AWS Cost Optimization Specialty サンプル問題

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SRE2課 佐竹です。
本日はAWS Cost Optimization Specialty (AWS コスト最適化 専門知識) のサンプル問題を解説します。

はじめに

最初に重要な点を記載すると「AWS Cost Optimization Specialty」という名のAWSの資格試験は、2020年8月現在存在しておりません!
本ブログは、2020年7月に社内で実施していた全5回の「コスト削減塾」の締めくくりとして私が作成した「理解度確認テスト」の掲載と解説になります。せっかく作成するので、AWSの資格試験と同じような形で提示してみました。今回これを公開しつつ解説します。

出題

さっそく出題します。全部で5問あります。

問題1

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ヒント:Total Net Savings を確認できるのは?という問題です

問題2

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ヒント:複数のAWSアカウントを跨いでコストを分析するためにとある機能をOnにするにあたって必要な設定を知っているのか?という問題です

問題3

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ヒント:利用している機能に対して適切なコスト削減の機能を選択できるかの問いです

問題4

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ヒント:Savings Plan の Recomendation を確認するのに必要な設定を知っているか?という問題です

問題5

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ヒント:RI から SP に切り替えを行うにあたっての懸念点を理解できているかの問いです

回答及び解説

以下、各問題への回答と解説になります。

問題1

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  • A) Savings Plans Utilization report
  • E) Reservations Utilization report

の2つが正解です。 以下不正解の理由を記載します。

  • 「B,F」 の Coverage report は「購入した Savings Plans or Reserved Instances が適用対象のサービス全体の利用料において何%までカバーできているのか?」を示すものです
  • 「C」 の EC2 Management Console の Reserved Instance 管理画面 は、EC2 Instance 向けの RI を購入したり、購入済の RI を確認したりするための管理画面です。ここでコスト削減効果は確認できません
  • 「D」 の Reservations Recommendations は、EC2, RDS, Redshift, ElastiCache, Elasticsearch Service の RI を購入するための推奨値を確認できる機能です

SP の Utilization Report と Coverage Report については以下を参考ください。

blog.serverworks.co.jp

問題2

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  • B) Consolidated billing for AWS Organizations
  • D) AWS Cost Explorer
  • E) IAM

の3つが正解です。この問題は「AWS Cost Explorer」を使うというのが答えなのですが、ではその機能をどうすれば利用可能になるのか、という権限設計までを含めた問いになっています。
「Consolidated billing for AWS Organizations」は、AWS アカウントの利用料を統合するのに必要な機能となっており、複数のアカウントをまとめてコストを分析するには必須の機能です。
また、IAM によって AWS Cost Explorer へのアクセスを許可/制限することが可能です。IAM User に権限付与することも忘れずに行いましょう。詳しくは以下を参考ください。

docs.aws.amazon.com

他の3つの選択肢は全てコスト分析 = Cost Explorer とは関係がないサービスのため不正解です。

問題3

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  • B) Compute Savings Plan
  • D) Reserved capacity

の2つが正解です。まず、本問題に登場するサービスを確認しますと、Fargate 及び Lambda、CloudFront、AWS WAF、DynamoDB とあります。このうち、コスト分析のオプションがないのは CloudFront と AWS WAF です。ですので、残り3つのコスト削減が可能な機能を考えることにします。そうすると、以下の通りです。

  1. Fargate : Compute Savings Plan でコスト削減が可能
  2. Lambda : Compute Savings Plan でコスト削減が可能
  3. DynamoDB:Reserved capacity でコスト削減が可能

合わせて以下の記事も参考ください。

blog.serverworks.co.jp

また、以下に不正解の理由を記載します。

  • A) EC2 Instance Savings Plan は EC2 Instance にのみ効果があるため不正解です
  • C) Reserved DB.Instance は、RDS の RI を指し、RDS にのみ効果があるため不正解です
  • E) Reserved Node は、 Redshift の RN を指し、Redshift にのみ効果があるため不正解です
  • F) Intelligent Tiering は S3 で利用可能なコスト削減のオプションの1つです。機能に S3 があれば正解になっていましたが、不正解です

