はじめに
春になりましたね。春といえば、 ことはじめ
入学や入社など新たに一歩を踏み出すことが多い季節になります。
ということで、アプリケーションサービス部の森です。
僕もなにか新しいことをやろうかな?と思い、久々エンジニアリング的な挑戦をしてみようと思います。
今回は、Amazon Monitronというサービスを利用して、データの取得から可視化までをやってみようと思います。
ブログは複数回に分けてAmazon Monitronのご紹介や準備、セットアップ、モニタリングなどなどを記載していきます。
今回はまず、 Amazon Monitron のことを知っていただこうと思い、「Amazon Monitronとは」から始めます。
Amazon Monitronとは
Amazon Monitron とは、機械学習を用いて産業機器の異常な状態を検出し、予知保全を可能にするエンドツーエンドのシステムです。
計画外の機器のダウンタイムによる生産性の低下を軽減するために利用いたします。
機能としては大きく5つに分かれています。
1. 振動や温度のデータを収集する 専用センサー
2. データをAWSクラウドに自動的に転送する ゲートウェイ
3. 機器の潜在的な障害兆候を検出するため、振動や温度の データ分析
4. 分析したデータから 障害発生を通知
5. 取得したデータや障害通知を 可視化するアプリケーション
これらの機能群を利用し、問題を未然に防ぐアクションを取ることができます。
では、この後、それぞれの機能に関して説明します。
1. 振動や温度のデータを収集する専用センサー
Amazon Monitron センサー は、 Amazon で購入することが可能です。(5個1セット)
センサーの仕様概要としては以下となります。
- 防水/防塵が備わっている
- IP等級は IP69、 IK等級は IK07
- 粉塵が内部に侵入しない耐塵形で、高温・高圧パワフルなウォータージェットに対する保護がされている状態
- 40cmの高さから落ちる500gの衝撃に耐える
- ワイヤレスプロトコルはBLE5(Bluetooth Low Energy 5)
- バッテリは内蔵型で非充電式リチウム金属電池でバッテリー寿命は5年となり、交換不可
- データ取得頻度は1時間に1回、データ取得頻度は変更不可
- ただし、スマートフォンのNFC機能を使ってオンデマンドにデータ取得は可能
- 機器への設置は、瞬間接着剤やエポキシ樹脂を利用
- 振動については、ISO 20816に準拠
- 技適マークは付いています
- 詳細は Amazon Monitron Datasheet / Technical details 参照
実際のセンサーはこちら
2024/04/15追記
温度検出と振動検出はAmazon Monitron センサーの底面にあります。(下図の赤枠で囲った部分)
高い検出をするためには接触面積が30x25mm以上必要(底面は 52.8x43.0mm)
また、測定精度を最大限に高めるために以下の3点に確認してください。
- センサーをターゲットコンポーネントのハウジングに直接取り付けること
- 振動伝達経路 (振動源とセンサー間の距離) の長さを最小限にすること(発生源から最大75〜90cm離れた場所で振動が減衰するため)
- 板金のカバーなど、固有振動数によって測定値が変動する可能性のある場所にセンサーを取り付けないこと
データをAWSクラウドに自動的に転送するゲートウェイ
Amazon Monitronセンサーには2つのタイプがあります。
- イーサネット
- Wi-Fi
それぞれをご紹介します。
Amazon Monitron ゲートウェイ (イーサネット)
Amazon Monitron ゲートウェイ (イーサネット) も Amazon で購入することが可能です。
このデバイスの仕様概要としては以下となります。
- 防水/防塵が備わっている
- IP等級は IP65
- 粉塵が内部に侵入しない耐塵形で、ウォータージェットに対する保護がされている状態
- IP等級は IP65
- 1つのゲートウェイで10〜20センサー接続可能
- センサーから20〜30m以内にゲートウェイを配置するのが推奨
- 電力供給はPoE (Power over Ethernet) で、Cat 5e もしくは Cat 6 イーサネットケーブルを使用し、接続
- PoEであるため、サポートするルーターかPoEパワーインジェクターが必要
