サーバーワークスでは代表電話で Amazon Connect を利用しています。
Amazon Connectですもの、もちろん通話録音をしています。
せっかくなので録音した音声ファイルをAmazon Transcribeでテキスト化して、Amazon Comprehendで各種情報を抽出してSlackに投稿しています。
サーバーワークスの電話業務要件としてはテキスト化や自然言語処理はまったく必要ないのですが、そこに技術があれば試していくのがわたしたちサーバーワークスです。
さて、本題からそれてしまいました。
実はAmazon Connectを社内に本番導入をする前から薄々感づいていました。
すべての通話を録音してもよいのだろうか。
録音してはいけない通話情報もあるのではないか。
気がついていたけど今まで黙っていました。
しかしとうとう「録音したくない場合もある」という相談を電話対応チームから受けることになりました。
みんな、やっぱり気がついてしまったか。
ばれてしまったのでさっそく対応することにしました。
どんなときに録音をしたくないの?
普段会社の電話にでないので、具体的にどのような電話が録音NGなのかわからないわたし。
Amazon Connect運用改善チームに要件をまとめてもらうとざっくり「人事」と「IR」で録音されたくないケースがあるようです。
人事1:住民税の確認
人事の手続きとして、社員が住んでいる地域の役所(市区町村)と住民税の金額を確認すたるための手続きを電話で行っています。
- 申請書類に記載した電話番号宛に地域の役所(市区町村)から確認の電話がかかってくる
- 都度電話番号を申請書類に記載するので電話番号は変更になっても問題がない
- かかってくる電話番号の数は2020-04現在、59市区町村、社員増に比例して増える一方
- 録音不可電話番号を事前登録すれば録音しない仕組みも構築できるけど、対応市区町村はどんどん増えるし市区町村が公表している電話番号と違う番号からも受電しているため事前登録は事実上不可能
全社員分このようなお手続きをしていただいていたなんて、ほんとうにありがたい話ですよね。
そんなこともしらずのうのうと仕事をして給与をいただき、多くの税金がひかれることにちょっとだけいらっとしていました。
税金が正しくひかれるのも人事のみなさまのおかげです。
これからは人事メンバーに感謝して税金を払おうと思いました。
人事2:個人情報や開示しづらい情報を含む会話
まぁ普通にありますよね。
IR:IR情報
まぁ普通にありますよね。
サーバーワークスの通話録音しない対策
どんな場合録音をしたくないのかわかったので、Amazon Connectでできることと、サーバーワークス社内の運用にマッチしそうな方法を話しあって以下の対応としました。
対策1:録音不可電話番号の設置
人事が手続きをしている住民税の確認用に新たに050番号を取得しました。
シンプルに通話録音をしません。
この電話番号を住民税確認の書類で利用してもらうことにしました。
少数精鋭の人事チームが誰も電話に出れない場合は代表電話対応チームがフォロー対応します。
代表電話対応チームが応対する場合は通話録音されるようになっています。
Slackでの通話情報の共有は他の電話と同様に行うため、情報はオープンしながら会話の中身の秘密を守ることができます。
Amazon Connect上では電話番号が増えて、対応する問い合わせフローが増えました。
しかし実際に電話に出る人事チームおよびフォローする電話対応チームは今までと変わらず、CCP(ソフトフォン)で受信した電話に出るだけでOKです。
複雑な運用ルールや人に依存するような判断をすることはなく通話内容の秘密を守ることができます。
対策2:転送後、通話録音しない人を設定
住民税確認の問題はすぐに解決しました。
しかし、代表電話宛ての電話の中に通話録音したくない会話もある、という問題はどう解決すべきか少し困りました。
どの電話が録音していいのかいけないのか、着信時には判断することは難しいからです。
でも通話録音してはまずい電話に出る「人」は限られています。
電話を転送するときに、人によって通話録音をする・しないを決めてしまえばよさそうです。
録音しても問題ない会話も録音されなくなりますが、それも運用上は問題ありません。
転送前の情報は共有されるので、電話情報をオープンにする方針とも合致しています。
だいたいの対応ができましたが、運よく(わるく?)業務担当者が直接出てしまい、転送が不要な場合は録音されてしまいます。
システム的に自動判定はできないので、あとから録音や録音から得られる各種情報を削除する方法を検討しました。
しかし、もし人事担当が人事あての機密情報を取り扱う電話を受けてしまった場合は、チームメンバーに転送したり等の運用で乗り切るからそこまでは必要ないと言ってもらえました。
結果的に次項で説明する簡単な設定変更で無事解決することになりました。
転送で通話録音対象から除外する設定
対策2の設定方法をご説明します。
転送はクイック接続を使っています。
クイック接続で設定する転送用の問い合わせフローを通話録音する人と通話録音しない人で使いわけて登録します。
クイック接続自体の設定がまだであれば、まずは設定をしてください。
クイック接続の設定方法はこちら
▶https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/transfer.html
クイック接続を登録しただけでは利用できない、利用するキューに登録が必要、という点が最初にハマりやすいポイントです。
通話録音をしない転送フローは新規で用意します。
問い合わせフローを作成するときに「エージェントへの転送フローの作成」を選びます。
設定方法は簡単なのですが、問い合わせフローに特殊な用途の種類あるという点はAmazon Connectになれていないとわかりにくい点ですね。
すべての問い合わせフロータイプの説明はこちら
▶https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/create-contact-flow.html
問い合わせフローの中身は簡単です。
通話記録動作の設定で「有効化:なし」設定を組み込みます。
これで、通話録音がオフになります。
まとめ
Amazon Connect の通話録音は簡単で安価で利用できる便利な機能です。
さらに録音した音声情報はテキスト化して要約したり、感情分析をするなどいろいろな活用が可能です。
しかし、録音すべきではない会話を扱うこともあるかもしれません。
録音をする・しないという単純な選択だけでなく、特定条件において録音をコントロールすることもAmazon Connectなら可能です。
今日ご紹介した通話録音のコントロールはとても小さな改善です。
サーバーワークスは、社内のAmazon Connect環境も日々改善を繰り返しています。
ご紹介するまでもない小さな失敗や改善経験もみなさまの導入支援に還元させていただいています。
現在は、在宅勤務に対応した電話環境構築のご相談も優先的に承っています。