EC2 Windowsで大容量ディスクを扱う際の注意点

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こんにちは!

マネージドサービス部テクニカルサポート課 西尾です。

2022年8月に入社して1年超。 お客様からのお問い合わせを頂いた際に思うところがありましたので 初ブログ執筆することにしました。

サーバーワークス Advent Calendar 2023 シリーズ 2、24日目のエントリー記事です。

qiita.com

はじめに

EC2インスタンスを利用する際 EBSが確保した分だけ課金される為、 必要に応じて容量を追加している方もいらっしゃるかと思います。

今回はWindows上で大容量ディスクを扱う際の注意点についてまとめました。

各レイヤの制限事項について

よく利用される汎用SSDボリュームについては16TiBの上限がありますので 1ディスク1ボリュームで作成している場合、EBSの制限でこれ以上増やすことはできません。

汎用 SSD ボリューム
(中略)

ボリュームサイズ 1GiB - 16TiB

docs.aws.amazon.com

では「Provisioned IOPS SSD ボリューム」なら64TiBまで増やせるので ボリュームタイプ変更した上で増やせばよいのでは?と考えるかと思います。

ここでOS側の制限を確認してみますと ボリュームを作成する際に明示的にクラスターサイズ(アロケーションユニットサイズ)を指定しない場合、 既定値である4KBが採用されてしまい、ボリュームのサイズは16TBが上限となってしまいます。

クラスター サイズ 最大ボリュームおよびファイル

4 KB (既定のサイズ) 16 TB

learn.microsoft.com

初期の設計時点でそこまで見越すこともなく 既定の4KBで作ってしまうパターンが多いかと思いますので ここでも壁に当たることになります。

尚、クラスターサイズの変更に当たってはフォーマット作業が必要となりますので、 データが入ったままの状態で拡張することはできません。

上記クラスターサイズを容量増を見越して既定より大きい値を指定していた場合は拡張可能となります。

ストレージタイプを変更する際は変更後に時間を空けての作業が必要となる点、ご注意ください。 計画作業時などにこちらの制限を事前に知っておかないと、結構な待ち時間が発生してしまいます。

ボリュームが完全に初期化されていない場合など、新しい設定が有効になるまでに 24 時間を超える時間がかかる場合があります。通常、完全に使用された 1 TiB ボリュームが新しいパフォーマンス設定に移行するまでには約 6 時間かかります。

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記憶域スペースを使う

Windowsで大容量ボリュームを使用する際は記憶域スペースという機能があり 複数のディスクを束ねてボリュームとして切り出すことが可能な仕組みです。

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※以前はスパンボリュームやストライプボリュームといったダイナミックディスクで同様の機能がありましたが 現在では以下の通り非推奨となっておりますのでご注意ください。

ミラーブート ボリュームを除くすべての使用 (オペレーティング システムをホストするためにミラー ボリュームを使用) では、ダイナミック ディスクは非推奨とされます。 ドライブの障害に対する回復性を必要とするデータの場合は、回復性のあるストレージ仮想化ソリューションである 記憶域スペースを使用します。 詳細については、「記憶域スペースの概要」を参照してください。

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設定の方法については所々ページを確認いただければと思いますが ここでも注意が必要となります。

まずリージョンで利用できる最大量に制限があります。 例えばgp3ですと既定で50TiBが上限となります。

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さらにインスタンスタイプ毎にアタッチできるボリュームの数に制限があります。 細々と追加することは可能ですが以下の上限値を踏まえてディスク当たりの容量をご検討いただくことをお勧めします。 (ディスク数を増やすことによるメリデメについては弊社宮形のブログにも記載がある為、こちらも参照いただければと思います。)

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blog.serverworks.co.jp

尚、記憶域スペースにおいては追加するディスクの容量がバラバラである場合 一番小さいディスク容量を基準にして構成されます。 50GBを3本用意した場合と50GBを2本と100GBを1本用意した場合、作成できる仮想ディスクの容量が同じとなります為 1つ当たりのディスク容量は先の話と重なりますが、事前に十分ご検討ください。

その他の注意事項

スナップショットをバックアップとして使用する場合 インスタンス単位で取得、リストアの際もインスタンス単位で戻す必要があります。 こちらの手間を懸念される場合はファイル単位でバックアップを取るか、 記憶域スペースに対応したOS上からボリューム単位でバックアップを取得するサードパーティソフトウェアを利用する等の対応が必要となります。 ちょっとしたファイル復旧であればVSSを利用した「以前のバージョン」で対応可能ですが 記憶域スペースをご利用の際の注意点としてご認識いただければ幸いです。

まとめ

以上、EC2 Windowsで大容量ディスクを扱う際の注意点についてまとめました。

ちょっと今さら感ある内容ではありますが ご参考としていただければ幸いです。

2023年ももう少しで終わりですね。

あと僅かですが、気を引き締めてがんばりましょう。

西尾 敏 (記事一覧)

マネージドサービス部テクニカルサポート課

2022年8月入社。まだまだです。