- Amazon Monitron ユーザーガイド/イーサーネットゲートウェイ 参照
- AWSと接続するため、インターネット回線が必要
- 技適マークは付いています
- 詳細は Amazon Monitron Datasheet / Technical details 参照
Amazon Monitron ゲートウェイ (Wi-Fi)
Amazon Monitron ゲートウェイ (Wi-Fi) も Amazon で購入することが可能です。
このデバイスの仕様概要としては以下となります。
- 防水/防塵が備わっている
- IP等級は IP65
- 粉塵が内部に侵入しない耐塵形で、ウォータージェットに対する保護がされている状態
- IP等級は IP65
- 1つのゲートウェイで10〜20センサー接続可能
- センサーから20〜30m以内にゲートウェイを配置するのが推奨
- 電力供給するために、ACアダプターと電源供給できる環境が必要
- 本デバイス購入時には電源アダプターが付属していないため、別途購入が必要
- 出力 5VDC、定格 2A/10W、5.5/2.1mm DCジャックが対象
- 本デバイス購入時には電源アダプターが付属していないため、別途購入が必要
- Amazon Monitron ゲートウェイ (Wi-Fi) は 無線通信環境が必要となるため、インターネット回線に繋がったWi-Fiルーターが別途必要
- 技適マークは付いています
- [2024/05/08追記]
802.11b/g/n、2.4GHz
のみ対応。 5GHzは繋がりません。 - 詳細は Amazon Monitron Datasheet / Technical details 参照
実際のゲートウェイはこちら
3. 機器の潜在的な障害兆候を検出するため、振動や温度のデータ分析
Amazon Monitronでは、収集したデータを基に機械学習を行っています。
振動・温度をすでに作成されている機械学習モデルを使って分析します。
状況や運用シナリオ、ユースケースなど様々な情報を基に、約14〜21日間データを蓄積してそれを学習させることで正常なデータなどを判定できる状態になります。
詳細については、AWS公式ドキュメント を参照ください。
4. 分析したデータから 障害発生を通知
正常なデータや異常なデータを検出する情報を機械学習から得て、実際に測定した値で、
しきい値を超過した場合に異常発生といて、Amazon MonitronのスマホアプリやAWSマネジメントコンソールのAmazon Monitronの画面に通知を行います。
通知等の詳細については、 AWS公式ドキュメント を参照ください。
5. 取得したデータや障害通知を 可視化するアプリケーション
センサーから取得した温度と振動データをグラフによる可視化ができます。
これはAmazon Monitronのスマホアプリ、AWSマネジメントコンソールのAmazon Monitronの画面の両方から確認が可能です。
また、データはCSVでダウンロードすることもでき、みたい期間等を変更することも可能。
異常と判断した理由やその状態あんどを確認することができます。
可視化イメージについては、 AWS公式ドキュメント を参照ください。
利用可能なリージョン
いちばん大事なコトを書き忘れていました。 2024/04/15時点で利用可能なリージョン(東京リージョンはまだ利用不可能)は以下となります。
- 欧州 (アイルランド)
- アジアパシフィック (シドニー)
- 米国東部 (バージニア北部)
徐々に拡大されると思いますので東京リージョンでの利用は、期待して待ちましょう!
さいごに
どうでしたでしょうか?
Amazon Monitronのことは少しだけでもご理解いただけましたでしょうか?
取得できるデータが 振動 と 温度 ということで限られてはいますが、
ここから得ることができる情報を基に、少しでも障害兆候を予兆し、機器のダウンタイムを低下させる取り組みをしていければと思っています。
デバイス自体がトータルで約10万円です。安くはないデバイスですが、これからご紹介する情報を基に、
Amazon Monitronを利用するに際し、どうすれば障害兆候をより詳細に確認していけるかなどを考えるための最初の一歩になればよいと思っております。
設定やデータ収集等で時間が掛かっちゃいますが、徐々にアップデートしていきますので、次回もご期待ください。