Intelligent Tiering については以下も参考ください。

aws.amazon.com

問題4

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  • B) IAM Userに、AWSSavingsPlansReadOnlyAccessが付与されていない
  • C) Cost Explorer の有効化が完了していない
  • E) Billing and Cost Management コンソールへのアクセスを IAM User に対して許可がされていない

の3つが正解です。それぞれ解説します。
1つ目の IAM に関する権限ですが、 AWSSavingsPlansReadOnlyAccess は ReadOnlyAccess に含まれていない新しく作成された権限であるため、付与が必要となります。これについては以下のブログで記載しているのでご参考ください。そのため、対比的に「A」が不正解になります。

blog.serverworks.co.jp

2つ目の「Cost Explorer の有効化が完了していない」ですが、 Savings Plan の推奨値は Cost Explorer の一部の機能として提供されています。そのため Cost Explorer の有効化を実施する必要があります。実際に推奨値を確認しているブログの記事がありますので、以下も参考にしてみてください。

blog.serverworks.co.jp

最後の「Billing and Cost Management コンソールへのアクセスを IAM User に対して許可がされていない」は Cost Explorer を IAM User で見るにあたり必要な権限で、「問題2」では問われなかった箇所です。以下の公式ドキュメントに記載がある [Activate IAM Access] チェックボックスをオンにして、Billing and Cost Management ページへのアクセスをアクティブ化します。 の部分がそれにあたります。この設定をしない限り、IAM User の権限が適切であってもコストに関する情報を IAM User が閲覧することはできません。

docs.aws.amazon.com

不正解の「D) Organizations への参加が必須であるが、されていない」ですが、今回はアカウントが Organizations で統合されている必要性が特にないため、関係がない選択肢となり不正解です。また、同様に「F」のAWS Budgets も Savings Plan の推奨値には関係のない選択肢となっています。

問題5

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  • E) 単一の Compute Savings Plan と On-Demand Capacity Reservations

が正解です。本問題では、質問を正確に理解する必要があります。
「複数Regionで運用しているEC2 Instanceのコスト削減の簡略化」が、本問題の肝です。この文から「EC2 Instance の RI を様々な Region で別々に購入していて管理が面倒なのでやめたい」という背景が想像できます。つまり、 RI から SP への切り替えによってそれを成し遂げたいとなります。「様々な Region で別々に購入していて管理が面倒」という視点を持つと、Savings Plan の中でも「EC2 Instance Savings Plan」は Region ごとにコミットが必要になるため、選択肢から除外されます。よって、ここで「Compute Savings Plan」を利用するのが良いということになります。
そしてもう1つ考える必要があるのが、キャパシティ予約を引き続き利用するにはどうすればいいか、となります。以下のブログにまとめていますが Savings Plan と同時に利用できるのは「On-Demand Capacity Reservations」になりますので、この2つの組み合わせである「E」が正解になります。

blog.serverworks.co.jp

以下不正解の理由を記載します。

  • 「A」は「単一の EC2 Instance Savings Plan」の点が誤りです。「EC2 Instance Savings Plan」は購入時に Region と Family を指定する必要があります。そのため、単一では機能しません。「Compute Savings Plan」であれば、単一で全 Region & 全 Instance type に効果が発揮されます
  • 注意いただきたいのは「B」です。これは機能します。ただし「各Regionごとの EC2 Instance Savings Plan」というのが、管理の手間を残しています。「EC2 Instance Savings Plan」は購入時に Region と Family を指定するため、Region×Family で管理工数が増大します。そうなると「簡略化」したいという効果が薄いため「E」には劣るという選択肢になっています
  • 「C」は「Zonal RIのみがキャパシティ予約を提供する」点が誤りであるため、不正解です
  • 「D」は「B」と同様に機能しますが、現在とほとんど手間が変わらない状況ですので「簡略化」できておらず不正解となります

まとめ

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「AWS コスト削減 専門知識」のサンプル問題を5問独自に作ってみましたが、解かれた方々いかがだったでしょうか?
社内では、全問正解は勉強会参加者のうちたった1名のみでした!全問正解された方がいらしたら、コストに関する機能に非常に強い方だと思われます。

では、またお会いしましょう。

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マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。