FSxにおけるHDDには、ベースラインとバーストという概念があります。
普段はほどほど(ベースライン)に頑張るけど、それを超えるスループットやIOPSが必要となった場合、一時的に本気(バースト)を出すという関係性です。
ストレージサイズ
さて、次はストレージサイズです。
前述のストレージタイプの章で、「※ストレージサイズ1TiB あたり」という記載がありました。
つまりストレージサイズが2TiB、3TiB・・・と増加すると、パフォーマンスも良くなるということです。
例えば2TiBのHDDの場合、ディスクのスループットは以下の通りになります。
ベースライン:2TiB × 12MB/秒 = 24MB/秒
バースト:2TiB × 80MB/秒 = 160MB/秒
同様にIOPSやSSD側も計算可能です。
このようにFSxのストレージサイズがパフォーマンスに影響します。
スループットキャパシティ
スループットキャパシティとはFSxの全体的なパフォーマンスを決定する設定項目です。
具体的には以下のパフォーマンスが決定されます。
- ネットワークスループット
- ネットワークIOPS
- メモリ
- ディスクスループット
- ディスクIOPS
上記のうち1~3はスループットキャパシティのみで確定します。 そのため以下の公式ページ「ネットワーク I/O とメモリ」の表より一目で確認することができます。
ここで少しややこしいのが4~5です。先ほどまで私が必死に書いてきたディスクスループットとディスクIOPSが、再び登場していますね。 どういうことかは後述しますが、スループットキャパシティに応じて以下のパフォーマンスとなります。
ちなみにスループットキャパシティはディスクサイズ毎に推奨値があり、マネジメントコンソールで自動的に選択されます。
結論
ディスクスループットとディスクIOPSは以下の2種類により決定されますが、結局どちらが採用されるのでしょうか。
- ストレージタイプ × ストレージサイズ
- スループットキャパシティ
答えはパフォーマンスの低い方が採用されます。
例えば以下の場合、ディスクスループットのベースラインがどうなるか考えてみます。
ストレージタイプ × ストレージサイズ:10TiB(10240GiB) × 12MB/秒 = 120MB/秒
スループットキャパシティ:前述の表より128MB/秒
上記の場合はディスクスループットのベースラインが120MB/秒になります。
注意点
基本的にスループットキャパシティは推奨値を使うことで、そのストレージサイズにおける最大のパフォーマンスを発揮しますが、東京リージョンでは1MB/秒あたり2.530USDの料金が発生します(2024年3月時点)。
スループットキャパシティを128MB/秒とした場合、それだけで323.84USDの料金が発生します。
そのためコストとの兼ね合いで、意図的にスループットキャパシティを低く設定するというケースも考えられます。
最新の料金は公式ページよりご参照ください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
できるだけシンプルな内容にしたかったため、バーストについてはあまり掘り下げませんでした。
そのうちFSxのバーストについてもブログを書きたいですね。
ご一読いただきありがとうございました。